筒井康隆「ジャックポット」
高橋弘希「海がふくれて」(120枚)
新連載 天童荒太「聖都創造」
新潮 2020年8月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2020/07/07 |
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JANコード | 4910049010808 |
定価 | 特別定価1,100円(税込) |
◆ジャックポット/筒井康隆
ウィズ・コロナで人類絶滅? 最強のツツイウイルスが小説に感染。復活の日は来るのか。
◆聖都創造[新連載]/天童荒太
人類の滅亡を目前にして、何のために生きるのか。ポスト・コロナを予見する近未来小説。
◆海がふくれて[一二〇枚]/高橋弘希
九年前、父は海で消えた。大人になりゆく少女が、嵐の日の灯台で生命の淵に潜り込む。
◆天使も踏むを畏れるところ[新連載第二回]/松家仁之
◆夢のなかで行った町[連作完結]/松浦寿輝
◆誰のものでもない幽霊たち/藤野可織
◆プリニウス(七十)/ヤマザキマリ+とり・みき
【第八回】河合隼雄物語賞・学芸賞発表
【物語賞授賞作】該当作なし
【学芸賞授賞作】チョンキンマンションのボスは知っている/小川さやか
――アングラ経済の人類学
【選評】中沢新一(学芸賞)
■■ 連載小説 ■■
◆曼陀羅華X 2004(六)/古川日出男
◆全然(十二)/滝口悠生
◆漂流(十五)/町田 康
◆チェロ湖(十七)/いしいしんじ
◆ヒロヒト(二十一)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(二十九)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(五十三)/重松 清
第53回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
◆【新連載】小津安二郎/平山周吉
二十世紀を代表する世界的映画「東京物語」の監督は、戦中・戦後をどう生きたのか?
◆往復書簡 読むたびにあふれてくる豊かさ/黒田夏子 蓮實重彥
◆重ね描かれる記憶の記憶/山本貴光
――黒田夏子『組曲 わすれこうじ』を読む
◆獅子文六の内なる日本 前篇/福田和也
◆ダークアンデパンダン/卯城竜太
◆木村伊兵衛のイマージュ/日高 優
――文士たちの肖像写真
◆コロナの認識論[新連載第二回]/養老孟司
◆あの頃何してた? [新連載第二回]/綿矢りさ
◆能十番 日英現代語訳[第三回・邯鄲]/いとうせいこう ジェイ・ルービン
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(13)
◆デッドエンドの思い出/吉本ばなな
◆最後の遠出/長島有里枝
◆OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第十一回・暗闇に追いつかれないように、光のあるうちに歩きなさい。
◆保田與重郎の文学(二十二)/前田英樹
◆水戸学の世界地図(五十二)[連載完結]/片山杜秀
◆小林秀雄(六十六)/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第八十七回・渋谷の鼠
◆見えない音、聴こえない絵(一八七)/大竹伸朗
■■ 新潮 ■■
◆死者の断片/司 修
◆6月20日、アトリエにて。/片山真理
◆ある兼業者のステイホーム/かげはら史帆
◆死の淵で、パイプを造る/上出遼平
◆超新星/井手健介
◆大量死の季節に――2つの死と、君の生と/七尾旅人
■■ 本 ■■
◆伊藤比呂美『道行きや』/鈴木涼美
◆富岡幸一郎『天皇論』/酒井 信
◆多和田葉子『星に仄めかされて』/佐々木 敦
◆天童荒太『迷子のままで』/田中和生
◆津村記久子『サキの忘れ物』/都甲幸治
この号の誌面
立ち読み
編集長から
筒井康隆「ジャックポット」
天童荒太「聖都創造」
◎新型コロナウィルスが人類に突きつける未知の世界の姿――もちろん、それは小説家の鋭敏な創造性を強烈に喚起するだろう。筒井康隆「ジャックポット」は、刻一刻と推移する感染状況と併走するように執筆され、電撃的に書き上げられた「新型コロナ文学」の傑作だ。ウィリアム・バロウズが言うように、言語がウィルスであるならば、筒井康隆が長年研ぎ澄ませてきた実験的言語の感染力はすさまじい。日本語が発熱している。読者には爆笑と悪寒を同時に体験してほしい◎新連載小説・天童荒太「聖都創造」はポストコロナの近未来世界像を、そこに生きる人間の営みを、地球スケールで描く壮大な挑戦。連載第一回目で早くも、カタストロフ(新型ウィルス感染症、大国間核戦争、深刻な放射能汚染)に襲われ、深く傷ついた人類の姿が生々しく浮上する。私たちはすでにポストコロナの新世界に突入していることを、この小説の切実なリアルさは教えてくれる。乞う御期待!
新潮編集長 矢野 優
松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献
(この小説は史実に基づいて書かれていますが、登場人物はすべて架空の人物です。)
- 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
- 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
- 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
- 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
- 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
- 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
- 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
- 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
- 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
- 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
- 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
- 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
- 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
- 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
- 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
- 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
- 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
- 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
- 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
- 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。