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早く帰れる日が増えたので、仕事も
プライベートも時間を有効的に使えます。
TOTO株式会社 プレゼンテーション推進部 東京プレゼンテーショングループ 中村友紀さん
2017年創立100年を迎え、ものづくりへのこだわりを受け継ぎながら、ますます成長を続けるTOTO株式会社。2017年発売した次世代トイレ「ネオレストNX」は、TOTOの技術の粋を集結した芸術品のように美しいデザインで、今や世界中で納品を心待ちにしている人がいるのだとか。そんなTOTOでは、「仕事と家庭の調和を図ることが、業務に向かうモチベーションや生産性の向上につながる」という考えのもと、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでいます。その取り組みが評価され、日本生産性本部主催の第6回「ワーク・ライフ・バランス大賞」優秀賞を受賞、また厚生労働省より「子育てサポート企業」に認定されています。そこで今回は、TOTOプレゼンテーション推進部の中村友紀さんにご自身の働き方について伺いました。
――まず、中村さんのお仕事の内容を教えてください。
私が勤務しているTOTOテクニカルセンターは、セミナーなどの情報提供や最新技術のご紹介を通して、建築の専門家のお客様に向けて、水まわりの提案を行っているショールームです。こちらは一般のお客様にはご利用いただけないのですが、一般のお客様向けショールームも全国に100か所ほどあります。ここでは、新商品をはじめTOTOの技術、病院やオフィス、高齢者施設など建築用途別の水まわり空間の展示、実際に体感ができる設備があり、建築を計画されている段階でこちらにお越しいただいて、トイレ空間をシミュレーションして、使い勝手を確認いただくこともできます。
私はその中でセミナー提案や、商品の案内、検証のお手伝いのほか、トイレのレイアウトプラン作成といった、物件のトイレ計画を検討される際の提案業務などを行っています。
――セミナーではどのようなことをしているのですか?
商業施設、オフィス、高齢者施設など建築用途別に、より良いトイレを作るためのポイントを1時間くらいでお伝えしています。最近は新商品の発売に合わせて、「パブリックレストルームトレンドセミナー」を開催し、調査などを踏まえて、最近のトイレの傾向、洗面空間、大便器空間のトレンドをご紹介しています。近年、商業施設などのトイレがきれいになっているので、その事例などを解説しています。
――普段から施設のトイレは気になりますか?
気になるので、必ず見ます。プライベートで出かけたときもトイレをチェックして、どこがよかったかをストックしています。それを周りに展開することもありますし、トイレがよかったら、またそのお店をリピートすることもあります。
――トイレの一番気になる部分はどこですか?
どういうレイアウトになっていて、利用者がどのようにトイレを使うのか、という視点で見ることが多いです。特に女性トイレは混雑して並ぶことが多いので、そのときに並びやすいレイアウトになっているか、お化粧直しのコーナーはちゃんとあるか、ブースに入りやすいようなレイアウトになっているかなど、レイアウト面に注目することが多いですね。私は交通施設の担当なので、比較的駅のトイレはよく見るようにしています。
――ところでTOTOに就職して何年になりますか?
2か月ほど離職していた時期もありますが、13年になります。この職場に異動して6年目です。
――平均的な1日のスケジュールを教えてください。
定時が9時半から18時5分なので、9時10分から20分に出社して、9時半から朝礼が始まります。10時までの間はメールや回覧物などをチェックします。午前か午後に提案会が入ることが多いので、午前に提案会が入った場合は午後に図面作成や事務作業をします。また、最新現場の取材に行って、写真を撮り記事にして弊社のウェブサイトに掲載する業務もあるので、外出することもあります。大体17時くらいに翌日までにやらなければならないことをチェックして、18時に終われる日は、18時5分に帰るようにしています。
――逆に忙しい日はどのようなスケジュールですか?
大型物件の図面を担当していて、納期まで時間が少ないときなどは残業することもあるのですが、私の職場では水曜日と金曜日が19時、そのほかの日が20時にパソコンが自動的に切れるようになっているので、ほとんど残業しなくなりました。明日出さなければいけないのに、終わっていないときは、残業申請を事前に上司に提出し、残業することも稀にあります。ただし残業申請は、残業する日の前日のお昼くらいまでに提出して、パソコンが自動的に切れないようにする手続きが必要になります。それが手間なので、私もほとんど残業をしていないですし、周りも帰る人がほとんどです。
――一お仕事が終わってからは何をしていますか?
趣味が野球観戦とヨガやジムに行くことなので、ヨガとジムは週1、2回くらいは行っています。野球観戦はシーズンが4月から9月なので、事前にチケットを取って、フレックスを使い、残業した分を時間調整して、18時のプレイボールから見ることもあります。私は広島出身のカープファンなので、神宮球場にも東京ドームにも行きます。今年はチケットを取るために、ジャイアンツの有料ファンクラブに入ってしまったぐらいです(笑)。
――現在の部署に異動する前も定時退社でしたか?
部署によっては残業が多かったり、休みがランダムで週末ではない部署もありました。今のように定時で帰れるようになったのは、2017年5月にパソコンの電源が切れるようになった影響も大きいと思います。それ以前もフレックスが使えたので、業務時間を調整して早く帰ってはいましたが、遅く帰る日が今よりも多かったように思います。早く帰る日が増えて、仕事もプライベートも時間を有効的に使えるようになりました。
――仕事を定時に終わらせるために工夫していることはありますか?
すぐにやらなければいけないもの、時間がかかるものの優先順位をつけて、重要度が高いものからやるようにしています。今日やらなくてもいいもの、今ちょっと残業したらできるけど、明日でもいい仕事はその日にせず、翌日の朝一番にやるようにしています。
――自分の中で業務の優先順位の整理がついているんですね。
提案会が2週間先まで割り振られていて、確実に使えない時間がわかっているので、その空いた時間に仕事をどうやって割り振るかをある程度考えるようにしています。
――お話を伺うと、会社や上司の方もすごく定時退社に理解がありますよね。
そうですね。会社も早く帰れ、無駄な残業はするなという風潮で。水曜日は19時にパソコンの電源が切れますが、もともとノー残業デーにも設定されています。普段から全員が定時退社とまではいきませんが、無駄な長時間の残業はしない会社だと思います。
――昨年ご結婚されたそうですが働き方は変わりましたか?
すごく変わるのかなと覚悟して、初めの1週間は早く帰って料理を作らなきゃと思っていましたが、旦那さんが料理を作るのが好きなので、あまり変わらないですね。旦那さんは帰りが遅いのですが、帰ってからご飯を作ってくれたり、休日にご飯を作り置きしておいて、それを平日に食べることもあります。
――最後に、『わたし、定時で帰ります。』の中で、主人公が「定時退社は勇気のしるし」だと言うシーンがあるのですが、中村さんにとって定時退社とは何だと思いますか?
定時で帰ることによって、プライベートと仕事のバランスを取って、人生をより充実させることができていると思います。早く帰ってプライベートを楽しんだら、その分仕事も頑張れるというよいサイクルが生まれているのではないでしょうか。
(取材・文 寺田愛)