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[ジュンパ・ラヒリ『低地』刊行記念特集]

波 2014年9月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/08/27

発売日 2014/08/27
JANコード 4910068230942
定価 102円(税込)

[ジュンパ・ラヒリ『低地』刊行記念特集]
山田太一/美しい感情の抑制と爆発
【インタビュー】ジュンパ・ラヒリ/構想16年、待望の新作長篇

ジュノ・ディアス『ハイウェイとゴミ溜め』
都甲幸治/ディアス文学の出発点

『ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―』(新潮文庫)
柴田元幸/マーク・トウェインと名声

白石一文『愛なんて嘘』
越智月子/嘘でもいいから

乃南アサ『それは秘密の』
宮崎香蓮/長風呂と短篇

仁木英之『仙丹の契り―僕僕先生―』
僕僕先生/ある仙人のひとりごと

早見和真『イノセント・デイズ』
藤田香織/後ひき度MAX! 動揺必至の衝撃作

長江俊和『出版禁止』
長江俊和/小説家・長江俊和に訊く

伊与原新『磁極反転』
吉野 仁/地球の大異変とミステリーが融合した!

[石井光太『浮浪児1945-―戦争が生んだ子供たち―』刊行記念対談]
半藤一利×石井光太/歴史に空いた穴を

木村友祐『聖地Cs』
斎藤美奈子/ヤワな観念論をぶっ飛ばす震災後文学

青山文平『約定』
池上冬樹/武士たちの肖像を格調高く

[『機巧のイヴ』刊行記念インタビュー]
乾 緑郎/色香の漂う歯車たち

古野まほろ『六億九、五八七万円を取り返せ同盟!!』
村上貴史/仕掛けと伏線に満ちた騙し合い

松山 巖『須賀敦子の方へ』
佐久間文子/錯綜する時間の糸で織り上げられた物語

中村元 訳/丸山勇 写真/佐々木一憲 解説『ブッダの言葉』
竹田武史/生きる力と勇気を授かる

香山リカ『怒り始めた娘たち―「母娘ストレス」の処方箋―』
近藤ようこ/私だけじゃない

上原善広『石の虚塔―発見と捏造、考古学に憑かれた男たち―』
増田俊也/文学にまで昇華された日本考古学史

今尾恵介『東海道新幹線開業50周年記念 世界最速「車窓案内」』
今尾恵介/「日本」が凝縮された車窓

矢部 武『60歳からの生き方再設計』(新潮新書)
矢部 武/準備はできるだけ早めに

『国境の人びと―再考・島国日本の肖像―』(新潮選書)
足立倫行/国境で生きる人々を通して見た最前線リポート

[新潮文庫 創刊100年記念特集]
新潮文庫の100年
鹿島 茂/世界へ窓を開いた翻訳文学のパイオニア
「100年前の新潮文庫」復刻ドキュメント
松田哲夫/アンソロジー編集の喜び
大森 望/ありえないほど純粋なラブストーリー

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第18回
末盛千枝子/父と母の娘 第6回
津村記久子/やりなおし世界文学 第4回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第54回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第12回
石原千秋/漱石と日本の近代 第15回
木皿 泉/カゲロボ日記 第5回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第18回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第13回
森まゆみ/子規の音 第8回
久間十義/デス・エンジェル 第14回
高橋秀実/とかなんとか言語学 最終回
津村節子/時のなごり 第36回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、ジュンパ・ラヒリです。一九六七年、ロンドン生まれのラヒリはデビュー作の短篇集『停電の夜に』(新潮文庫)がいきなりニューヨーカー新人賞、ピュリッツァー賞文学部門などを受賞しました。以後、『その名にちなんで』『見知らぬ場所』(いずれも新潮クレスト・ブックス)を発表し、若くして名手と称される存在となった彼女の四作目『低地』は、インドのカルカッタに生まれた兄弟とその家族の波瀾に富んだ半世紀を、静謐にして胸に沁み入る文章で綴った長篇です。四八〇頁におよぶ大作ですが、巧緻な描写と衝撃的なストーリー展開に魅了されます。写真は著者の近影ですが、ベンガル系インド人の両親をもつラヒリは、ご覧のようにその端正でエキゾチックな風貌でもファンの心を捉えています。この『低地』を含む一二作品を集めた「新潮クレスト・ブックスフェア」が、九月上旬から全国約一八〇店の書店で行われます。ノーベル賞受賞のアリス・マンロー『ディア・ライフ』、復刊したジュノ・ディアス『ハイウェイとゴミ溜め』など粒ぞろいですので、ぜひこの機会にご一読ください。
◇3・11の福島原発事故で露呈した近代文明の有限性を論じて、新たな人間観と世界観を提唱する加藤典洋氏『人類が永遠に続くのではないとしたら』が好評発売中です。各誌紙で話題の本書をめぐるトークイベントが一〇月二〇日(月)一九時半から、東京のジュンク堂書店池袋本店の四階喫茶で行われます。対話のお相手は、新刊『優雅なのかどうか、わからない』(マガジンハウス)が完成したばかりのいま最も注目の作家、松家仁之氏です。定員四〇名で入場料は一〇〇〇円(ドリンク付)。お問い合わせは同書店(電話03-5956-6111)までお願いします。
◇高橋秀実氏の『とかなんとか言語学』は、今月号で連載を一旦終了いたします。ご愛読いただき、有難うございました。連載をまとめた単行本はいずれ、小社より刊行の予定です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。