蓮實重彦「伯爵夫人」(300枚)
新潮 2016年4月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2016/03/07 |
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JANコード | 4910049010464 |
定価 | 特別定価1,049円(税込) |
+後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
第三十九回・寄りクジラの浜
第一三八回・カラッポの仕事場
・私達自身のような「夭折の天才」
ドナルド・キーン『石川啄木』を読む/平野啓一郎
・はしたなうてこそ漂はめ
堀江敏幸『その姿の消し方』のほうへ/小山太一
・上田岳弘『異郷の友人』/中条省平
・滝口悠生『死んでいない者』/渡部直己
・縦書きのハッカソン/加藤秀行
・開高健の書棚/菊池治男
・肉体は猛烈に死を欲している/栗原 康
・想像力の行き着く先/乗代雄介
立ち読み
編集長から
忘却に抗う。
◎震災から五年後に発表する誌面を編集しながら、原稿たちの深い共鳴に感動した。古川日出男とミュージシャン後藤正文の対話「福島を旅して語った」。震災後の愛と死者の忘却をめぐる岡田利規の戯曲。デュラス「ヒロシマ・モナムール」の刺激的な再考を含む木村朗子「五年後の震災後文学論」。奥野修司が「被災地の霊体験」を綿密に取材し、見事に掴み出した人の精神の営み。これらの力作すべてが私たちに呼びかけている。今こそ、想像力をもって忘却に抗うべき時であることを◎蓮實重彦「伯爵夫人」(三〇〇枚)を一挙掲載する。本作は〈戦場〉を描くが、そこが戦地だとは限らず、国家間の戦いだとも限らない。そしてあらゆる意味で驚くべき〈テキスト〉である。この二つのことだけを予告しよう◎村田喜代子「エリザベスの友達」(新連載)は老老介護の現実の只中に、七〇年前の軍靴の音を鮮烈に響かせる。ここにもしたたかな忘却への抗いがある。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。