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空也の言葉が胸に響き揺さぶる歴史小説!

 空也といえば、京都・六波羅蜜寺の空也上人像が有名ですが、実際の生涯はほとんど知られていません。歴史作家の梓澤要さんは、有名な親鸞や法然ではなく、なぜ謎めいた僧、空也を描いたのか。
「空也上人は、親鸞の250年以上も前に登場し、踊り念仏の一遍に大きな影響を与え、浄土教の先駆けと言われる人なのです。教団を作らず、生涯市井の民と生きた異色の人ですが、醍醐天皇の血筋をひくともいわれます。高僧が庶民のために祈るなど考えられない時代でした。生き方として非常にドラマティックなのですね」
 虐待を受け左肘に治らぬ傷を負った少年時代、東国への修行遍歴、平将門との出会い。のちに将門の獄門首に念仏を捧げる姿は、念仏を唱えれば大悪人でも救われるはずだと説いた空也の真骨頂です。
 なぜ、空也は辻に立ち念仏を唱え続けたのか。なぜ、すべてを捨てて、庶民のために生涯を捧げることができたのか。欲も恨みも、絶望さえも、すべて認めてすべて捨てよと説いた空也。まさに『捨ててこそ 空也』の面目躍如たる言葉がちりばめられた本書は、大きな感動を誘わずにはおかない歴史小説です。
 

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2017年12月15日   お知らせ / 今月の1冊
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