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山下澄人「しんせかい」(160枚)
第29回 三島由紀夫賞発表 蓮實重彦・受賞記念インタビュー

新潮 2016年7月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/06/07

発売日 2016/06/07
JANコード 4910049010761
定価 特別定価998円(税込)

◆しんせかい[一六〇枚]/山下澄人
 19歳の山下スミトは【先生】の演劇塾で学ぶため、北海道に辿り着いた。記憶の痛みに貫かれ、【谷】での時を生き直す渾身の飛翔作!

◆雷鳴の湾――王女/金井美恵子
 コラージュとサーカス。イマージュの饗宴へ

◆トゥホルスキー通り/多和田葉子
 ベルリンの樹木は何語で立っているんだろう

◆光る文字/円城 塔
 海に浮かぶテキスト。太陽系ファイル探検史

◆高田馬場の馬鹿/滝口悠生
 離婚と震災。それでもポジティブな俺の諦念

◆ミライミライ[第二回]/古川日出男
 北海道産世界音楽「ニップノップ」誕生前夜

■■ 連載小説 ■■
■籠の鸚鵡(十一)[連載完結]/辻原 登

■TIMELESS(四)/朝吹真理子

■黎明期の母(六)/島田雅彦

■岩場の上から(八)/黒川 創

■ペインレス(十五)/天童荒太

■光の犬(十一)/松家仁之

■荒れ野にて(十八)/重松 清

■名誉と恍惚(二十二)/松浦寿輝

◆第49回《新潮新人賞》応募規定

■■ 第29回 三島由紀夫賞発表 ■■
【受賞作】
◆伯爵夫人(一部掲載)/蓮實重彦
【選評】辻原 登/高村 薫/川上弘美/町田 康/平野啓一郎
【受賞記念インタビュー】
小説が向こうからやってくるに至ったいくつかのきっかけ

◆死に臨んで彼が考えたこと――三年後のソクラテス考/加藤典洋
 脱獄せず、ソクラテスが死刑を受け入れたのは何故か。日本戦後思想の起点に通じる思考

■批評の魂[第七回]/前田英樹

■小林秀雄[第三十四回]/大澤信亮

■地上に星座をつくる/石川直樹
第四十二回・東松照明写真展『光源の島』開催記

■見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一四一回・50ペンスの記憶

■新潮
・ペトロ岐部カスイの信仰/加賀乙彦
・「感想」はおはがきで、/金井美恵子
・現実は漫画の劣化コピーか?/荻上チキ
・虚像論――女子アナの口説き方/久保田智子

■本
・平野啓一郎『マチネの終わりに』/川村文重
・金井美恵子『新・目白雑録 もっと、小さいこと』/鈴木了二
・桐野夏生『バラカ』/想田和弘
・吉増剛造『我が詩的自伝 素手で焔をつかみとれ!』/滝口悠生
・川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』/沼野充義

この号の誌面

立ち読み

編集長から

山下澄人『しんせかい』

◎気鋭作家が、決定的な主題と対峙し、これまでの文体さえも手放し、新しい言葉で新世界に挑む――山下澄人「しんせかい」(一六〇枚)はまさにそのような作品だ。主人公の山下スミトは十九歳。著名な【先生】が私財を投じて北海道の【谷】に開設した演劇塾に入るところから物語は始まる。実のところ、現実の作者も一九八〇年代半ばに十九歳で倉本聰氏の私塾・富良野塾に第二期生として入り、北海道の中央部で建設・農作業をしながら、演劇を学んだ。だが、本作に回顧の甘美なノスタルジーは皆無だ。思い出すことの痛みに貫かれながら、十九歳の体験を直視すること。あるいは思い出せない欠落に撃ち抜かれること。三十年前の体験を現在において、フィクションを通じて、生き直すこと。成否の判断は読者に委ねよう。だが山下氏は意志をもって飛翔した。どうかご注目を◎第二九回三島由紀夫賞蓮實重彦伯爵夫人」(小誌四月号掲載)に決定した。記念インタビューを掲載する。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞