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筒井康隆「お時さん」
新発掘 三島由紀夫 全集未収録掌篇
金子 薫「道化むさぼる揚羽の夢の」(長篇320枚)

新潮 2021年5月号

(毎月7日発行)

特別定価1,200円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/04/07

発売日 2021/04/07
JANコード 4910049010518
定価 特別定価1,200円(税込)
お時さん筒井康隆
ああお時さんお時さん。失われた時をかける彼女は今どこに? 時空を彷徨う絶品掌篇!
道化むさぼる揚羽の夢の[三二〇枚]/金子 薫
広大な地下都市に幽閉され、羽化=自由を夢見る男の数奇な運命。「命懸けでふざける」想像力で時代の閉塞を揺さぶる圧倒的長篇!
詩人ちゃん・キル・ミー(九)/最果タヒ
■■ 連載小説 ■■
聖都創造(九)/天童荒太
天使も踏むを畏れるところ(十一)/松家仁之
曼陀羅華X(十五)/古川日出男
全然(二十)/滝口悠生
漂流(二十二)/町田 康
チェロ湖(二十五)/いしいしんじ
ヒロヒト(二十八)/高橋源一郎
荒れ野にて(六十二)/重松 清
■■ 新潮 ■■
理想の「ラジオ」としてのClubhouse柳瀬博一
コジャックの館堀江 栞
旅という名の無小川 哲
第54回《新潮新人賞》応募規定 [ウェブ応募近日開始!]
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
◆【新発掘】三島由紀夫 全集未収録掌篇
恋文
『仮面の告白』の一九四九年――新進作家は「極く短かい」物語に占領下を活写していた。
[解説]三島由紀夫「恋文」の位置斎藤理生
ツボちゃんの話――夫・坪内祐三佐久間文子
博覧強記の東京っ子。希有な同時代の語り部が急死して一年半。妻が語るありし日の記憶。
[対談]「速い怒り」に抗って朝井リョウ村田沙耶香
自らの深淵を見つめた先に、小説が立ち上がる。世界の内側と外側に立つ作家の真剣討論。
性的妄想の行方濱野ちひろ
――朝井リョウ『正欲』を読む
『豊饒の海』論(六)[短期集中連載]/平野啓一郎
平野甲賀さんの思い出大森和也
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(22)
おばちゃんたちの声西加奈子
ライブ・イン・ピース水原希子
大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(七)/片山杜秀
小津安二郎(九)/平山周吉
保田與重郎の文学(三十)/前田英樹
小林秀雄(七十四)/大澤信亮
地上に星座をつくる石川直樹
第九十五回・勇崎さんのこと
見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第一九四回・仮想の森の3ババア
■■ 本 ■■
◆松浦寿輝『わたしが行ったさびしい町』/杉本博司
[特別原稿]暗渠の岸辺――松浦寿輝へのオマージュ
◆黒川 創『ウィーン近郊』/大竹昭子
◆岸 政彦『リリアン』/木村友祐
◆山田詠美『血も涙もある』/田中慎弥
◆国分 拓『ガリンペイロ』/服部文祥
◆乗代雄介『旅する練習』/東辻賢治郎

この号の誌面

立ち読み

編集長から

長篇一挙掲載・金子薫
「道化むさぼる揚羽の夢の」

◎『双子は驢馬に跨がって』(野間文芸新人賞)などで独自の作品世界を展開してきた気鋭、金子薫氏による入魂の長篇「道化むさぼる揚羽の夢の」(323枚)を一挙掲載する。舞台は広大な地下世界。主人公・天野正一は機械工として工場に召集された。物語は蛹のごとく拘束され、自由=羽化を夢見る天野の遍歴を描く。物語は高度な虚構性を持ちながら、同時に、いま私たちが生きる現実と深く響き合う。そう、成長という羽化の夢が覚めた後の現実。リアル/ヴァーチャルの境界が溶け出した現実。人類が仮面マスクをかぶり蛹のごとく内向する現実――それらと本作は激しく擦れ合い火花を飛ばすのだ。ただ深刻な話ではない。「道化」を大きなモチーフとする本作の至るところに笑いが充ちている。この重要作にご注目を! ◎昨今、驚嘆すべきペースで新作を発表している筒井康隆氏の「お時さん」はいわば〈失われた時をかける女を求めて〉だ。いま筒井氏は新たな絶頂期にいるのではないか。

編集長・矢野 優

松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献

(この小説は史実に基づいて書かれていますが、登場人物はすべて架空の人物です。)

  • 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
  • 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
  • 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
  • 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
  • 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
  • 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
  • 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
  • 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
  • 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
  • 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
  • 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
  • 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
  • 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
  • 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
  • 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
  • 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
  • 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
  • 『昭和天皇実録 第十一』宮内庁(東京書籍)
  • 『秩父宮 昭和天皇弟宮の生涯』保阪正康(中公文庫)
  • 「新建築 1982年7月臨時増刊 桂離宮」(新建築社)
  • 『宮殿をつくる』高尾亮一(求龍堂)
  • 『皇居』入江相政(保育社)
  • 『入江相政日記 第五巻』入江為年監修(朝日文庫)
  • 『侍従とパイプ』入江相政(中公文庫)
  • 『こんなに面白い東京国立博物館』新潮社編 東京国立博物館監修
  • 『探検! 東京国立博物館』藤森照信・山口晃(淡交社)
  • 『カイコの病気とたたかう』鮎沢啓夫(岩波科学の本)
  • 『皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕』宮内庁協力(扶桑社)
  • 『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』明石信道 文・実測図面 村井修 写真(建築資料研究社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 満洲樺太』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 「芸術新潮」2008年8月号「大特集 北京」(新潮社)
  • 『完訳紫禁城の黄昏』上・下 R.F.ジョンストン 中山理 訳 渡部昇一 監修(祥伝社)
  • 『漱石紀行文集』藤井淑禎 編(岩波文庫)
  • 『吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 1934年満洲/1939年南支・朝鮮南部』塩沢珠江=著 松重充浩=監修(草思社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 朝鮮台湾』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 『満洲朝鮮復刻時刻表 附台湾・樺太復刻時刻表』日本鉄道旅行地図帳編集部[編](新潮社)
  • 『火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか』吉村順三(新潮社)
  • 『日本の近代をデザインした先駆者 生誕150周年記念後藤新平展図録』(財団法人東京市政調査会)
  • 「芸術新潮」2006年8月号「全一冊 韓国 未知の美と出会う旅」(新潮社)
  • 『図説 満鉄 「満洲」の巨人』西澤泰彦(河出書房新社)
  • 『満洲鉄道まぼろし旅行』案内人・川村湊(ネスコ 文藝春秋)
  • 『韓国の民家』張 保雄著 佐々木史郎訳(古今書院)
  • 『建築の前夜 前川國男論』松隈洋(みすず書房)
  • 『前川國男 賊軍の将』宮内嘉久(晶文社)
  • 『一建築家の信條』前川國男 宮内嘉久編(晶文社)
  • 『日本建築宣言文集』藤井正一郎・山口廣編著(彰国社)
  • 『皇居に生きる武蔵野』毎日新聞社社会部写真部編(毎日新聞社)
  • 『天皇と侍従長』岸田英夫(朝日文庫)
  • 『スウェーデンの建築家』吉田鉄郎(彰国社)
  • 「野村東宮大夫の思い出」入江相政(「文藝春秋」1957年10月号)
  • 『ドキュメント皇室典範』高尾栄司(幻冬舎新書)
  • 『僕の留学時代』東山魁夷(日本経済新聞社)
  • 「芸術新潮」2008年5月号「生誕100年記念特集 東山魁夷 国民画家の素顔」(新潮社)
  • 「皇居新宮殿における宮内庁試案の意図」小畑俊介 山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第768号)
  • 『宮中歳時記』入江相政編(小学館文庫)
  • 『十番目の女神』高尾亮一(求龍堂)
  • 『小泉信三 天皇の師として、自由主義者として』小川原正道(中公新書)
  • 『東宮御所 建築 美術 庭園』設計・谷口吉郎 撮影・渡辺義雄(毎日新聞社)
  • 『現代日本建築家全集6 谷口吉郎』栗田勇監修(三一書房)

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞