第50回 新潮新人賞
主催:新潮社 発表誌:「新潮」
第50回 新潮新人賞 受賞作品
いかれころ
受賞作品、各選考委員の選評については、2018年10月6日発売の「新潮」11月号にて掲載いたします。
受賞の言葉
《受賞作》
いかれころ/三国美千子(「桜河」を改題)
【略歴】(みくに・みちこ)
1978年11月大阪府生まれ。39歳。近畿大学大学院日本文学研究科修士課程修了。主婦。
【受賞の言葉】
昔、庭に花がたくさん咲く家に住んでいた。白、黄色、濃い桃色の小菊だとか、か細い桔梗、ふっさりした銀猫柳にこでまり。うねうねして虫だらけの鶏頭。そうしたものを死んだ祖父は農業のかたわら飽きることなく植え続けていた。母曰く、それらは仏にあげる花だったそうだ。「儂死んだら花屋でこうた花みたいなもん供えていらん。庭に咲いた花を供えてくれ」、と。しかし彼は亡くなる前に、自分の墓用の仏花の永久購買契約をむすんでいったそうだ。そういう私も四十九日以来、彼の墓には参っていない。代わりにはならないだろうが、河内の彼の耕していた土からできた小説をせめてもの供養にと思う。
こうした機会を与えて下さったすべての人々と様々な出来事のぜんぶに感謝する。
第50回 新潮新人賞 候補作品
いまここでこしらえている | 川瀬章太 | |
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練子と卯太郎 | 宮川朔 | |
善知鳥 | 樋口智 | |
ロボのいた海辺 | 松元聿佳 | |
いかれころ | 三国美千子 |
選考委員
過去の受賞作品
- ダンスさびしさは一個の廃墟
- 世界地図、傾く※「gurgle」を改題
- 彫刻の感想