小林快次さん。人気ラジオ番組「子ども科学電話相談」出演者として老若男女に"ダイナソー小林"として親しまれる、恐竜研究者です。ゴビ砂漠やアラスカ、カナダなどのフィールドに毎年のように赴き、発掘調査を行いつつ、恐竜の分類や生理・生態の研究をされています。近年は、カムイサウルス、ヤマトサウルス、パラリテリジノサウルスなど日本で発掘された恐竜を次々と命名。世界の恐竜研究をリードする存在に。
そんな小林さんが、探検家のようなタフな日々を振り返り、研究者としての喜びを熱く語るエッセイ『恐竜まみれ―発掘現場は今日も命がけ―』がこのたび、文庫化されました。アラスカのアニアクチャック国定天然記念物・自然保護区で至近距離まで巨大なグリズリーに迫られた話。日本人のアマチュア愛好家と訪れたゴビ砂漠ツアーで小学校教諭のK子さんと共に発見した恐竜の営巣地。ある時は怒涛の濁流から間一髪で逃れ、またある時は"死に憑かれた"ヘリパイロットに身の毛もよだつ講談をえんえんと聞かされる。そんなエキサイティングな毎日の中で、世紀の大発見が生まれるのです。
版を重ねた単行本版の中でもひときわ注目を集めた「第8章 ついに出た、日本初の全身骨格」で語られる、北海道での「むかわ竜」発見のてんまつ。文庫では「カムイサウルス・ジャポニクス」命名についても加筆して頂きました。その上で、若き研究者の集まり「コバヤシ・ファミリー」と2021年のアラスカ最新調査について語る、長めの「文庫版あとがき」を書き下ろし。解説は『キリン解剖記』で知られる解剖学者の郡司芽久さんが執筆してくださいました。恐竜ファンのみならず、科学好き・探険エッセイ好きの方にもぜひオススメしたい完全版の誕生です。
人間にとって最も大切なものって、何だと思いますか?
「お金」でしょうか。それとも「地位」や「権力」?
「健康」「愛」「家族」などと答える方も多いでしょう。
しかし百田尚樹さんはこう言い切ります。
人間にとって最も大切なのは「時間」であると。
「金」も「地位」も「権力」も「健康」も「愛」も「家族」も、すべて時間が変換されたものだ、と。
人間の営みを「時間」という観点で捉えたのが、この『成功は時間が10割』です。
読めば「ナルホド!」と思わず膝を打ちたくなる、目からウロコの思考法を一部紹介すると――。
〇社会は「時間」の売買で成り立っている
仕事で得る対価とは、仕事に費やした時間を売った結果、にほかなりません。逆に、あなたがお金を払うのは、他人が時間を費やして行った仕事(ものやサービス)に対して、なのです。つまり私たちの社会では「お金」ではなく「時間」をやりとりしているのです。
〇「仕事ができる人」とはつまり時間を凝縮できる人
同じ仕事を一日でこなすのと一週間でこなすのとで対価が同じならば、一日でこなしたほうが、仕事の価値が上がります。そして「才能」というのは、同じことを人より短い時間でこなせる能力ともいえるでしょう。
〇成功する人は、「今やるべきことをやる」
成功者と言われる人の共通点は、「時間を無駄にしない」ということ。言い換えると「やることの優先順位を間違えない」ということです。
いかがでしょうか。ほんの一部をご紹介しただけでも、一分一秒を大切にせねば、と気が引き締まる思いがしませんか?
実際、百田尚樹さんほど、時間を大切にする人はいません。
執筆や配信などをこなすハードスケジュールのなかで、どんな隙間時間も決して無駄にせず、アウトプットやインプットの時間に費やしています。その合理性とパワフルさを、担当編集者はいつも見習いたいと思っています。
皆様もこの本を読めば、時間というものの尊さを実感し、充実した毎日が送れるはずです!
そもそも言い訳とは何かというと、言い逃れであり、弁解、釈明です。よろしくない事態や非難されるべき原因を作った張本人の立場から逃れるための説明が言い訳です。自分をよく見せようとする本能を起点にしているので、いじましい行為と思われ、大方軽蔑の対象になります。
しかし、言い訳は言い方次第で、味わい深いものに変化するのも事実です。
フィアンセに二股疑惑を掛けられた芥川龍之介。手紙の失礼を体調のせいにしてお茶を濁した太宰治。納税を誤魔化そうとした夏目漱石。恋人との間で奇妙な謝罪プレーを繰り広げる谷崎潤一郎。浮気をなかったことにしようとする林芙美子。息子の粗相を近所の子供のせいにした親バカ阿川弘之......。
「こちらは悪くありません」「こちらも大変だから許して」を流麗美文で綴り、思わず「いいよ」と折れてしまう、文豪に言い訳の奥義を学びます。
石田三成という名前を聞いて、何を連想するでしょうか。
「関ヶ原合戦の西軍大将だったのに惨めに大敗した」とか「官僚的で、人望がなかった」など、あまりいいイメージを持たれていないかもしれません。
確かに、多くの小説などでは肯定的に描かれてきたとは言いにくい。もっとも、関ヶ原合戦以後、盤石の権力を手中にした徳川にとっては、敵の大将が「魅力ある人物」であってはいささか困ったのかもしれません。
そもそも、本当に「人望がなかった」のであれば、西軍の大将になれたはずもないのです。では、石田三成という武将の魅力とは何であったのか。
武に秀でていたわけでもなく、感情豊かな能弁家でもなかった三成が、なぜ人を惹きつけたのか。これは大きな「謎」でしょう。本書は、小説でしか描けない三成像によって、それに一つの解答を与えているのです。
「賤ケ岳の七本槍」と称せられる七人の武将の目を通して、次第に浮かび上がってくる石田三成の知られざる姿。戦国乱世という苛烈な時代を受け入れつつ、その先に、三成が思い描いていた「この国のグランドデザイン」ともいうべき大きなかたち......。彼が心に秘めていた志や、「七本槍」だけに見せた本音、理の明晰さを信じる姿は、きわめて先駆的で魅力的です。三成が放つ言葉には、著者・今村翔吾さんの熱い想いが乗り移り、まったく新しい石田三成となっています。
それだけではありません。今村さんの三成像は、天下国家を語るだけの存在ではないのです。五奉行の一人として国のことを考えるのは当然のことでしょう。しかし本作品が秀逸なのは、三成が矛盾と弱さを抱えた人間にも細やかな目を向け、驚くほど感情豊かな言葉を発しているところにあります。
「苦しい日々だったな。辛かったろう」(「五本槍 蟻の中の孫六」より)
「権平......お主が小馬鹿にされ、私たちが口惜しいと思わなかったとでも思うのか」(「六本槍 権平は笑っているか」より)
思わず目頭を熱くしてしまうのは、これらの場面だけではありません。本書の一番最後で放たれる市松(福島正則)のセリフに、万感胸に迫らぬひとはいないでしょう。と同時に、石田三成という、はるか遠くを見ようとしていた清々しき武将に出会えた喜びもまた、湧いてくるのではないかと思うのです。
1989年の単行本刊行以来広く読まれ続け、累計160万部突破のベストセラーとなった『ふたり』。映画やドラマ、舞台にもなりましたので、さまざまな形で本作に触れた方も多いのではないでしょうか。
優等生の千津子とマイペースな実加。ふたりは仲のよい姉妹でしたが、ある日、千津子は交通事故に巻き込まれ、高校2年生で帰らぬ人に。けれどその後、実加の頭の中に死んだはずの千津子の声が聞こえてきます。姿は見えないものの、千津子は実加を見守り、支え続けてくれます。姉妹の絆が胸に迫る青春小説です。
『いもうと』は『ふたり』から11年後、27歳になった実加の物語です。大好きな姉に続いて母をも亡くし、父は別の家庭へ。高校を出て就職し、今や中堅社員となった実加の前に、見知らぬ女の子が――。
突然の珍客のほかにも、実加には次々と難題が押し寄せます。会社の一大プロジェクトを任され、危うい恋に近づき、相変わらずの父親に振り回され......。けれど数々のピンチをしっかり切り抜けられそうなパワーも感じます。『ふたり』の頃よりもずいぶん頼もしくなったのだなあ......と、気づけば姉のような、親のような視線で、実加を追いかけてしまいました。
そしてある夜、久しぶりに「あの声」が実加に語りかけます。『ふたり』よりも大人っぽいやりとりにも、ご注目ください。
巻末の「解説」は、大林宣彦監督の映画「ふたり」にも出演した中江有里さんがお書きくださいました。赤川作品の愛読者として、映画のキャストとして、そして自身も妹をもつ姉として、『ふたり』と深く関わってきた中江さんならではの、鋭くも愛情のこもった解説です。
































