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今月の表紙の筆蹟は、高杉良さん。

波 2017年6月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/05/27

発売日 2017/05/27
JANコード 4910068230676
定価 102円(税込)


平岩弓枝/なつかしい面影 第9回

[又吉直樹『劇場』刊行記念書評特集]
町田 康/運転中のラジオ

西 加奈子/未熟な者だけに許された

[高杉 良『めぐみ園の夏』刊行記念インタビュー]
高杉 良/いつも腹を空かせて、走り回っていた

[島田雅彦『カタストロフ・マニア』刊行記念特集]
島田雅彦/このまま黄昏れちゃっていいのか、人類

小島秀夫/アイロニーに満ちた苦い薬

金井美恵子『カストロの尻』
野崎 歓/「ここではなく、別の場所へ!」

梨木香歩『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』
吉田伸子/ささやくようなその声の向こうに

[川上未映子、村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子訊く 村上春樹語る―』刊行記念特集]
都甲幸治/投げ返されたボール

村上春樹ロングインタビューの舞台裏/みみずくが飛びたつまで

[木内 昇『球道恋々』刊行記念特集]
木内 昇/一番楽しかったのは私です

北上次郎/読みごたえ抜群の直球小説!

天野純希『信長嫌い』
細谷正充/信長に翻弄された男たちのドラマ

伊吹有喜『カンパニー』
藤田香織/上半期No.1の面白さ絶対保証!

古野まほろ『新任刑事』
村上貴史/中毒必至の緻密さがもたらす濃厚なスリル

前川 裕『アンタッチャブル―不可触領域―』
香山二三郎/“黒い報告書”より黒い犯罪小説

[西川貴教『おしゃべりな筋肉―心のワークアウト7メソッド―』刊行記念特集]
西川貴教/恥ずかしい、面倒くさいを乗り越えて、物語の主人公に

水野良樹/読めば自分を変えられる、誠実で優しい「説教」

瀬木比呂志、清水 潔『裁判所の正体―法服を着た役人たち―』
清水 潔/裁判官は「ソンタク」する

[神楽坂ブック倶楽部イベント詳報!]
[スペシャル・トーク]鳥海 修/書体で世界はがらりと変わる

竹宮ゆゆこ『おまえのすべてが燃え上がる』(新潮文庫nex)
高頭佐和子/燃え上がる炎の熱さと爆発の威力

澁川祐子『オムライスの秘密 メロンパンの謎―人気メニュー誕生ものがたり―』
トミヤマユキコ/これは楽しく読める「食の事典」だ!

第三十回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表


【新潮選書フェア】
佐伯啓思『経済成長主義への訣別』
内山 節/普通に生きる世界を取り戻そう

苅部 直『「維新革命」への道―「文明」を求めた十九世紀日本―』
細谷雄一/壮大なスケールの文明論

野口悠紀雄『世界史を創ったビジネスモデル』
野口悠紀雄/新たなビジネスモデルの地平を求めて

西成活裕『逆説の法則』
西成活裕/もっと長い目で見ませんか?

石原千秋『漱石と日本の近代』(上・下)
小森陽一/歴史と小説を同時に読み直す飛翔力

大澤真幸『山崎豊子と〈男〉たち』
平尾隆弘/なぜ、「男らしい男」を描けたのか?

川本三郎『「男はつらいよ」を旅する』
川本三郎/映画に“動態保存”された日本

【コラム】
荒山 徹『秘伝・日本史解読術』(新潮新書)
荒山 徹/奇想を育むためにも、もっと史実を

鈴木堅弘『とんでも春画―妖怪・幽霊・けものたち―』(とんぼの本)
東 雅夫/股の向こうに、お江戸が見える

とんぼの本編集室だより

村上春樹『螢・納屋を焼く・その他の短編』
原 幹恵/映画になった新潮文庫

【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第16回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第15回
津村記久子/やりなおし世界文学 第37回
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第46回
野村 進/多幸感のくに 第7回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第3回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第6回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第87回
佐藤賢一/遺訓 第18回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、高杉良さん。

今月の表紙の筆蹟は、高杉良さん。

◇今月号の表紙は、高杉良さん。某出版社製の200字詰め原稿用紙(ペラ)の升目を極太のボールペンで埋めていくのが長年の執筆スタイル。土曜日曜も関係なく、自宅近くの仕事場に〈出勤〉します。大きめの机は整理整頓され、辞書類が目立つだけ。あとは、執筆の合間の息抜きに声を出して歌うという唱歌や流行歌の小型歌詞集がぼろぼろになって置かれていました。
◇この経済小説の巨匠の新作は満を持して――自身の児童養護施設「めぐみ園」での体験を振り返った自伝的長篇小説になりました。ご両親が健在だったにもかかわらず、昭和25年(小学校6年生の時)から一年半ほど、千葉のとある〈孤児院〉へ預けられた実体験に基づく物語です。主人公の少年はおよそクヨクヨせず、あくまで向日的で、常に顔を上げ、日々を生き抜いていきます。表紙のための撮影に伺った際、作家は「あそこにいた間じゅう、ずっと駆けていた記憶があるんです」と呟いていました。映画「ALWAYS 三丁目の夕日」の舞台設定より10年近く前の、日本全体がさらに貧しかった時代の一少年の運命と行動に泣き笑いしながら、妙な具合に元気が出てくる小説です。ハードボイルドのように乾いてスピード感のある文体がなんとも魅力的です。
◇書体設計士・鳥海修さんの講演を採録しました(90ページから)。明朝体の歴史をひもとくことから始まる、本好きには興味津々の読物。編集者でありながら、書体についてあまりに無知だったことを反省しました。知れば知るほど面白い世界です。鳥海さんには、6月14日に神楽坂la kaguで第2弾の講演「書体で世界はがらりと変わる!~あなたは、どんな書体で読んでいますか~」をお願いしています。
◇書体に引っ張られるように、装幀についてもより深く知りたくなって、〈本をジャケ買いさせる男〉小社装幀部部長・黒田貴による「(誰もがそう思っているから、自分で言っちゃう)『新潮社の名装幀』のできるまで」というトーク・イベントを開催することにしました。夜郎自大なタイトルはご海容下さい。こちらは6月7日、場所はやはり神楽坂la kaguです。共にチケットはPassMarketにて。スマホからでもご予約できます。
◇神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしています。詳細は89ページの広告、そしてHP、http://kagubookclub.com/を。

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。