今月の表紙は瀬戸内寂聴さんの生原稿。
[瀬戸内寂聴『老いも病も受け入れよう』刊行記念特集]
波 2016年6月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2016/05/27 |
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JANコード | 4910068230669 |
定価 | 102円(税込) |
池内 紀/江戸の事件にのぞく、平成ニッポン
藤田香織/傍観者ではいられない、胸に刻まれる物語
森 美樹『幸福なハダカ』
吉田伸子/“ハダカ”な心を、優しく肯定する一冊
梓澤 要『荒仏師 運慶』
島内景二/永遠という仏
アレクサンダー・マクラウド 小竹由美子/訳『煉瓦を運ぶ』(新潮クレストブックス)
佐伯一麦/身体性をめぐる七つの変奏
市川紗椰/「してあげたい」に込められた想い
角野栄子/大人にも子供にも属せない孤独を抱えて
ウィリアム・サローヤン 柴田元幸/訳『僕の名はアラム』
宮下 遼/グレート・アメリカン・ノベルの中の旧世界
トマス・ハーディ 河野一郎/訳『呪われた腕―ハーディ傑作選―』
中島京子/ヒース、針エニシダ、夏目漱石
フィリップ・ロス 中野好夫・常盤新平/訳『素晴らしいアメリカ野球』
上岡伸雄/訳者泣かせの過剰ぶり
成毛 眞/シャープの盛衰を決めた「伝説の技術者」
山本博文『格差と序列の日本史』(新潮新書)
山本博文/「格差社会」と歴史家の視点
[猪木武徳『自由の思想史 市場とデモクラシーは擁護できるか』著者対談]
猪木武徳×宇野重規/自由と不自由のあいだ
阿川尚之『憲法改正とは何か―アメリカ改憲史から考える―』
待鳥聡史/憲法はどう生かされているか
[池内 恵『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』著者インタビュー] 池内 恵/日本人が陥る中東問題のワナ
[服部泰宏『採用学』著者インタビュー]
服部泰宏/うちの会社にとっての優秀さとは何か?
高坂正堯『世界地図の中で考える』
細谷雄一/なぜ「悪」を取り込む必要があるのか
新潮選書ベストセレクション2016
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第4回
木皿 泉/カゲロボ日記 第26回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第34回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第75回
大澤真幸/山崎豊子の〈男〉 第4回
津村記久子/やりなおし世界文学 第25回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第15回
森 功/暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち 第5回
佐藤賢一/遺訓 第6回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 第3回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から カット 水上多摩江
編集長から
今月の表紙は瀬戸内寂聴さんの生原稿
◇今月号から編集長が交替しました。二十五年くらい前、入社面接で奇妙な柄のネクタイをした中年男から希望部署を訊かれ、「えーと、『波』に配属されたいです」と答えるとフフンと鼻で笑われたのを急に思い出しました。「波」は各部署からの寄り合い所帯で、専従の編集者なんていなかったんですね(今もいません)。だから鼻先であしらわれても仕方ないのですが、今から思うと、〈変化球で返す嫌味な学生〉と受け取られたのかもしれません。地方都市に住んでいた十代の頃、このリトル・マガジンで小林信彦さんの「小説世界のロビンソン」や大江健三郎さんの「小説のたくらみ、知の楽しみ」や筒井康隆さんの「夢――もうひとつの現実」などの連載や対談類を愛読していたので、本心ではあったのです。ちなみにネクタイ趣味が微妙な男は優秀な編集者で、僕の尊敬する先輩になりました。次号からも宜しくおつきあい下さい。
新潮社ホームページ情報
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新訳・復刊コレクション 「村上柴田翻訳堂」刊行中!
http://www.shinchosha.co.jp/murakamishibata/
新潮選書 ベストセレクション2016
猪木武徳×宇野重規/自由と不自由のあいだ
■阿川尚之『憲法改正とは何か―アメリカ改憲史から考える―』
待鳥聡史/憲法はどう生かされているか
■[池内 恵『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』著者インタビュー] 池内 恵/日本人が陥る中東問題のワナ
■[服部泰宏『採用学』著者インタビュー]
服部泰宏/うちの会社にとっての優秀さとは何か?
■高坂正堯『世界地図の中で考える』
細谷雄一/なぜ「悪」を取り込む必要があるのか
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。