芥川賞受賞第一作 町屋良平「ショパンゾンビ・コンテスタント」(200枚)
小松理虔「あなたの日常に福島はある」
新潮 2019年4月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2019/03/07 |
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JANコード | 4910049010495 |
定価 | 947円(税込) |
【芥川賞受賞第一作】
◆ショパンゾンビ・コンテスタント[二〇〇枚]/町屋良平
音大をやめた小説家志望はぼく。魔法のような音を奏でるピアニストは同級生。才能って、天才ってなんだ? 新身体派の新音楽小説!
◆ファイア/大前粟生
燃え上がるラーメンと冷めゆく愛。先鋭的想像力と緻密な人間模様が京都の地で像を結ぶ。
◆カウチサーフィン/大竹昭子
外国からのゲストが三世代住宅にやってきた。思わぬ出来事が一家にもたらしたものは――。
◆宝物/瀬戸内寂聴
宝物を探して、少女は冒険する。硝子工場へ、幼稚園へ、「不思議がいっぱい」の世界へ。
◆わたしが行ったさびしい町(4)名瀬/松浦寿輝
人はふつうの町で生きふつうの町で死んでゆく。生それじたいが本質的にさびしいのだ。
◆漂流[新連載第三回]/町田 康
浸水甚だしく疲労は極みに達するも、船人だちの機動力で死を潜り抜け、ついに島影が!
◆チェロ湖[新連載第三回]/いしいしんじ
■■ 連載小説 ■■
◆ヒロヒト(七)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(十五)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(四十)/重松 清
◆あなたの日常に福島はある/小松理虔
震災から八年。「関心の断絶」をいかに乗り越えるか。『新復興論』の著者が福島から問う。
◆川端康成最後の書簡――「不浄」ということ/深澤晴美
「この春は、心弱りに引籠もつてをりました」自死の直前に認められた川端書簡の謎を問う。
■■ 追悼 橋本治 ■■
◆ありがと、じゃあね/高橋源一郎
◆如是我聞/松家仁之
◆声――フランスと日本と(三)/福田和也
◆保田與重郎の文学(七)/前田英樹
◆血、虹、半影の夢――新しい宮沢賢治(10)/今福龍太
◆これは小説ではない(十一)/佐々木 敦
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第七十二回・流氷のはじまりを探して
◆見えない音、聴こえない絵/大竹伸朗
第一七二回・ビルとウィスキー
■■ 新潮 ■■
◆溶解するセメントの記憶/太田信吾
◆変身/川辺 素
◆ストリート、あるいはライオット・ガール的/長島有里枝
◆人はなぜ働くのだろうか?/長瀬 海
◆ネギが消える/松村翔子
■■ 本 ■■
◆長野まゆみ『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』/暁方ミセイ
◆高山羽根子『居た場所』/小澤英実
◆古井由吉『この道』/倉本さおり
◆鴻池留衣『ジャップ・ン・ロール・ヒーロー』/栗原裕一郎
◆上田岳弘『ニムロッド』/ドミニク・チェン
第51回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/川上未映子/鴻巣友季子/田中慎弥/中村文則
この号の誌面
立ち読み
編集長から
町屋良平・芥川賞受賞第一作
「ショパンゾンビ・コンテスタント」
◎「1R1分34秒」で芥川賞を受賞した町屋良平氏が、早くも最新作「ショパンゾンビ・コンテスタント」(200枚)を発表する。「1R1分34秒」の魅力は、若きボクサーの強さ、ではなく、むしろ心の弱さを繊細かつ生き生きと描いたことだった。「ショパンゾンビ…」の主人公はピアノに挫折し、今は作家志望のアルバイター。その親友はピアノ専攻の音大生。青年ふたりは小説やピアノのコンクールに挑むが、受賞に至らない。自分には何が足りないのか。努力? 情熱? 才能?……魂の若さ、弱さゆえに生ずる、もやもやと複雑な感情を描くとき、町屋氏の筆は冴えわたる。主人公と親友とその恋人の三角関係も魅力的だ。間違いなく、町屋氏は現代の「青春小説」を更新している◎東日本大震災から八年。福島県いわき市で粘り強く復興に関わり続け、著書『新復興論』が注目を集めた小松理虔氏の「あなたの日常に福島はある」を掲載。震災から立ち上がる最良の思考がここにある。
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。