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特集【夕月夜 時代小説 待宵草】伊東 潤/辻井南青紀/梶よう子/梓澤 要/天野純希/澤田瞳子/武内 涼/青山文平

小説新潮 2015年10月号

(毎月22日発売)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/09/19

発売日 2015/09/19
JANコード 4910047011050
定価 947円(税込)

特集【夕月夜 時代小説 待宵草】

◆伊東 潤/落葉一掃
――北条と上杉の間で揺れ動く足利晴氏。気鬱の病も悪化の一途で

◆辻井南青紀/元の鞘 結婚奉行
――離縁の挨拶状が新十郎に届いた。元夫から死産が原因と聞くものの

◆梶よう子/こっぽりの鈴 みとや・お瑛仕入帖
――永代橋崩落後初めて会った幼馴染から、お瑛は花火見物に誘われるが

◆梓澤 要/恋のやっこ
――出戻り娘の広河女王。ある目論みを秘め、大伴家の宴に出席すると

◆天野純希/秀信の憧憬
――天下人すらひれ伏す己の血に気づいたとき、秀信が望んだこととは

◆澤田瞳子/名残の花
――時代の変化をかこつ老人が出会ったのは、世が世なら天敵で――

◆武内 涼/管領の馬 敗北者たち
――乱行無道と評された上杉憲政。息子を救出する為、馬を駆るのだが

◆青山文平/見抜く者
――徒目付になって三年。上司の雅之の忠告に、直人は心揺さぶられ

【新連載スタート】
◆貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
――大洋に浮かぶ神生島。吉兆をもたらすという伝承の男が帰還し――

◆増田俊也/北海タイムス物語
――一年だけだ。この北の新聞社で経験を積み、大新聞に行ってやる

【好評読み切り短編】
◆桜木紫乃/家族旅行
――夫をヒモ呼ばわりする母。反論したものの、なぜか不安は拭えない

◆林真理子/もし私の人生が……
――恋人とお金で苦労し、崖っぷちに立つ女性が見つけたアルバイトは

【第二回「新潮ミステリー大賞」決定発表】
――正体不明、分析不能、中毒必至。選考委員が唸った孤高の受賞作

[受賞作] 一條次郎「レプリカたちの夜」(抄)
[選評] 伊坂幸太郎/貴志祐介/道尾秀介

【連載コラム】
◆本の森
――新刊文芸書の中から、選りすぐりのお薦めを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助/〈医療・介護〉杉江松恋/〈ホラー・ミステリ〉村上貴史

【好評連載小説】
赤川次郎/7番街の殺人
朝井まかて/眩―くらら―
飯嶋和一/翼人のかたみ
伊吹有喜/カンパニー
逢坂 剛/鏡影劇場
木内 昇/球道恋々 最終回
近藤史恵/スティグマータ
今野 敏/去就 隠蔽捜査6
谷村志穂/アンクランプ
西村京太郎/神戸より愛をこめて 神戸電鉄殺人事件
三羽省吾/ヘダップ!
諸田玲子/風聞草墓標 最終回
山本一力/カズサビーチ ようそろ
柚木麻子/BUTTER

【連載エッセイ・ノンフィクション】
角幡唯介/ある鮪漁師の漂流
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/源氏姉妹(しすたあず)
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
二階堂ふみ/只今 文筆修業中 最終回
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル

第十四回「小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞」決定発表
第三回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

時間旅行への誘い
 夏休み、二十数年ぶりに法隆寺を詣でて来た。広い境内の一角に「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」の句碑があり、前書きには「法隆寺の茶店に憩いて」とある。そこに茶店があったかは定かでないが、とにかくその周辺で、正岡子規がこの句を詠んだのは確かである。その場面を想像すると、にわかに子規が身近に感じられ、閉門間近な静かな時間帯とも相まって、ちょっとした時間旅行の気分になった。
 子規に限らず、長い歴史の法隆寺を訪れた人物は数多いだろう。同じようにこの参道を歩いたのかな、などと考えると、自分の立っている場所が歴史と地続きであることを実感する。
 歴史・時代小説を読んでいるときも、同じことを考える。物語の中の人々が過ごし、目にした風景に想いを馳せるとき、その時間軸の延長線上に自分がいることを感じ、不思議な興奮を覚えるのだ。
 そんな感覚を味わっていただきたく、今月は総勢八本の大ボリュームで歴史・時代小説の特集をお贈りする。


小説新潮編集長 新井久幸

バックナンバー

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小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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