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姉妹小説の名作『ふたり』が帰ってきた!


 1989年の単行本刊行以来広く読まれ続け、累計160万部突破のベストセラーとなった『ふたり』。映画やドラマ、舞台にもなりましたので、さまざまな形で本作に触れた方も多いのではないでしょうか。

 優等生の千津子とマイペースな実加。ふたりは仲のよい姉妹でしたが、ある日、千津子は交通事故に巻き込まれ、高校2年生で帰らぬ人に。けれどその後、実加の頭の中に死んだはずの千津子の声が聞こえてきます。姿は見えないものの、千津子は実加を見守り、支え続けてくれます。姉妹の絆が胸に迫る青春小説です。

『いもうと』は『ふたり』から11年後、27歳になった実加の物語です。大好きな姉に続いて母をも亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、今や中堅社員となった実加の前に、見知らぬ女の子が――。
 突然の珍客のほかにも、実加には次々と難題が押し寄せます。会社の一大プロジェクトを任され、危うい恋に近づき、相変わらずの父親に振り回され......。けれど数々のピンチをしっかり切り抜けられそうなパワーも感じます。『ふたり』の頃よりもずいぶん頼もしくなったのだなあ......と、気づけば姉のような、親のような視線で、実加を追いかけてしまいました。
 そしてある夜、久しぶりに「あの声」が実加に語りかけます。『ふたり』よりも大人っぽいやりとりにも、ご注目ください。

 巻末の「解説」は、大林宣彦監督の映画「ふたり」にも出演した中江有里さんがお書きくださいました。赤川作品の愛読者として、映画のキャストとして、そして自身も妹をもつ姉として、『ふたり』と深く関わってきた中江さんならではの、鋭くも愛情のこもった解説です。

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2022年04月15日   今月の1冊
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