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ゴッホ、モネ、ルノワール......美術ミステリー史上、もっとも鮮やかに描かれた大どんでん返し!


 東京・上野の森美術館で開催中の「モネ 連作の情景」展が人気を集めており、12月4日には来場者が20万人を突破しました。モネをはじめとした印象派や、ゴッホに代表される後期(ポスト)印象派の絵画は、日本にも多くのファンがいます。でも、もしそんな絵画たちが倉庫の奥底に眠っていたとしたら......?

 バブル期に180億円で落札されたゴッホ「医師ガシェの肖像」。その十数年後、この絵は厳重に警備された倉庫の中で、モネやルノワールなど134枚の世界的名画とともに保管されていました。
 同じ頃、デザイナーの荘介とスナックオーナーの茜は、投資詐欺事件に巻き込まれ、膨大な借金を背負います。そして、追い込まれた二人は絵画強奪を持ちかけられ......息つく暇ない騙し合いの末、最後に笑ったのは!?

 本作は、16万部突破のベストセラー『蟻の棲み家』によって注目を浴びる作家・望月諒子さんが2010年に執筆した美術ミステリーです。第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した渾身作で、当時の選考委員だった綾辻行人さんは、「達者な文章で綴られるストーリーは容易に先を読ませずサスペンスフル。読み手に与えるストレスとそのリリースの案配がとても優れているうえ、洒落っけたっぷりの外枠が読後感の良さに貢献している」とコメントしています。また、スリリングな展開の本作を、翻訳家の大森望さんは書評で「(ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した名画)『スティング』相手に一歩も引かない」と激賞しています。

 作中では、総額2000億円、135点の絵画が登場します。そこで、今回の文庫化にともない、作品の一部をカラー口絵で掲載。モネの「散歩、日傘をさす女性」「日本の太鼓橋」や、ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」などの世界的名画を楽しめます。
 本を開けば「大絵画展」の開幕! クリスマスの贈り物にもぴったりな一冊です。

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2023年12月15日   今月の1冊
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