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今月号の表紙は森見登美彦さん。

波 2017年12月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/11/28

発売日 2017/11/28
JANコード 4910068231277
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第3回

[森見登美彦『太陽と乙女』刊行記念特集]
[インタビュー]
森見登美彦/道半ばのエッセイ道

[特別描き下ろし漫画]
黒田硫黄/茄子のなりかた

ビートたけし『アナログ』
[特別書評]
太田 光/『アナログ』を読んで――文学界への真摯な態度

角田光代、河野丈洋『もう一杯だけ飲んで帰ろう。』
藤原 寛/また近々飲みましょう。

村上春樹、カット・メンシック/イラストレーション『バースデイ・ガール』
辛島デイヴィッド/ひとりでも(みんなでも)もりあがーる?

コルム・トビーン、栩木伸明/訳『ノーラ・ウェブスター』
横山貞子/小さな町の力

久坂部羊『カネと共に去りぬ』
東 えりか/世界の名作と共鳴する現代医療の真実と嘘

樋口毅宏『アクシデント・レポート』
森永卓郎/痛烈かつ的確な社会批判、私は絶賛したいと思う。

[奥田亜希子『リバース&リバース』刊行記念]
「ハートの保健室」出張版「あなたのお悩みに答えます!」作家スペシャル

霧島兵庫『信長を生んだ男』
縄田一男/今年最後の大傑作

[『〈映画の見方〉がわかる本 ブレードランナーの未来世紀』文庫化記念対談]
町山智浩×滝本 誠/評論とはすなわち妄想である!?

渡辺京二『バテレンの世紀』
新保祐司/対等だったファースト・コンタクト

佐々木閑、宮崎哲弥『ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―』
魚川祐司/曲学阿世に流れない剛毅な一冊

夢眠ねむ『本の本―夢眠書店、はじめます―』
朝井リョウ/“本”が与えてくれるもの

[神楽坂ブック倶楽部『「文豪とアルケミスト」文学全集』刊行記念インタビュー]
谷口晃平/文豪×ゲーム×新潮社

内藤啓子『枕詞はサッちゃん―照れやな詩人、父・阪田寛夫の人生―』
工藤直子/阪田寛夫さんにしっかり会えた気がする

若宮正子『60歳を過ぎると、人生はどんどんおもしろくなります。』
茂木健一郎/若宮イズムに大いに共鳴したい

[中西裕人『孤高の祈り―ギリシャ正教の聖山アトス―』刊行記念対談]
中西裕人×最相葉月/ギリシャ正教の祈りとは

[短期集中連載]
南陀楼綾繁/ナミ戦記――あるリトルマガジンの50年史 1987~99

[星 新一フェア開催記念対談](新潮文庫)
新井素子×村田沙耶香/私の好きな星新一

星 新一『進化した猿たち―The Best―』(新潮文庫)
川本三郎/ヒトコマ漫画に見るアメリカ

[オマル・エル=アッカド、黒原敏行/訳『アメリカン・ウォー』(上・下)Specialインタビュー](新潮文庫)
オマル・エル=アッカド/憎しみの普遍性を描く

【コラム】
前田速夫『「新しき村」の百年―〈愚者の園〉の真実―』(新潮新書)
前田速夫/人見るもよし 人見ざるもよし

竹宮惠子画業50周年『「風と木の詩」メモリアルセット』
再現力のすごさ! 複製を超えた「一点もの」

とんぼの本編集室だより

杉田弘毅『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)
杉田弘毅/「地政学」だけでは決まらない!

【連載】
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第21回
津村記久子/やりなおし世界文学 第43回
野村 進/多幸感のくに 第13回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第9回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第93回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第12回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙は森見登美彦さん。

◇もう14年も前のことらしいのですが、「小説新潮」の編集部のソファで寝転んでいたら、出版部の先輩が入ってきて、「これ、今度出た本なんだけど、面白いんだよ。お前が好きそうなやつだからあげる」と出来立ての単行本をくれました。それが森見登美彦さんのデビュー作『太陽の塔』。なるほど、読んでみたら面白いの何の。
◇実は、編集者同士で、一緒に担当している作家の方の本は別として、あまり本をあげたりし合わないのです(評判を聞いたりして、「あれ、手元にあったら頂戴」「ちゃんと本屋さんで買って下さいよ」みたいなことはあります)。『太陽の塔』の評判は社内でアッという間に広がり、昔の編集者に聞かされた、「社内で『俺にもくれ』って『梟の城』の単行本の奪い合いになった」(ということは講談社の話ですね)、「印刷所の出張校正室で、『新選組血風録』(雑誌初出時)のゲラを回し読みした」(こちらは中公の話)なんていう司馬遼太郎さんが現れた頃の伝説を思い出したくらいです。
◇今月の表紙のために奈良公園で森見登美彦さんを撮影しました。新刊『太陽と乙女』は作家デビュー以来14年間の集大成的エッセイ集です。特典(?)として、14年前の日記が収録されています。その日記にせよ、本書の「まえがき」にしろ「あとがき」にしろ、まあ本当に人を食っていて、「読者の期待に応えない」(森見さんの座右の銘の由)どころではありません。眠る前におすすめの一冊。なぜ眠る前か、理由は「まえがき」をご覧ください。
◇ベストセラーになっているビートたけしさんの『アナログ』について、爆笑問題の太田光さんに書評をお願いしました。太田さんと同世代の私も、お母様のさきさんの死に際して、泣きじゃくるたけしさんの映像を記憶しています。この時、たけしさんが「新潮45」に発表した母を偲ぶエッセイは心うたれる名文で、白洲正子さんや高峰秀子さんといった〈目利き〉が絶賛していた記憶があります。先月号の角田光代さんの書評と太田さんのものを並べて読むと、『アナログ』が立体的に迫ってきて、くいくい面白がって読むだけだったおれの読み方は浅薄だったなあと反省しました。

◇神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしております。詳細はホームページ、http://kagubookclub.com/を。

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。