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今月の表紙は、『劇場』が五月十一日に刊行される又吉直樹さん。

波 2017年5月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/04/27

発売日 2017/04/27
JANコード 4910068230577
定価 102円(税込)


平岩弓枝/なつかしい面影 第8回

[『劇場』刊行記念インタビュー]
又吉直樹『劇場』
又吉直樹/恋愛がわからないからこそ、書きたかった

[『BUTTER』刊行記念インタビュー]
柚木麻子『BUTTER』
柚木麻子/複雑な味の、美味しい小説

クセニヤ・メルニク、小川高義/訳『五月の雪』(新潮クレスト・ブックス)
谷崎由依/掬い取る手つき

増田俊也『北海タイムス物語』
鵜飼哲夫/泣けた、笑えた六倍明朝

嵐山光三郎『芭蕉という修羅』
藤原作弥/俳聖・芭蕉の正体は?

森まゆみ『子規の音』
鹿島 茂/子規の生涯を描いたユニークなオマージュ

青山裕企『ネコとフトモモ』
青山裕企/確信を抱いた、最高の組み合わせ

木下直之『せいきの大問題 新股間若衆』
南 伸坊/「裸ったって、芸術じゃねえか、なあ」

本道佳子『疲れた胃腸を元気にする 週末ビーガン野菜レシピ』
馬場典子/心も満たす「和ビーガン」

ブリア=サヴァラン、玉村豊男/編訳・解説『美味礼讃』
平松洋子/じつは「人間礼讃」だった

西きょうじ『そもそも つながりに気付くと未来が見える―Everything is connected to everything else.―』
竹内 薫/今年ナンバーワンの知的エンタテインメント

川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』
高橋秀実/飛びたいと思うなよ

寺尾 玄『行こう、どこにもなかった方法で』
寺尾 玄/「バルミューダ」誕生までの驚きと興奮の道のり

[高田崇史『鬼門の将軍』刊行記念対談]
高田崇史×中野信子/平将門vsサイコパス

[神楽坂ブック倶楽部イベントレポート第二弾]
宮内悠介/一箱古本市に参加してみた

[スペシャル・トーク] 北村 薫×柳家喬太郎/漱石のうどん屋

高杉 良『組織に埋れず』(新潮文庫)
中沢孝夫/失敗ばかりの社員が大ヒットメーカーに

鹿島 茂『失われたパリの復元―バルザックの時代の街を歩く―』
成毛 眞/どうしても手元に欲しかった本

来住英俊『キリスト教は役に立つか』(新潮選書)
大澤真幸/ノン・クリスチャンの「役に立つ」

[宇多丸『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』刊行記念対談]
宇多丸×ジェーン・スー/そうだ! 宇多さん、スーさんに聞いてみよう

【コラム】
森 洋子『ブリューゲルの世界』(とんぼの本)
森 洋子/ブリューゲル 細部に宿る魂

成毛 眞『コスパ飯』(新潮新書)
成毛 眞/効率のいい「うまいもの」とは?

とんぼの本編集室だより

中沢けい『楽隊のうさぎ』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町

【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第15回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第14回
津村記久子/やりなおし世界文学 第36回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第2回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第45回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第86回
野村 進/多幸感のくに 第6回
木皿 泉/カゲロボ日記 最終回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第5回
佐藤賢一/遺訓 第17回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、『劇場』が五月十一日に刊行される又吉直樹さん。

◇今月の表紙は、と紹介するまでもありませんね。又吉直樹さんです。『火花』に続く最新長篇小説『劇場』が五月十一日に刊行されます。大きな話題となった「新潮」一挙掲載時に読みましたが、ボルテージの高い文体によって描かれた登場人物の誰かれがヒリヒリするように身近へ感じられて興奮しました。『火花』同様、人物の自意識と口に出されるコトバとの距離感が絶妙。この距離は場面によって当然伸び縮みして、その距離と変化が主人公たちの真情を読者へ効果的に伝えます。とりわけ、関係が危うくなった男女が、桜の季節に夜の羽根木公園あたりを二人乗りの自転車で走っていく場面の美しいこと! かつて小誌で井上ひさしさんが大江健三郎さんの『個人的な体験』のある場面を「日本文学史上もっともみずみずしい自転車走行シーン」と呼んだものですが(こちらは六月の雨の早朝。『自家製 文章読本』所収)、そこへ新たな名シーンが加わったわけです。
◇『劇場』のラストで、ふと映画「Wの悲劇」(澤井信一郎監督)を思い出しました。理由は単純ながら、伏せておきます。
119頁にもありますが、村上春樹さんに川上未映子さんがインタビューした『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く 村上春樹語る―』が刊行されました。『騎士団長殺し』を中心に、創作の現場について、年下の作家がぐいぐい斬り込んでいき、年長の作家はどんどん腹蔵なく答えていきます。ほとんどヒッチコック/トリュフォー『映画術』(晶文社)のように具体的で、示唆に富んだ、むやみと面白いロング・インタビューです。『映画術』について大岡昇平さんは「これだけ互いに手の内を明かし合って話し合うこと、小説家同士にはない。好意的に解釈すれば技術が内在していて、言葉になりにくいからだろう」と評しました。とすると、私たちは『みみずく~』で奇跡的な光景に立ち会っていることになります。『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮文庫)の村上さんのインタビュアーぶりは水際だっていましたが、川上さんの聞き手ぶりも凄い。
◇木皿泉さんの「カゲロボ日記」は今月で最終回。短篇連作「カゲロボ」は「小説新潮」で掲載中です。ぜひ、そちらも。
神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしています。詳細は107頁の広告、そしてHP、http://kagubookclub.com/を。

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。