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1月17日(水)22時よりフジテレビ系にて連続ドラマ化!


 この物語の主人公はわたしである。わたしというのは名前のない登場人物の名前のかわりの「わたし」とかそういうややこしいやつじゃなくて、そのまま筆者のことである。筆者は一九八一(昭和五十六)年一月生まれ、職業は小説家一割アルバイト九割、独身、現在のところ結婚の見通しはまったくたっていない――

 南綾子・著『婚活1000本ノック』はこんな書き出しで始まります。小説が「わたし」や「僕」といった一人称で書かれることはよくありますが、そうではなく、本作は著者の南さん自身の人生や経験を描いたものだと明言されています。

 そうかと思うと2ページ先では、

 さて、唐突だが、読者のみなさまは、"霊視体験"をしたことがおありだろうか。わたしはある。

 と宣言し、以前に関係をもった男・山田が幽霊となって自分のもとに現れた日のことを語り始めます。山田は成仏するために、生前に誰かと交わした約束を果たさねばならず、南さんの「彼氏と温泉に行きたい」という願いを叶えるため、婚活の手伝いをすると申し出ます。こうして、南さんの「婚活1000本ノック」はスタートしました。
 実話と言いながら「幽霊」。婚活成功が成仏への道。真面目なのかふざけているのか、この奇妙な構造と、南と山田の遠慮のない掛け合いが本書の大きな魅力です。

 もう一つの魅力が、コミカルな文体と展開のなかに、「誰かと出会って、ともに生きる」ことへの真摯な渇望が描かれているところです。

「でもみんなちょっと不器用なの。ちょっと不器用っていうかさ、なんか変なこだわりがあったりさ、人づきあいが苦手だったりさ、空気が読めなかったりさ、髪の毛なかったりさ、そういうことがあってなかなかうまくいかないけど、でもみんな、誰かのことを好きになって、その人と結ばれて、幸せになりたいだけなんだよ」

 第五話で南さんが泣きながらこう叫ぶ場面には心を揺さぶられずにはいられません。婚活経験の有無にかかわらず、思いきり笑って泣いて、気づけば他人事ではなくなっているような作品です。

 そして本作は、1月17日(水)22時よりフジテレビ系にて連続ドラマ化が決定しました。南さん役は3時のヒロイン・福田麻貴さん、山田役はFANTASTICS from EXILE TRIBE・八木勇征さん! 激しくて切ない婚活の行方を、小説でもドラマでもぜひ見届けていただけたら幸いです。

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2024年01月15日   今月の1冊
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