金原ひとみ「アンソーシャル ディスタンス」
鴻池留衣「最後の自粛」(230枚)
新連載日記 綿矢りさ「あの頃何してた?」
新潮 2020年6月号
(毎月7日発行)
発売日 | 2020/05/07 |
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JANコード | 4910049010600 |
定価 | 特別定価1,060円(税込) |
◆アンソーシャル ディスタンス/金原ひとみ
疫病が世界を席巻し、恋人達は極限の地獄と仄かな希望の狭間で揺れる。海辺の四日間。
◆最後の自粛[二三〇枚]/鴻池留衣
俺たちが地球温暖化研究会だ。気象変動、コロナ禍、東京五輪を巻き込み驀進する超問題作。
◆苦悩の街/テジュ・コール 木原善彦訳
見えない災厄が漂う街を訪れた旅人の彷徨に終わりはあるのか。寓意が照らす我々の未来。
◆ばばちゃんの幽霊/朝吹真理子
一服おあがんなさい――記憶の中で祖母が蘇る。薄茶の光、墨汁のにおい、茶室の中の時空。
◆井戸の話/瀬戸内寂聴
◆ドーチェスター/松浦寿輝
■■ 連載小説 ■■
◆曼陀羅華X 2004(四)/古川日出男
◆全然(十)/滝口悠生
◆漂流(十三)/町田 康
◆チェロ湖(十五)/いしいしんじ
◆ヒロヒト(十九)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(二十七)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(五十一)/重松 清
第53回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
第33回《三島由紀夫賞》候補作品発表
【対談】天皇皇后両陛下の「自由意志」を書く/保阪正康+島田雅彦
――『スノードロップ』をめぐって
「憲政史上珍しい」低レベルの政治に想像力は躍動する。日本の最後の「良心」はどこに?
【日記――コロナ禍の時代に】
◆あの頃何してた?[新連載]/綿矢りさ
◆戒厳令の昼のフランス・ツアー日誌/中原昌也
◆能十番 日英現代語訳/いとうせいこう ジェイ・ルービン
第二回・羽衣
◆死の彼岸を抜け、生を接ぐ/小澤英実
――古川日出男「おおきな森」を読む
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(11)
◆城下町にて 鳥取/八戸/柴崎友香
◆八十七日目の景色/谷崎由依
◆OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第九回・馬鹿の村
◆保田與重郎の文学(二十)/前田英樹
◆水戸学の世界地図(五十)/片山杜秀
◆小林秀雄(六十四)/大澤信亮
◆地上に星座をつくる/石川直樹
第八十五回・変わっていく日々
◆見えない音、聴こえない絵(一八五)/大竹伸朗
■■ 新潮 ■■
◆人生で自分の姿を一度も見ることができない/和田彩花
◆紀元前から変わらぬ僕、と演劇。/本橋 龍
■■ 本 ■■
◆プラープダー・ユン『新しい目の旅立ち』/岡田利規
◆内藤礼『空を見てよかった』/椹木野衣
◆岡田隆彦『岡田隆彦詩集成』/中尾太一
◆今村夏子『木になった亜沙』/細馬宏通
◆藤野可織『ピエタとトランジ(完全版)』/山崎まどか
この号の誌面
立ち読み
編集長から
パンデミック下の表現
◎金原ひとみ「アンソーシャル ディスタンス」は、現代日本の生き辛さと、それを加速させるコロナ禍を背景に、恋人たちの生=旅を描き出す。「密接」への忌避を振り切るように生き急ぐカップルの足取りは、たえず死への誘惑にさらされつつ、本質的に自由を希求するものだ。火急の現実と向き合いながら、同時に普遍的でもある、傑作と呼ぶに足る作品だ◎鴻池留衣「最後の自粛」(二百三十枚)は埼玉県の高校にある「地球温暖化研究会」の数奇な運命を描く。企みに充ちた作風はさらに過激化し、地球環境問題、東京オリンピック、そして新型コロナウイルスを巻き込んで、壮大に疾走する。気鋭の挑戦にご注目を◎他にも、本号にはテジュ・コール「苦悩の街」(短篇)、綿矢りさ「あの頃何してた?」(新連載日記)、中原昌也「戒厳令の昼のフランス・ツアー日誌」と、パンデミックの時代を独自に表現する作品が豊かに集まった。時代の危機はつねに創造の機会であるはずだ。
新潮編集長 矢野 優
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮とは?
文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。
■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。
■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。
■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。