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新連載 高橋源一郎「ヒロヒト」 保坂和志「ハレルヤ」
新発掘 川端康成「名月の病」「妻競」 坂口安吾「復員」

新潮 2018年4月号

(毎月7日発行)

特別定価998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/03/07

発売日 2018/03/07
JANコード 4910049010488
定価 特別定価998円(税込)

【大型新連載】
ヒロヒト高橋源一郎
昭和四年六月一日、ヒロヒトとクマグスは神島の森で何を語ったのか? 粘菌ミクロから世界史マクロまでを抱え込む、驚異の物語が幕を開ける!
ハレルヤ保坂和志
キャウ! リンパ腫を患った片目の猫“花ちゃん”の叫びは世界への賜物となる。十八年前に書かれた名作『生きる歓び』の運命的続編。
痒みドン・デリーロ
訳・解説 都甲幸治
離婚したばかりの男を襲う途切れることなき体の痒み。「ニューヨーカー」掲載最新短篇。
日曜日藤野可織
離婚を機に始まるまな子の新生活。情愛と自由の狭間で独立を模索する小説家の未来は。
川端康成 新発掘作品
名月の病/妻競

解説 深澤晴美
新発掘・坂口安吾「復員」とその背景斎藤理生

■■ 連載小説 ■■
◆ビッグ・スヌーズ(四)/矢作俊彦
◆キュー(七)/上田岳弘
◆格闘(十四)/高樹のぶ子
◆野の春(十八)/宮本 輝
◆荒れ野にて(三十四)/重松 清
第50回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】 ●大澤信亮 ●川上未映子 ●鴻巣友季子 ●田中慎弥 ●中村文則

【対談】「半他人」たちの都市と文学
多和田葉子 ロバート キャンベル
国家と個人、二つの極に引き裂かれる現代、都市の情景は創作者に何をもたらすのか。
【対談】エクストリームなミライへ
古川日出男 佐々木 敦
音楽のように一体化ユナイトし、映画の概念を超えて歴史を立ち上げる小説は可能か。白熱の議論ライヴ
【対談】即応する怒り、持続する怒り
星野智幸 武田砂鉄
今、小説と言論に問われるものは? 二項対立と排外主義の時代に怒り、異議を唱える。
◆鳥は空を泳ぐ魚――星野智幸『焔』を読む/安藤礼二

◆追悼・石牟礼道子/米本浩二
◆石――天と内臓をむすぶもの/今福龍太
――新しい宮沢賢治(4)
◆鶴見俊輔伝[第四回・二〇〇枚]/黒川 創
◆小林秀雄[第五十三回]/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第六十一回・悪夢の大雪
◆見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一六一回・ナニカトナニカ
■■ 本 ■■
◆山本貴光『文学問題(F+f)+』/市川真人
◆若松英輔『小林秀雄 美しい花』/大澤信亮
◆高橋源一郎『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』/片山杜秀
◆木村友祐『幸福な水夫』/木村朗子
◆加藤秀行『海亀たち』/栗原裕一郎
◆綿矢りさ『意識のリボン』/野中モモ
◆鴻池留衣『ナイス・エイジ』/速水健朗

■■ 新潮 ■■
◆母に会う/若竹千佐子
◆妻・石井遊佳の芥川賞受賞に想う/石井 裕
◆兄を認知しなかった理由/安田菜津紀
◆特別な日はひとしく雨/山岡ミヤ

この号の誌面

立ち読み

編集長から

高橋源一郎
新連載「ヒロヒト」

 高橋源一郎氏の「日本文学盛衰史」は二〇〇〇年に連載が完結した氏の代表作であり(刊行は二〇〇一年)、世紀の変わり目に日本文学が持ち得た最重要作品である。明治期の日本近代文学の史実と虚構が大胆にミックスされた同作の白眉は、胃潰瘍を患った漱石の大量吐血(修善寺の大患)について書こうとした書き手本人が致死的な下血に見舞われた展開だろう(原宿の大患)。高橋氏の胃潰瘍を写した胃カメラ画像が作品内に挿入され、一命をとりとめた「わたし」は病室で漱石と差し向かいで語り合ったのだ!
 そして今、「日本文学盛衰史」を継ぐ高橋氏の大型長編「ヒロヒト」連載を開始する。物語は昭和四年、天皇ヒロヒトがクマグスと和歌山県田辺で会い、粘菌について語り合うところから始動する。来る今上天皇の退位(二〇一九年)や東京オリンピック(二〇二〇年)をまたぎ、世界の激動をフィードバックしながら、「ヒロヒト」は日本文学の極限を更新していくはずだ。

新潮編集長 矢野 優

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞