ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2019年8月号

新連載 滝口悠生「全然」/特別対談 上田岳弘+高橋一生/金原ひとみ「デバッガー」/大澤信亮「小説の究極――上田岳弘論」

新潮 2019年8月号

(毎月7日発行)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/07/05

発売日 2019/07/05
JANコード 4910049010891
定価 947円(税込)

全然【新連載】/滝口悠生
東京から小笠原へ航海する男。自衛隊機で硫黄島に飛ぶ女。そして、戦前の硫黄島に暮らす者。時空を超えて進行する新代表作誕生!
デバッガー金原ひとみ
顔のバグを除去すれば彼との未来が開けるのだろうか。ストロングゼロ・シリーズ第二作。
大正琴瀬戸内寂聴
上野松浦寿輝
プリニウス(六十)/ヤマザキマリ+とり・みき
■■ 連載小説 ■■
漂流(六)/町田 康
チェロ湖(七)/いしいしんじ
ヒロヒト(十)/高橋源一郎

【第七回 河合隼雄物語賞・学芸賞発表】
【物語賞授賞作】ののはな通信三浦しをん
【学芸賞授賞作】土 地球最後のナゾ藤井一至
        ――100億人を養う土壌を求めて
【選評】中島京子(物語賞)/中沢新一(学芸賞)

第52回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
【特別対談】
戦争と愛、運命と反射上田岳弘 高橋一生
――小説『キュー』をめぐって
俳優と作家、超越的な視点を共有する二人はどう世界を捉え、表現につなげているのか?
小説の究極――上田岳弘論/大澤信亮
■■ リレーコラム ■■
Passage――街の気分と思考(2)
人生の顔西 加奈子
令和元年のギャル・マニフェスト水原希子
明恵の夢の現代における意味河合俊雄

小林旭という旅(後篇)/福田和也

■■ 追悼・加藤典洋 ■■
批評を書く、ということ黒川 創
加藤先生、その人マイケル・エメリック

安藤礼二氏の質問に答える先崎彰容
魔法ではない出会い町屋良平
――岸政彦『図書室』を読む
保田與重郎の文学(十一)/前田英樹
これは小説ではない(十五)/佐々木 敦
水戸学の世界地図(四十一)/片山杜秀
地上に星座をつくる石川直樹
第七十六回・理不尽な拒絶
見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第一七六回・猫のてんぷら
■■ 新潮 ■■
◆サターンリターン/喪失を描くこと/鳥飼 茜
◆どこでもないところ/湯浅 学
◆抜け落ちてしまった明治の昆虫採集/山下泰平
◆彼女を信じてるから同人誌を作った/小澤みゆき
◆といをつたって/磯上竜也
■■ 本 ■■
◆マリー・ンディアイ『三人の逞しい女』/小山太一
◆山田詠美『つみびと』/鈴木涼美
◆ミヤギフトシ『ディスタント』/藤井 光

この号の誌面

立ち読み

編集長から

滝口悠生新連載「全然」

◎二〇一一年、新潮新人賞を受賞した滝口悠生氏と初めて会った時、氏の祖父母が戦前の硫黄島出身だと聞いて驚いた(氏も八丈島生)。本州、グアム、沖縄から千キロ以上離れた絶海の孤島。摺鉢山の死闘で知られるIwo Jima。滝口氏は血族の物語を小説にする時を待ち続けてきたのだと思う。何を書くか。いかに書くか。そして機は熟した! 滝口悠生新連載「全然」。第一回で早くも壮大な作品スケールが提示された。東京から船で二十四時間をかけて小笠原諸島に向かう青年。元島民の親族として自衛隊機で硫黄島に飛ぶ女性。そして、戦前の硫黄島に暮らす女性。時空を超えて進行する物語たちがいかなる小説の身体を生み出すか、楽しみでならない◎上田岳弘渾身の長篇『キュー』刊行に際し、俳優高橋一生氏と上田氏に語っていただいた。批評家も顔負けの鋭さで作品を読みとく高橋氏の〈演技知〉に驚いた。また大澤信亮「小説の究極――上田岳弘論」の白熱する批評の熱に灼かれた。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞