山崎豊子先生の命日が「豊子忌」と決まりました。
『沈まぬ太陽』や『華麗なる一族』など、社会派小説の傑作を多数遺した作家、山崎豊子先生の命日が「豊子忌」と名付けられることになりました。新聞報道もたくさんありましたが、これからは毎年、山崎先生を偲び、山崎文学に向き合うきっかけになることでしょう。
山崎先生が亡くなったのは、「週刊新潮」に連載された最後の作品『約束の海』の第1部を書き終えたのちの2013年9月29日のこと。以後、9月29日が「豊子忌」として記憶されることと思います。
作家の命日に名前をつけたものを「文学忌」と呼びます。三回忌や七回忌といった仏教上の「忌」とは別に、毎年やってくるもので、芥川龍之介の「河童忌」、三島由紀夫の「憂国忌」、司馬遼太郎の「菜の花忌」などが有名です。故人が好んだ風物や作品のキーワードから名付けられることが多いようです。
山崎先生の文学忌は、没後3年を迎えるにあたり、山崎先生の甥である定樹氏が中心となり、生前に秘書を務めた野上孝子さんや、生前交流の深かった新潮社、文藝春秋、毎日新聞社の編集者らが協議して決まりました。
「船場忌」や「暖簾忌」など、山崎先生の作品を思わせるネーミングが候補に挙がりました。しかし、先生の作家人生の後半に書かれた社会派の作品の雰囲気が感じられず、ネーミング決定は難航しました。何時間も協議した後、山崎先生が「直球勝負」を好んだことから、名前をそのまま使った「豊子忌」となりました。
「豊子忌」には今後、講演会やイベントが行われる予定です。今年は山崎さんの母校「相愛女学校」の後身である相愛大学にて、文藝春秋前社長で『大地の子』『運命の人』などを担当した編集者の平尾隆弘さん(神戸市外国語大学客員教授)の講演会が開かれます。詳細はこちらからご覧下さい。
http://www.nakanoshima-univ.com/seminar/article/p20160926
没後3年にあたり、『約束の海』を文庫化しました。山崎先生が自衛隊という大きなテーマに取り組んで書かれた、最後の長編小説です。71回目の終戦記念日もやってきました。ぜひお手にとって、「戦争と平和」というテーマに終生取り組んだ山崎先生の作品をお楽しみいただければと思います。
また、山崎先生の墓所が公開されます。詳細は以下のページからご確認下さい。
http://www.bookbang.jp/article/516082