今月の表紙の筆蹟は畠中恵さん。
[畠中恵『おおあたり』刊行記念特集]
波 2016年8月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2016/07/27 |
---|---|
JANコード | 4910068230867 |
定価 | 102円(税込) |
[佐藤 優『君たちが知っておくべきこと―未来のエリートとの対話―』刊行記念対談]
加藤陽子×佐藤 優/いつか、この国を支える君たちへ
[今野 敏『去就―隠蔽捜査6―』刊行記念インタビュー]
今野 敏/何回書いても、書き切れない。
[畠中 恵『おおあたり』刊行記念特集]
大森 望/全作品、違う魅力にあふれる驚異のシリーズ
祝『しゃばけ』ミュージカル化! 『おおあたり 記念版』の謎に迫る
近衛龍春『九十三歳の関ヶ原 弓大将大島光義』
末國善己/隠居せず、戦場に立ち続けた実在の武将
本城雅人『英雄の条件』
村上貴史/横綱相撲の野球&ジャーナリスト小説
[及川眠子『破婚―18歳年下のトルコ人亭主と過ごした13年間―』刊行記念対談]
岩井志麻子×及川眠子/外国人年下男にハマった私たち
鈴木一功『ファイティング40、ママはチャンピオン』
鈴木一功/情熱の行方
ペーター・シュタム、松永美穂訳『誰もいないホテルで』(新潮クレスト・ブックス)
堀江敏幸/そのままでいてください
[高山なおみ『ロシア日記―シベリア鉄道に乗って―』『ウズベキスタン日記―空想料理の故郷へ―』刊行記念対談]
堀部篤史×高山なおみ/「犬の目線」で旅をする
[福永 信/編、柴崎友香、岡田利規、山崎ナオコーラ、最果タヒ、長嶋 有、青木淳悟、耕治人、阿部和重、いしいしんじ、古川日出男、円城 塔、栗原裕一郎『小説の家』完成記念]
福永 信/「小説の家」通信
[小島慶子『解縛―母の苦しみ、女の痛み―』(新潮文庫)文庫化記念対談]
安冨 歩×小島慶子/次は男たちの「解縛」がはじまる――。
NHKスペシャル取材班、北博昭『戦場の軍法会議―日本兵はなぜ処刑されたのか―』(新潮文庫)
一ノ瀬俊也/戦争を支えた「官僚」の物語
村尾泰弘『家裁調査官は見た―家族のしがらみ―』
村尾泰弘/家族ほど厄介なものはない
NHKスペシャル取材班『僕は少年ゲリラ兵だった―陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊―』
板垣淑子/二度と戦争だけには行きたくない
増田俊也、中井祐樹『本当の強さとは何か』
夢枕 獏/中井祐樹という生き方
湯川 豊『星野道夫 風の行方を追って』
松家仁之/星野道夫がいま人を惹きつけるのはなぜか
[長谷川康夫『つかこうへい正伝 1968-1982』新田次郎文学賞受賞記念鼎談]
水道橋博士×樋口毅宏×長谷川康夫/つかこうへいとは、何者だったのか?
【コラム】
川上弘美『ニシノユキヒコの恋と冒険』
原 幹恵/映画になった新潮文庫
三橋曉の海外エンタ三つ巴(最終回)
考える人―多彩な新連載がスタート
【連載】
津村記久子/やりなおし世界文学 第27回
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第6回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第5回
大澤真幸/山崎豊子の〈男〉 第6回
森 功/暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち 第7回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第36回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第77回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第17回
木皿 泉/カゲロボ日記 第28回
佐藤賢一/遺訓 第8回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 第5回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から カット 水上多摩江
立ち読み
編集長から
今月の表紙の筆蹟は畠中恵さん
◇表紙の筆蹟は畠中恵さん。さきごろ第一回吉川英治文庫賞を受賞した「しゃばけ」は第一作以来十五周年を迎え、累計部数は実に七百万部超、この夏は待望のシリーズ最新作『おおあたり』が刊行され、さらに〈2.5次元〉ミュージカル化されることが決定しました(2017年1月19日~28日、於・紀伊國屋サザンシアター)。特集では、新作そしてシリーズの魅力を大森望さんに解説してもらい、ミュージカル(表紙のイケメンたちが出ずっぱり!)や『おおあたり 記念版』については、あゆぞう&おこぐ&鳴家が語ります。◇少年時代、大江健三郎さんの『新しい人よ眼ざめよ』を読んでむちゃくちゃ感動しました。それはいいのですが、なかんずく語り手の長男を「イーヨー」としたネーミングの異様な凄さに興奮したのです。つまり、僕は『クマのプーさん』を読んでいなかったわけですね。のちに初めてあの物語を読んだ時、陰鬱な表情のままボソボソ喋って爆笑をとる老獪な喜劇俳優のようなロバのイーヨーが、あまりにイメージと違って吃驚しました。その後何かで、実際の大江家ではご長男の光さんを「プーちゃん」と呼んでいたと知り納得することになります。
◇小誌で連載していたA・A・ミルン作、阿川佐和子訳の「ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険」が『プーの細道にたった家』と改題して七月下旬に刊行されました。『プー横丁にたった家』(石井桃子訳。松本恵子訳では『プー公横町の家』)として戦前から親しまれてきた、プー物語完結篇です。先日新潮文庫に入った『ウィニー・ザ・プー』(『クマのプーさん』をやはり阿川さんが新訳したもの)ともども消夏の読書にぜひ。プーもイーヨーもコプタンもウサギも、何ともばかばかしく、羨ましいくらい無意味で、飛び切りにかわいくて、圧倒的に豊かな上、最後は感動してしまいます。そして、森にはだんだん来られなくなるんだというクリストファー・ロビンの成長した姿に、大江さんの小説の結末部でイーヨーという呼び名を拒絶する〈新しい人〉のふるまいが重なってきます。
◇新潮社ホームページ、リニューアル!
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新シリーズ「村上柴田翻訳堂」刊行中。
http://www.shinchosha.co.jp/murakamishibata/
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。