第49回 新潮新人賞発表 第25回 萩原朔太郎賞発表
古川日出男「野生の文学(ワイルド・リット)を追って」(評論130枚)
新潮 2017年11月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2017/10/07 |
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JANコード | 4910049011171 |
定価 | 特別定価998円(税込) |
第49回 新潮新人賞
[受賞作]
◆蛇沼/佐藤厚志
沼の底に淀む鬱屈。炸裂する暴力。
虐げられた若者たちの生の光陰。
〈インタビュー〉答えのない問いの中で
◆百年泥/石井
洪水の泥から百年の記憶が蘇る。
インド発、魔術×現実の新文学!
〈インタビュー〉インドから“けったいな”小説を目指して
【選評】大澤信亮 川上未映子 鴻巣友季子 田中慎弥 中村文則
◆コロキタイマイ/筒井康隆
「気違い爺さんが出て来て申し訳ありません」
フランス文学・思想への文士の異常な愛情。
◆バルパライソの長い坂をくだる話[戯曲]/神里雄大
坂をのぼりくだり、人はなぜ旅をするのか?
ペルーに生まれた劇作家の地球規模の想像力。
◆ニューヨーク、二〇一六年十一月/柴崎友香
摩天楼の下、作家は大統領選を見届ける。
世界とずれながら漂う「特別な時間」の終わり。
◆金字/円城 塔
アミダ・ドライブが迷える衆生を超光速で三千大千世界に案内する。究極の
◆キュー[新連載・第二回]/上田岳弘
人類進化の未来を幻視する、超越系文学の圧倒的新展開!
(新潮×Yahoo! JAPAN共同企画)
◆第50回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則
■第25回 萩原朔太郎賞発表
[受賞作]絶景ノート/岡本 啓
【選評】佐々木幹郎 建畠晢 松浦寿輝 三浦雅士 吉増剛造
◆
◆小林秀雄[第四十九回]/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第五十七回・ヒグマと一夜を過ごす
◆見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一五七回・ビルとアボリジニ
■本
・飴屋法水『彼の娘』/いしいしんじ
・高橋弘希『
・古川日出男『非常出口の音楽』/倉本さおり
・中村文則『R帝国』/鴻池留衣
・佐藤 優『学生を戦地へ送るには――田辺元「悪魔の京大講義」を読む』/福嶋亮大
・長野まゆみ『銀河の通信所』/文月悠光
・山下澄人『ほしのこ』/湯浅 学
■新潮
・村上芳正さんの『コクトー詩集』――『岩塩の女王』あとがきのあとがき――/諏訪哲史
・風の一撃――札幌国際芸術祭から/細馬宏通
・午前零時、首都高速六号線/高橋弘希
・語れなさを歩く/瀬尾夏美
・あんたが怪談/伊計 翼
■■ 連載小説 ■■
◆エリザベスの友達(十)[連載完結]/村田喜代子
◆格闘(九)/高樹のぶ子
◆野の春(十三)/宮本 輝
◆TIMELESS(十九)/朝吹真理子
◆荒れ野にて(二十九)/重松 清
この号の誌面
立ち読み
編集長から
第49回新潮新人賞発表/文学の野生種たち
◎第49回新潮新人賞が二千篇近い応募作より佐藤厚志(35歳)「蛇沼」と石井遊佳(53歳)「百年泥」に決定。新選考陣(大澤信亮、川上未映子、鴻巣友季子、田中慎弥、中村文則)による真摯な議論は白熱した◎「蛇沼」は宮城県の農家に暮らす青年の、沼のように淀んだ鬱屈と炸裂する暴力を濃密に描いてみせる。他方、「百年泥」はインドのIT企業で日本語を教える女性が主人公。百年に一度の洪水に襲われた直後の川を橋で渡る、その短い間に、次々と超常的な出来事が起こり、主人公の生は深く揺さぶられる◎古川日出男「野生の文学を追って」は地球規模化と保護主義に引き裂かれた現代において、小説は「野生種にならざるをえない」と宣言する。紫式部から村上春樹、さらに未来へ――UCLA講義を契機に誕生した画期的文学論だ◎新人賞二作にも地球規模化は及ぶ(「蛇沼」の外国人労働者、「百年泥」の主人公)。受賞者二人は文学の野生種として、この時代を生き抜くはずだ。
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。