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今月号の表紙は今野敏さん。

波 2018年2月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/01/27

発売日 2018/01/27
JANコード 4910068230287
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第5回

[今野 敏『棲月―隠蔽捜査7―』刊行記念特集]
[インタビュー]
今野 敏/作家生活40周年を迎えて
池上 彰/竜崎伸也、遂に転勤!?

[追悼特集 葉室麟 遺作『玄鳥さりて』に込めたもの]
澤田瞳子/土筆を摘む人
高橋敏夫/人の一途な思いが苦境を突破する

[塩野七生『ギリシア人の物語Ⅲ 新しき力』刊行記念特集]
[インタビュー]
塩野七生/作家は自分を捨ててこそ生きる 後編

[神楽坂ブック倶楽部presentsスペシャル対談]
嵐山光三郎『芭蕉という修羅』
嵐山光三郎×冨士眞奈美/〈俳聖〉芭蕉の正体見たり!

星野智幸『焔』
ブレイディみかこ/蛇行する境界線

アキール・シャルマ、小野正嗣/訳『ファミリー・ライフ』
小川洋子/本当に祈るということ

佐江衆一『エンディング・パラダイス』
川村 湊/米寿老人の冒険譚

加藤秀行『海亀たち』
阿部公彦/健康さの向こう側にあるもの

鴻池留衣『ナイス・エイジ』
倉本さおり/みんなが優勝できる「祭り」

[京極夏彦『ヒトごろし』刊行記念特集]
末國善己/史上最もダークな土方歳三が問いかけるもの
春日武彦/情性欠如者の逆説

初瀬 礼『呪術』
粕谷幸司/アルビノを楽しめる世界の幕開け

岡崎琢磨『春待ち雑貨店 ぷらんたん』
村上貴史/優しさも悪意もそれぞれのハンドメイド

一木けい『1ミリの後悔もない、はずがない』
窪 美澄/行け。勇んで。小さき者よ。

小金井喜美子、星 マリナ/編『泡沫みなわの歌―森鴎外と星新一をつなぐひと―』
星 マリナ/鴎外・喜美子・新一 ならべてみると見えるもの

[長崎尚志『編集長の条件―醍醐真司の博覧推理ファイル―』刊行記念インタビュー]
長崎尚志/漫画狂瀾の時代を支えた編集者たち

山下一仁『いま蘇る柳田國男の農政改革』
岡崎哲二/柳田國男を経済学で読む

南 直哉『超越と実存―「無常」をめぐる仏教史―』
高村 薫/「信心不問」の仏教史

城田憲子『日本フィギュアスケート 金メダルへの挑戦』
槇村さとる/氷を溶かすほどの情熱に

池谷裕二『脳には妙なクセがある』(新潮文庫)
齊藤慶輔/野生動物医学にも脳科学の視点を!

エルモア・レナード、村上春樹/訳『オンブレ』(新潮文庫)
東山彰良/ジョン・ラッセルは無口な奴

【コラム】
とんぼの本編集室だより

山田 拓『外国人が熱狂するクールな田舎の作り方』(新潮新書)
山田 拓/日本の田舎は世界の宝

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第2回
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 第2回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第95回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第23回
津村記久子/やりなおし世界文学 第45回
野村 進/多幸感のくに 第15回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第14回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙は今野敏さん。

◇昨年末、恒例の「年忘れ市馬落語集」(と銘打って柳亭市馬師匠が懐メロを歌いまくる会)へ大井町まで社内有志と出掛け、帰りは大森に出て気持よく呑んだのですが、ここらへんで酔払って不埒なことをすると大森署の竜崎署長に迷惑をかけるんだよなあと、妙に楽しくなっていました。もっとも、署まで連行されて竜崎さんに「いや、すみません、ぼく新潮社の社員なんですけど」なんか言ったところで、絶対に待遇は良くならないでしょう。そういう人です。
◇2005年に竜崎伸也を主人公とする『隠蔽捜査』の第1作が出た時、キャラクター設定の卓抜さに手を打って喜んだものでした。ごりごりの信念と遵法精神を持つ超〈固い〉警察エリート官僚の竜崎には、その並外れた固さ故に、本人の意図しない悠揚迫らざる抜群のユーモアが生じます。この喜劇的な味わいは、例えば大西巨人『神聖喜劇』の主人公・東堂太郎二等兵があまりの記憶力の良さを発揮するので、陰惨な状況を描いているのにもかかわらず読者が思わず笑ってしまうのにも似ていますし、己れを奇人と思わぬ奇人ぶりは井伏鱒二作品の人物たちのようでもあります。
◇そして作者の今野敏さんは今年、作家生活40周年を迎えました。その記念イヤーの第1弾がシリーズ最新作『棲月―隠蔽捜査7―』です。まずは著者インタビュー、そして池上彰さんの書評をご覧下さい。池上さんが竜崎ものの長い愛読者だというのも、かつて吉田茂がP・G・ウッドハウスや円朝全集や岡本綺堂の愛読者だったのと似ている感じで、何だか嬉しくなります。
◇長男健一さんによると、吉田茂は英語の本だけでも(漢籍も好んだ)、英国の元外相グレイの随筆集を愛読していたし、小説もクリスティ、セイヤーズなどのミステリ、モームやイシャーウッド(例の「キャバレー」の原作)まで読んでいました。最近の政界で読書家は(茂の孫、麻生副総理のマンガを措くと)小泉進次郎さんだそうですが、彼が最近熱中したのは塩野七生さんの『ギリシア人の物語III 新しき力』の由。
◇芥川賞受賞作、石井遊佳さんの『百年泥』を緊急刊行!
◇谷川ゆに「境界紀行」は今号休載です。
◇神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしております。詳細はホームページ、http://kagubookclub.com/を。

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。