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子どもが本好きになる秘策! (新潮文庫編集部A.K)


 文化庁がこの春に行った「国語に関する世論調査」によると、78.4%の人が「日本人の読む力が低下している」と感じ、全体の20.2%が「非常に低下している」と感じています。同じ調査では、「舌先三寸」なのか「口先三寸」なのか、あるいは「のべつまくなし」か「のべつくまなし」か、はたまた「二つ返事」か「一つ返事」か、間違えて使う人の方が多いこともわかりました(すべて前者が正しい)。

 受験では、勉強すれば点数を伸ばしやすい英語や数学に比べて「点数を伸ばしにくい」のが国語。では、秘策はあるか? 出版社のメルマガでこれを書くと手前味噌ですが、本を読む子に国語が苦手な子は少ないように思えます。と言うと、お母さんたちによく聞かれます。「いったいどうすれば、本好きな子が育つんでしょう?」と。答えはわりと単純……


 本好きな子を育てるいちばんの近道は、「おもしろい本」に出会う機会を作ってやること。はじまりは読み聞かせ。小学生になってからでも、紙芝居や本を読んでやると子どもは身を乗り出してきます。高学年になっても紙芝居のおもしろさは格別のよう。小さいときに「物語に身を浸す快楽」を知ってしまえば、あとは一人で勝手に読み進んでいくでしょう。

 では、小学校高学年、あるいは中学生、高校生になっても読書の快楽に目覚めていなかったら、次はどうするか? 1にも2にも、「読みやすい」本に出会わせてやることです。主人公はふつうの中学生や高校生であるなど身近なところに物語の設定をおきながら、かつ、ちょっと日常から離れた異世界を旅できて、頭と心を遊ばせることのできる空想の世界……新潮文庫11月新刊の『茶子と三人の男子たち―S力人情商店街1―』は、まさにそんなお話のひとつです(手前味噌ここに極まれり、ですね)。

 さびれつつある商店街で育った幼なじみの中学生、茶子、吾郎、研、吉野の4人は、神社で雷に打たれ、超能力を授かります。ところが、この超能力が、なんとも「しょぼい」。はたして、彼らの脱力系の活躍でふとん店を襲う謎の事件は解決できるのでしょうか? 著者は240万部を誇る大ベストセラー『若おかみは小学生!』シリーズの作者、令丈ヒロ子さん。関西の笑いを含む軽妙な文章でぐいぐいと読み進ませてくれます。

 新潮文庫では、今年のはじめから、『シノダ! チビ竜と魔法の実』(富安陽子著)『下町不思議町物語』(香月日輪著)『それはまだヒミツ―少年少女の物語―』(今江祥智編)『レジェンド―伝説の闘士ジューン&デイ―』(マリー・ルー著)『女子高生記者ヒルディのスクープ』(ジョアン・バウアー著)など、中高生に読んでもらいたい作品を続々刊行中(もちろん、大人が読んでもおもしろい作品ばかりです)。


 12月にも、フェイスブック版バック・トゥ・ザ・フューチャーといえる『6日目の未来』(ジェイ・アッシャー&キャロリン・マックラー著)、シノダ・シリーズ第2弾『シノダ! 樹のことばと石の封印』など、ぜったいハマる作品を刊行します。ページをめくる手が止まらない――、一度でもそんな体験をすれば、本好きになること請け合いです!

新潮文庫編集部A.K

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2012年11月12日   今月の1冊
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