「駅弁ジャーナリスト」の熱い思い

 大震災と鉄道をテーマに「鉄道地図帳」を編集しようと考えてから半年。茨城県から岩手県まで被災した鉄道を取材し、6月からはこのブログを開始、8月には「東日本大震災の記録」として1冊の「鉄道地図帳」にまとめることができた。それでもこぼれてしまった企画がいくつもあり、中でも「大震災と鉄道員」というテーマの記事ができなかったことは心残りである。
 発売後、「こういうテーマもあった」ということに気づかされたのが、駅弁である。『日本鉄道旅行歴史地図帳』で「駅弁掛紙歴史館」という連載をしていただいた上杉剛嗣さんは8月に『駅弁読本』(枻出版)を出された。冒頭の「駅弁学のスゝメ 駅弁歴40年の雑感」なかで、大震災で被災した駅弁屋の奮闘記を熱く語っている。
 鹿島臨海鉄道大洗駅の万年屋(こうじや)は、役場から3000人分の食事の用意を要請され、大型発電機でご飯を炊き、2台のトラックのヘッドライトの明かりで握り飯を作り続けた話。久慈駅の「ウニ弁当」の復活や気仙沼の「気仙沼想い弁当」の販売のことなどなど、現地に赴いて取材もされ、その様子を書かれている。こうなると駅弁趣味とか掛け紙蒐集家とかを超えて、「駅弁ジャーナリスト」でしょう。ご本人のホームページには、本に収まりきらなかった熱い思いが語られている。
 1冊の本に何もかも詰め込むことは不可能なことはわかっているものの、いつも「やり残し感」が残る。それはそれで「次への活力」にしていきたい。


 

 このブログは6月から週2回更新しながら続けて参りましたが、今回で一旦筆を置くことにしたいと思います。ここまでお付き合いをいただきました読者の皆様に感謝しております。11月には新たな「鉄道趣味ブログ」を開始する予定です。その中で「大震災と鉄道」も取り上げていきたいと考えております。ご高覧ありがとうございました。

田中比呂之


<投稿日:2011年10月27日>
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