【創刊70周年記念大特集】獅子文六/黒岩重吾/北原亞以子/井上ひさし
小説新潮 2017年9月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2017/08/22 |
---|---|
JANコード | 4910047010978 |
定価 | 特別定価1,049円(税込) |
「小説新潮」創刊70周年記念号
■目次
【創刊70周年記念大特集】
――昭和22年、わずか64ページで創刊した本誌は「古希」を迎えます。その道のりを113ページにぎゅっと圧縮。小説誌の多彩な魅力をご堪能下さい
〈巻頭グラビア〉文士レアショットアルバム
〈時代を彩った作品大発掘〉
○本誌初登場小説・エッセイ
◆獅子文六/かれ毎日欲情す(昭和二十四年)
――文庫復刊の相次ぐ昭和のベストセラー作家が贈る滑稽譚
◆黒岩重吾/双恋の蜘蛛(昭和三十六年)
――嫉妬、金銭欲。初期の作風が存分に堪能できる推理小説
◆北原亞以子/片葉の葦(昭和四十五年)
――市井の弱者への温かい眼差しは、すでにこの頃からあった
◆井上ひさし/たそがれの浅草(昭和四十六年)
――著者が愛した浅草のインチキ文化。その魅力を語り尽くす
○お宝二大対談
◆吉田 茂×内田百閒 司会・徳川夢声/西小磯雨話(昭和三十一年)
――総理を辞して一年。文学者たちに見せた昭和の大宰相の素顔
◆吉行淳之介×野坂昭如/現代とエロチシズム(昭和四十七年)
――まさか現代を予見していた? 巨匠による警世のエロス談義
〈画期的年表〉小説新潮ビジュアル70年史
〈インタビュー〉
◆川野黎子(本誌元編集長)/もったいないような青春時代
〈特別エッセイ〉
◆坪内祐三/『小説新潮』が「国民雑誌」となって行くまで
〈保存版データ集〉小説新潮なんでもランキング
【新連載】
◆白石一文/ひとりでパンを買いに行く日々に
――かつて出版社に編集者として勤めていた野々村。当時の上司の死が、彼にもたらした思いとは? 著者初の小誌長編連載スタート!
【特選読み切り小説】
◆加藤 廣/女剣士・小笛九州下り
――正則からの密書を携え九州入りした女剣士。そこで出会ったのは
◆加納朋子/ワンダフル・フラワーズ(後編)カーテンコール!
――理事長が学園へ抱く熱い想いの裏には、悲しい過去があって
◆木皿 泉/運動場
――秘密を持つ子供が集う小学校。六年になるとあるゲームが始まり
◆小嶋陽太郎/象の像
――最愛の人からふられ、僕は永遠に立ち直れないと思ったけど
◆藤田宜永/土産話
――平々凡々な無風の人生が、私にはお似合いだ。なのに今になって
【連載第二回】
◆野口 卓/大名絵師写楽
【初秋のミステリ傑作選】
◆飴村 行/裂果 マアメイド
――スキャンダルにまみれた父の死後、音也は祖父に引き取られ
◆長岡弘樹/暗いヤード
――先輩と張り込みにでたぼく。暇を持てあまし悪戯を思いつく
◆長崎尚志/八本目の足
――強盗に入られた女性が死亡した。だが死因は心筋梗塞のようで
◆真梨幸子/アンサイクロペディア
――ウェブ百科事典に私が載っている!? しかも死亡予告まで……
【バラエティコラム】
〈わたしの愛用品〉 高田かや
〈いつか住みたい街〉 前野健太
〈あのとき聞いた音楽〉 ブレイディみかこ
【連載コラム】
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉 田口幹人 /〈SF・ファンタジー〉 石井千湖/〈恋愛・青春〉 高頭佐和子
【好評連載小説】
あさのあつこ/ハリネズミは月を見上げる
石田衣良/清く貧しく美しく
乾 緑郎/杉山検校
逢坂 剛/鏡影劇場
奥田英朗/霧の向こう
窪 美澄/トリニティ
小島慶子/陽だまりの宴 最終回
西村京太郎/広島電鉄殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
初野 晴/世界の果ては二つ
早見和真/ザ・ロイヤルファミリー
薬丸 岳/刑事弁護人
山本一力/船旗を替えよ!
山本文緒/自転しながら公転する
【連載エッセイ】
Oka-Chang/へそのお
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
武田砂鉄/ポジティブ・ファシズム
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
西 きょうじ/そもそも
群 ようこ/じじばばのるつぼ
第五回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
カスリーン台風と本誌の関係
昭和22年といえば、日本国憲法が施行されたり、片山内閣が成立したりと、終戦後間もない印象ですが、そんな年の9月、カスリーン台風が日本に接近する頃、本誌は創刊されました。全64ページで定価は18円。原本を手に取ると、雑誌というより小冊子です。以来70年、このほど目出度く「古希」を迎えました。「創刊70周年記念大特集」では、その長い道のりを113ページに圧縮。小説誌の多彩な魅力をお愉しみいただきます。
巻頭には「文士レアショットアルバム」と、70年の歴史が一目で判るビジュアル年表。続いて獅子文六、黒岩重吾、北原亞以子、井上ひさしと時代を彩った作家たちの本誌初登場作を再録。また、吉田茂と内田百閒(司会は徳川夢声)、吉行淳之介と野坂昭如による二大お宝対談。坪内祐三氏の特別評論や「小説新潮なんでもランキング」など。小説誌の黄金時代が甦ります。
今月は白石一文氏の本誌初連載「ひとりでパンを買いに行く日々に」もスタート。
小説新潮編集長 江木裕計
次号予告
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
小説新潮とは?

小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。