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浅間山のふもとでのかけがえのない日々と、それぞれの生命の瞬きを綴る、鮮烈なデビュー作。


 デビュー作にして読売文学賞を受賞した松家仁之さんの『火山のふもとで』(新潮社)が新潮文庫化されました。単行本刊行は2012年のため、13年の時を経ての待望の刊行です。
 本作の舞台は浅間山のふもとにある青栗村の村井設計事務所「夏の家」。美しく居心地のいい建築を手がける老建築家の「先生」のもと、若き建築家である主人公「ぼく」の成長とひと夏のひそやかな恋が描かれています。
 今回の文庫化に当たって著者による「文庫版へのあとがき」を収録。自身の学生時代から28年間もの激動の編集者時代、そして51歳にして仕事を辞め、本作の一行目を書き始めるまでの軌跡が綴られています。自然も人間も流れる時間も、平凡な言葉でさえも全てが美しい傑作長編をこの機会に是非ご一読ください。
 本作刊行後も『沈むフランシス』を2月28日(金)、『光の犬』を3月28日(金)に発売。3ヶ月連続の文庫新刊の刊行となります。
『沈むフランシス』は北海道の小さな村で出会った男女の雪の結晶のような儚いふれあいと深まりゆく愛を描いた傑作です。解説は役者の山田真歩さん。さまざまな役を演じてきた視点から自分自身を登場人物に投影し、素晴らしい解説をご執筆いただきました。
『光の犬』は北の町に根づいた一族三代と北海道犬、人生の意味を問う百年にわたる家族の物語です。解説は江國香織さん。個人、家族、家という枠組み、自然との共生にそれぞれ焦点を当て、ポイントとなる箇所を引用しながら本作の魅力を丁寧に解説してくださいました。こちらも合わせてお楽しみください。

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2025年02月15日   今月の1冊
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