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新潮文庫メールマガジン アーカイブス



 あと少しでお正月ですね。この時期になると一年があっという間に過ぎてしまったな、と思います。毎年のことながら、この一年のことや自分自身のことを考えるのが習慣となっています。
 いや、個人的な習慣というより、一年の節目というのは、どんな一年を送っても自分自身を見つめ直す人類共通の一コマではないでしょうか。そして、目標や希望を抱いて新たな年を過ごしていく岐路でもあります。
 そう、「一年の計は元旦にあり」との諺(ことわざ)があるように、私たちにとってとても大事な時期なのです!

 今回は、そんな重要な時期にふさわしい、心を整えてくれる時代小説をピックアップしました。
 登場人物の胸に秘めた想いや人生模様を鮮やかに描いた珠玉の作品を手に取ってみてください。心がスッキリすると同時に、思いもよらない視界の広がりを感じるはずです。


山本周五郎『赤ひげ診療譚』

幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長新出去定に呼び出され、医員見習い勤務を命ぜられる。貧しく蒙昧な最下層の男女の中に埋もれる現実への幻滅から、登は尽く赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く快作。

●山本周五郎『赤ひげ診療譚


藤沢周平『橋ものがたり』

幼な馴染のお蝶が、仕事場に幸助を訪ねてきた。奉公に出るからもう会えないと、別れを告げるために。「五年経ったら、二人でまた会おう」年季の明けた今、幸助は萬年橋の袂でお蝶を待つが……。(「約束」)様々な人間が日毎行き交う江戸の橋を舞台に演じられる、出会いと別れ。市井の男女の喜怒哀楽の表情を瑞々しい筆致に描いて、絶賛を浴びた傑作時代小説。

●藤沢周平『橋ものがたり

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2012年12月20日   文庫セレクト


 Yonda? Mail購読者のみなさん、こんにちは!

 突然ですが、みなさんには人に言えない秘密や趣味はありますか? 12月新刊『自縄自縛の私』は蛭田亜紗子さんがR-18文学賞大賞を受賞した表題作を始め、ちょっと変わった趣味や性癖を持つギリギリの女の子たちを描いた短編集です。

 表題作の「自縄自縛の私」は竹中直人監督で2013年2月全国公開の映画化が決定! 今大注目の一作です。主人公は上司の理不尽さに耐えながら、真面目に働くごくごく普通のOL。ですが家ではひとり、ボールギャグと呼ばれる猿轡をはめて、アイマスクを着け、自らの身体を麻縄で縛り上げ、しばしの快楽に浸ります。

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2012年12月10日   今月の1冊


 Yonda?Mail購読者の皆さん、こんにちは。

 小学生のころ、街の小さな本屋さんで毎月買った『カラー名作 少年少女世界の文学』。発売日が近づくとそわそわし、今日はまだですかと店員さんに訊いた記憶があります。『モンテ・クリスト伯』が『巌窟王』だったり、『レ・ミゼラブル』が『ああ無情』だったり、子ども向けでタイトルすら違いますが、あのころ心に沁み込んだストーリーは、ウン十年経っても色褪せることがありません。

 その『ああ無情』こと『レ・ミゼラブル』がミュージカル映画として12月21日より公開されます。一本のパンを盗んだため19年間服役し、後に改心した主人公ジャン・バルジャンを演ずるのは、『X-メン』『ヴァン・ヘルシング』でも主演のヒュー・ジャックマン。その他ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイなど、超豪華キャストによる感動の大作です。

 なおヴィクトル・ユゴーの世界的名作『レ・ミゼラブル』は表紙も新しくなり、文字も大きく読みやすくなった新装版で、新潮文庫より全5巻が発売中。冬の夜長にぴったりな、感動の物語をご堪能あれ。

(K・Y)

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2012年12月03日   お知らせ



 角田美代子容疑者とその関係者が、25年以上にわたって、数世帯の家族を長期間監禁、虐待し、数名を虐殺したとされる「尼崎連続変死事件」が今、世間を震撼させている。
 ネット上では、「サザエさん一家」になぞらえた不謹慎な相関図が作られるほど、登場人物が多く、加害者と被害者の関係性があまりにも複雑でわかりにくく、この事件の有り様は、2002年3月に発覚した「北九州監禁殺人事件」に酷似している、と指摘する声が多い。

 一方で、2012年11月6日には「逗子ストーカー殺人事件」が起こり、事件前に脅迫容疑で容疑者を逮捕した県警が、女性の個人情報を知らせてしまうという不手際が報道された。

 これらの事件は、いかにして起こったのか? そして、なぜ未然に防ぐことができなかったのか?

 今回の文庫セレクトでは、尼崎と北九州の事件が共通していることやストーカー殺人の報道を受け、犯罪撲滅や防犯対策の教訓として読まれることを期待して、過去に発覚した犯罪史上稀に見る凶悪犯罪や警察の問題点と劇的な事件の真相を追った本を取り上げました。


「尼崎連続変死事件」に酷似した戦慄の事件!

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件―
豊田正義

まさに鬼畜の所業! 監禁虐待による恐怖支配で、家族同士に殺し合いをさせた殺人鬼。

七人もの人間が次々に殺されながら、一人の少女が警察に保護されるまで、その事件は闇の中に沈んでいた──。明るい人柄と巧みな弁舌で他人の家庭に入り込み、一家全員を監禁虐待によって奴隷同然にし、さらには恐怖感から家族同士を殺し合わせる。まさに鬼畜の所業を為した天才殺人鬼・松永太。人を喰らい続けた男の半生と戦慄すべき凶行の全貌を徹底取材。渾身の犯罪ノンフィクション。

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2012年11月20日   文庫セレクト


 文化庁がこの春に行った「国語に関する世論調査」によると、78.4%の人が「日本人の読む力が低下している」と感じ、全体の20.2%が「非常に低下している」と感じています。同じ調査では、「舌先三寸」なのか「口先三寸」なのか、あるいは「のべつまくなし」か「のべつくまなし」か、はたまた「二つ返事」か「一つ返事」か、間違えて使う人の方が多いこともわかりました(すべて前者が正しい)。

 受験では、勉強すれば点数を伸ばしやすい英語や数学に比べて「点数を伸ばしにくい」のが国語。では、秘策はあるか? 出版社のメルマガでこれを書くと手前味噌ですが、本を読む子に国語が苦手な子は少ないように思えます。と言うと、お母さんたちによく聞かれます。「いったいどうすれば、本好きな子が育つんでしょう?」と。答えはわりと単純……

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2012年11月12日   今月の1冊