ふかわりょうの不器用すぎる日常エッセイ。この面倒くささ、クセになる!
「ふかわりょう」と聞いたとき、みなさんはまず、どんな姿を思い描くでしょうか。
白いターバンを巻きリズムに乗って「あるあるネタ」をつぶやく姿か、帯番組のMCか、クラブでターンテーブルを操るDJか、ラジオのパーソナリティか――。
ご本人は「マルチタレント」と呼ばれることに嫌悪感を示されているようですが、「マルチ(複数の)タレント(才能)」があることは、このたび刊行された新刊『世の中と足並みがそろわない』を読めば疑いようがありません!
本作は2020年に発売され2万部以上を売り上げた同名作品の文庫化なのですが、〈ふかわりょう初の文庫本〉という記念すべき作品でもあります。
「三軒茶屋を〈三茶〉と略せない」「女性を下の名前で呼べない」「AIにおすすめされる曲なんて聴きたくない」など、独特なこだわりが詰まったエッセイ集。実は、この本の装幀や帯にも、そんなこだわりが目いっぱい詰め込まれています。
特に、一頭だけいる「ヘッドホンをした羊」は、ふかわさんのこだわりなしでは生まれなかったことでしょう。帯がかかった状態だと、ちょろっと頭だけが見えるのもポイントです!
エッセイスト・ふかわりょうの魅力が、目いっぱい詰まった1冊。「ふかわさん、不器用すぎます......!」と思いながら読み進めるうちに、「あれ、なんかちょっと分かるかも」と共感してしまう不思議なふかわワールドを、ぜひお楽しみください!
2023年12月15日 今月の1冊