ホーム > 新潮文庫 > 新潮文庫メール アーカイブス > 異才芸人・板倉俊之が挑む超弩級ノンストップ・エンタテインメント!
新潮文庫メールマガジン アーカイブス
異才芸人・板倉俊之が挑む超弩級ノンストップ・エンタテインメント!

板倉俊之蟻地獄
 お笑いコンビ「インパルス」結成から20年をむかえた板倉俊之さんが、 いま、作家として注目されています。芸人として、コントの作・演出を全て手掛けてきましたが、小説家としても実は10年目。 『蟻地獄』は、執筆に2000時間を費やした長編小説の文庫化です。

 さて、物語は──。二村孝次郎と大塚修平は小学校からの幼馴染み。19歳になった2人は、いつものように連れだってパチンコに興じていた。 この日は、更に一攫千金を目論み裏カジノへ乗り込み、ブラックジャックで大金を手にする。ところが、喜びも束の間、イカサマは見破られていたのだ。 5日後までに300万円を用意できなければ、人質の修平が殺される。孝次郎は金を作るため、高額で売れる「モノ」を求めて青木ケ原樹海へと向かうのだが......。

 ノワール小説かと思いきや、実は巧妙なサスペンス。二転三転、仕掛けがたっぷり詰まっています。生か死か──現代社会の闇を背景に、 「アリジゴク」に嵌まった若者の極限の姿がリアルに描き出されます。
 560ページ超を感じさせない圧倒的筆力で、読む者を欺くサスペンス巨編。技が光る『蟻地獄』の世界を思う存分お楽しみください!

クール&ワイルド、エルモア・レナードの傑作 西部小説ウェスタン『オンブレ』を村上春樹訳で!
エルモア・レナード村上春樹/訳
オンブレ
 村上春樹さんは読者との交流サイト 「村上さんのところ」で、 何度観ても飽きない映画として、「真昼の決闘」(フレッド・ジンネマン監督、ゲイリー・クーパー主演、1952年)を挙げている。 村上さんは西部劇が好きなのだ。表題作『オンブレ』はアパッチに育てられ、 〈オンブレ=マン〉と呼ばれた伝説の男ジョン・ラッセルの物語である。 語り手アレン(駅馬車会社の若者)が、ラッセルと酒場で出会うはシーンは鮮烈だ。

《ミスタ・メンデスが私に言った。「ラッセルをよく見ておくんだぞ。この先の人生で、あんな男にはまずお目にかかれないからな」》

 インディアン風の浅黒い顔の中に、淡いブルーの瞳を持つ男は何者か......。この作品は若きポール・ニューマン主演で西部劇の「太陽の中の対決」(1967年)として映画化されている。さらに併録の短編「三時十分発ユマ行き」は、何と2度も映画化されている(「決断の3時10分」グレン・フォード主演、1957年、「3時10分、決断のとき」ラッセル・クロウ主演、2007年)。
 
 村上さんは2つの小説を「半世紀以上の時を経てもまったく古びていない」と訳者あとがき(「神話としてのウェスタン」)に書いている。
 悪党たちと荒野の男の息詰まるシーン、駅馬車の乗客フェイヴァー夫人やマクラレン嬢など魅力的な女性たち、スリリングな展開は時間ときを忘れるほど面白い。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年02月15日   お知らせ / 今月の1冊
  •    
  •