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特集【さても面妖な物語】勝山海百合/芦沢 央/長江俊和/前川 裕/小田雅久仁

小説新潮 2014年11月号

(毎月22日発売)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/10/22

発売日 2014/10/22
JANコード 4910047011142
定価 947円(税込)

特集【さても面妖な物語】

◆勝山海百合/麒麟に非ず
――千年を経てなお燻る古戦場の幽鬼。一笑に付す親方の一方で冬霞は

◆芦沢 央/許されようとは思いません
――私が結婚をためらう訳。それは、私の祖母が殺人犯だったから――

◆長江俊和/斯くして、完全犯罪は遂行された
――十五年ぶりに現れた元恋人。別れたことを後悔しているというが

◆前川 裕/吉原、紅蓮の蜃気楼
――風俗街で連続下着強盗が発生。何故か26年前の失踪事件が記憶を掠め

◆小田雅久仁/農場
――貧寒の青年が辿り着いた謎の施設。ハナバエを育てていると言うが

特集【夫婦の輪郭】

◆小島達矢/シルバーリング
――運命の相手と十三年ぶりに再会した俺は、また彼女に惹かれるが

◆遠田潤子/水槽の楽園
――あの人はいつも私を驚かせた。それにしても今回はあまりに想定外で

◆深沢 潮/かけらのかたち
――48歳、不妊治療を止めて十年。子ナシ夫婦が共に生きる意味とは?

◆森 美樹/さざなみを抱く
――倒れた夫から転がり出たある秘密。冷静さを装い介護する妻だが

【新連載】
◆楡 周平/ラストフロンティア
――日本にカジノを創る。事業の成否を巡って、男たちの賭けが始まる

【連載第二回】
◆月村了衛/カーガー
――殺されたウイグル人が呟いた「カーガー」。ヤクザ最高幹部が反応し

◆諸田玲子/風聞草(かぜききぐさ)墓標
――二十数年前の荻原重秀の死の秘密。せつはそれに迫ろうとしていた

◆二階堂ふみ/只今 文筆修業中
――書評的小説? 小説的書評? ともかく滅法新しい、物語へ捧げる恋文

【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介。
〈歴史・時代〉田口幹人/〈SF・ファンタジー〉石井千湖/〈恋愛・青春〉名久井直子

【好評連載小説】
阿刀田 高/芳香の女(ひと) 絵のない肖像11
飯嶋和一/翼人のかたみ
江上 剛/鬼忘島 金融検査官・伊地知の密命
木内 昇/球道恋々
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
西村京太郎/金沢が歴史を創った日
葉室 麟/鬼神の如く 黒田叛臣伝
原田マハ/暗幕のゲルニカ
森 達也/チャンキ
山本一力/マックでよい
山本幸久/アシタ、デキル?

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
椎名 誠/じいじいのヨロコビ 最終回
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第四回「日本医療小説大賞」のお知らせ
第二回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

ありえない別世界か、現実の地続きか
 なぜ小説を読むのかと訊かれて、真っ先に浮かぶ答えは何だろう? 大きく括れば「自分の知らない世界を垣間見ることができるから」と考える人が多いのではないか。リアルな別人生として、現実と地続きの物語を好む人もあれば、絶対に経験できないこととして、あり得ない世界の物語を好む人もあろう。
 今月は、その双方で特集を企画した。まず「さても面妖な物語」として、別世界の物語を示した。ファンタジーはもちろん、犯罪を描いたミステリーも、普通の生活をしている限りは別世界と言えるだろう。
 もう一つは「夫婦の輪郭」として、現実に根差した物語。とは言うものの、最も身近な自分の両親でさえ、本心をはっきり分かっているとは言いがたいのだから、他所の夫婦は言わずもがなである。現実の延長線上にある分、リアルな実感がより想像力を刺激するかもしれない。
 両方に共通しているのは、今の人生とは違うもう一つの世界。ご堪能下さい。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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