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【特集 氷点下のミステリー】
長江俊和/まさきとしか/岩下悠子/結城真一郎/村木美涼/大山誠一郎/長岡弘樹

小説新潮 2021年2月号

(毎月22日発売)

1,000円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/01/22

発売日 2021/01/22
JANコード 4910047010213
定価 1,000円(税込)
■目次
【特集 氷点下のミステリー】
信じていたはずのものが、足元から崩れていく――
心までも凍るような、7つの物語

長江俊和/この閉塞感漂う世界で起きた
――俺は社会の落伍者だ。それもこれも、全部上級国民が悪い

◆まさきとしか/毒婦A子
――廃ホテルで惨殺された元アイドルの上司。私と彼の間には

岩下悠子/香炉と眼球
――物騒な気配の男を見過ごせず、後を追う――向かった先は

結城真一郎/ヤリモク
――すべては愛のため。マッチングアプリで今日も獲物を物色

村木美涼/お札男
――妻からの耳慣れない言葉に、カンヅメ明けの作家は戸惑い

◆大山誠一郎/カラマーゾフの毒
――全員、毒を盛る機会はなかった。では、どう殺したのか――

◆長岡弘樹/美声の迂回路
――深夜、ぼくのタクシーに乗ってきたのは、訳ありそうな乗客
【傑作読切】
武田綾乃/まりこさん
――久しぶりの故郷は、何もかもが懐かしかった。少女時代、よく遊んでくれたあの人は、今も元気だろうか――
【特別対談】
◆柚月裕子×おおのこうすけ/極道ってこんなに面白い!
――小説と漫画。異なるアプローチから極道を究極のエンターテインメントに昇華させた二人が、その魅力を語りつくす!
【未発表音源を発掘】
向田邦子/間違ってても素敵であればいい 自作『思い出トランプ』を語る
――没後四十年となる向田邦子氏の、貴重な講演の記録が発見された。飾らず気さくに語る、創作秘話
【好評シリーズ】
乃南アサ/家裁調査官・庵原かのん 第四話 かざぐるま
――やんちゃで自信溢れる17歳の少年。彼が心の支えにするのは

畠中 恵/おににころも
――突然子供に戻った一太郎が、九つの少年と薬草探しに出ると

◆しゃばけごはん(作:畠中 恵 料理:川津幸子)
【連載第2回】
高橋秀実/おやじはニーチェ
――認知症の父は自分の行動を忘れる。でも記憶ってそもそも
【バラエティコラム】
〈あのとき聴いた音楽〉サーヤ(ラランド)
〈わたしの相棒〉伊野孝行
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉徳山加陽
【連載エッセイ・マンガ・ノンフィクション】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
平松洋子/プロレスは何を食べる
矢部太郎/ぼくのお父さん
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
浅田次郎/母の待つ里にて 最終回
江國香織/ひとりでカラカサさしてゆく
木内 昇/雪草紙 雲の脚
窪 美澄/夏日狂想
今野 敏/探花 隠蔽捜査9
桜木紫乃/緋の河 第二部
重松 清/十一番目の色 シリーズ「まなつ」
千早 茜/しろがねの葉
葉真中顕/異郷のイービス 最終回
原田ひ香/財布は踊る
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
山本一力/ひむろ飛脚
第八回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2021」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

没後40年、向田邦子の肉声を本誌で再現

 昨秋に玉木宏主演でTVドラマ化され、大好評を博した漫画「極主夫道」。ヤクザから足を洗った龍が専業主夫として縦横無尽の大活躍……という前代未聞の極道ギャグに大いにハマっているのが柚月裕子さん。「孤狼の血」シリーズで広島ヤクザをこってりと描いた作家と、漫画家のおおのこうすけさんが初顔合わせを果たし、お二人とも初っ端から極道愛でアクセル全開の楽しい対談となりました。
 古いカセットテープからは少し早口の、懐かしい声が聞こえてきました。1981年、飛行機事故で亡くなる半年前に収録された向田邦子さんの肉声です。小説デビューの成り行きから本の読み方、人生論まで、ざっくばらんに語った貴重な音源を初めて本号で活字化しました。
 小説を読んでふと目を上げると、そこが読む前までの世界と違って見える――それが最も顕著なのがミステリというジャンルなのではと勝手に思っています。ぞくぞくするような7つの短編、ぜひご堪能ください。

小説新潮編集長 西麻沙子

2月号の記事、向田邦子「間違ってても素敵であればいい 自作『思い出トランプ』を語る」が朝日新聞で紹介

 没後40年たつ現在でも、幅広い読者と根強い信奉者を集める向田邦子。直木賞受賞直後の講演会の貴重な録音テープが新潮社で発見されました。小説を書くに至った経緯や執筆のヒント、神様の話や猫の話と、話題は多岐にわたります。文字に起こしても、その気さくで軽妙な語り口が行間から聞こえてくるよう。NHK「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」でも一部放送された本記事が、朝日新聞で紹介されました。
 本誌では彼女の語り口をほぼそのまま文字にしています。ぜひご高覧くださいませ。

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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