バートン

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アメリカ本社のCEO自らが働きやすい環境をつくり、日本でも受け継がれている。

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バートンジャパン合同会社 デジタルマーケティング マネージャー 佐藤繭子さん

 スノーボードブランドとして、世界的な知名度を誇る「バートン」。今年開催された2018平昌冬季オリンピックでは、ハーフパイプで金メダルを獲得したショーン・ホワイト選手、銀メダルの平野歩夢選手、ベン・ファーガソン選手、女子ではビッグエアー金メダリストのアンナ・ガッサー選手、鬼塚雅選手、藤森由香選手、岩渕麗楽選手などがオフィシャルライダーとして活躍しました。バートンジャパン合同会社では、アメリカ本社のCEOドナ・カーペンター氏が子育ての経験を活かし、育休が取りやすい環境づくりや、2017年には5月から8月までの3か月間、毎週金曜日に14時退社ができる「チルアウト・フライデー」という取り組みを試験的に行うなど、働きやすい環境づくりにも力を入れています。そこで今回は、バートンジャパンでデジタルマーケティングを担当する佐藤繭子さんに、ご自身の働き方について伺いました。

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Danny Davis © BURTON

――まず、佐藤さんのお仕事の内容を教えてください。

 マーケティングチームの中にある、デジタルマーケティングチームでマネージャーをしています。バートンのグローバル全体で、デジタルに力を入れていくことになり、2017年12月、今まで日本になかったデジタルマーケティングチームを新設することになりました。私はそのタイミングで入社し、日本のデジタルマーケティングの戦略を立て、USとは異なるマーケットでどのようにバートンの知名度を上げるか、バートンのファンをどのようにして増やしていくのかを目標として日々奮闘しています。

――なかでも一番力を入れている部分はどこですか?

 一番力を入れているのは、今まで積極的に行っていなかったSNS広告です。また、現在市場もお客様もスマートフォンが主力のチャネルになってきているので、そのチャネルを活かした戦略を考え、少しずつですが進めています。

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© BURTON

――転職されて4か月ほど経ちますが、新しい会社はいかがですか?

 外資系企業で、横乗り系(サーフィンやスノーボードなど)のブランドなので、割とリラックスした雰囲気が漂う働きやすい環境です。定時にも帰りやすい雰囲気だと思います。

――前職でも定時退社をされていたんですか?

 はい、帰っていました。新卒で入社した会社は定時ではなかったですが、その後はずっと定時で帰るようにしています。直近はスマートフォンアプリの企画・開発やマーケティングコンサルティングを行う会社で、クライアントワークがメインだったので、クライアントによっては少し遅くなることもありましたが、基本的には定時に帰るように努めていました。定時に帰れない時も19時には出るようにしていました。上司が先に帰らないと部下も帰りづらいですよね。

――それでも、帰りづらい雰囲気だと感じたことはないですか?

 今はないですが、以前は若干ありました。でも、仕事が終わっていたら、家に帰るのが普通ですよね。無駄に遅くまで会社にいても、いいことはないと思います。

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――定時に帰る雰囲気はどうやって培ってきたのですか?

 普通は、帰りづらそうに「お先に失礼します」と言うと思うのですが、ここはあえて、明るい声だったり、大きい声で言うことがポイントです。あとは習慣づけること。この人は定時で帰る人なんだというのを周りの人に認識してもらうことも大切。継続してやらないと、「あれ? 今日は早く帰るんだ」と余計に目立ってしまいます。定時に帰るキャラを作れば、目立たずに定時退社できるようになると思います。

――キャラクターを作るまでが大変そうです。

 自分の仕事が終わっていないのに定時に帰るのは厳しいと思うのですが、終わっているのであれば、分かりやすい理由があるので問題ありませんよね。仕事はミスなくしっかり終わらせることを心がけて、定時退社に繋げるのが私のやり方です。

――佐藤さんのような人がいれば、周りの意識も変わりそうですね。

 基本的に、残業するのは仕事がうまく回せていないからだと思っています。もしくは、上司の仕事の振り方が間違っている可能性もあります。部下が早く帰れない時は、なぜ早く帰れないのかを聞いて、仕事が多すぎるのであれば減らす必要があります。仕事は多くないけれど、終わらないのであれば、仕事の進め方に問題があるので、2時間単位で進捗を報告してもらい、改善方法を考えるようにします。みんなが定時退社や仕事を早く終わらせることを意識するのが大切だと思います。

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――佐藤さんは普段会社でどのような1日を過ごしていますか?

 フレックスタイム制なので、コアタイムの10時に出社し、19時に退社をしています。10時から12時まではメールチェックをしたり、その日の予定を確認して事前準備が必要なもの、例えばミーティングがあって、そのアジェンダが必要であれば作ります。また、デジタル系のトレンドは流れが早いので、テック系、デジタル系のニュースサイトや情報サイトから新しい情報を仕入れます。12時からランチをして、13時から19時までは外部ベンダーの方や社内のミーティングをして、その後はUS本社に向けてプランを考えて資料を作ったり、本社とメールでやり取りしたり、現在進めているプロジェクトの進捗を確認します。SNSの運用をチームで行っているので、成果を確認するために数字も都度チェックします。あとは帰る前にタスクが残っていないか確認し、何もなければ退社します。

――定時退社後は何をして過ごしていますか?

 平日は、週2~3日はジムに行きます。大体2時間ぐらいはトレーニングをしています。それ以外は、友達と会ったり、異業種の友人の集まりに参加することもあります。

――早く仕事を終わらせるために工夫をしていることはありますか?

 私は小学生の時から「明日できることは明日する」という言葉を座右の銘にしています。これは、できないことを先延ばしにするわけではなく、今日しかできないことを優先して今日やるという考え方です。仕事の中には、今日やっても明日やっても変わらないことが必ずあります。今日やらなかったら誰かに迷惑かかるかなとか、今日やることでより良い結果が出るかな、などと考えて、今日やっても明日やっても何も変わらないと判断できたら、明日に回すようにしています。

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――社内も定時退社する方が多いですか?

 上司もUSとのミーティングが入っていない場合はほぼ定時で帰っていますし、会社も定時退社に理解があって、プライベートを大切にする社風です。不要な長時間労働を良しとしない考え方で言うと、バートンCEOのドナ・カーペンターは、3人の子どもを育てながら仕事をしていた経験があるので、その大変さを知っている分、社員が充実したプライベートを過ごせるよう、積極的に働きやすい環境を整えています。2017年は、毎週金曜日14時に退社ができる「チルアウト・フライデー」を実施して、プライベートを充実させるための新たな施策を行いました。また、ワークライフバランスだけでなく、ジェンダーイクオリティも重要視しているため、女性も男性も非常に働きやすい職場です。

――やはり社員の方はスノーボーダーですか?

 ほとんどみんなスノーボードをやっています。私は新潟出身なので、小・中学生の頃はやっていましたが、今年また始めます。繁忙期が終わる3月に、グローバルのバートン社員が同じ日に行う「BURTON RIDE DAY」という日があって、泊りがけでリゾートへ滑りに行きます。プロ級の人も初心者もレベル関係なく、チームの垣根を超えて話をしたり、遅くまで一緒にお酒を飲んだり、ファミリーのように楽しむ大切な2日間です。

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年に1度の「BURTON RIDE DAY」は、社員でスノボを楽しむ。Photo by Keiji Tajima

――『わたし、定時で帰ります。』の主人公は、佐藤さんのように仕事を早く終わらせて、定時に帰ることを大切にしています。一方で、みんなが仕事をしているのに先に帰るのは勇気がいることだとも感じています。佐藤さんにとって、定時退社とは何でしょうか?

「生活にメリハリをつけるために必要なもの」、「今後のキャリアのことを考えて、自分が成長するために必要なもの」、「新しい誰かと出会うために必要なもの」、この3つだと思っています。会社にいては気が付かなかったやり方や価値観で仕事を進めることもできますし、それを社内の人にシェアすることもできます。また、外で出会った人とのコラボレーションで新しい仕事を創出することもできます。いつまでも会社にいるのは本当にもったいないです。一生って意外と短いので。

(取材・文 寺田愛)

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