【鉄道大特集】
小説 西村京太郎/越谷オサム
特別インタビュー 佐藤孝之/松岡純正
マニアックレポート 蜂谷あす美
小説新潮 2018年6月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2018/05/22 |
---|---|
JANコード | 4910047010688 |
定価 | 998円(税込) |
鉄道本〜小説から旅行記まで〜
■目次
【鉄道大特集】
――内田百閒「特別阿房列車」から67年。数々の鉄道企画を世に送ってきた本誌が、久々に取り組んだ今世紀初の面白大特集
○小説
◆西村京太郎/富山地方鉄道殺人事件 新連載
――大学時代憧れた女性から、突如失踪した夫を一緒に探してほしいと頼まれた私。残されたメモに宇奈月に行くとあり――
◆越谷オサム/やまびこ
――東京への家族旅行が新幹線デビューだった――あれから33年。ひとりきりのやまびこ51号でこれまでの人生が去来する
○特別インタビュー
◆佐藤孝之 聞き手:田中比呂之/「日本全駅完全乗降者」かく語りき
――鉄道趣味の金字塔か、はたまた世紀の大奇行か――日本の駅という駅を乗り降りし尽くした男の素顔に迫る
◆松岡純正/プロ「プラレーラー」への道
――おもちゃで遊ぶのが仕事だなんて! プラレールを生業にしてしまった男が語る、新しい職業の見つけ方
○マニアックレポート
◆蜂谷あす美/山手線「駅スタンプ」の暗号
――29駅それぞれに潜んだ意外なメッセージを完全解読
【新企画スタート】
◆原 武史/「線」の思考 第1回 小田急江ノ島線とカトリック
――日本各地の近現代史を紐解くスリリングな「鉄学」紀行。第1回は、小田急江ノ島線・JR相模線の周辺に点在する宗教施設の謎を追う
【作家生活40周年記念特別企画】
◆今野 敏/警察大学校特別講義 警部諸君に告ぐ!
――警察小説第一人者が本物の警部に語った白熱講義実況中継!
【特選短編】
◆木内 昇/頓田町の聞奇館
――写真しか知らないあの方に会いたい。見つけたのは〈口寄せ〉
◆霧島兵庫/フラウの戦争論 ラ・ベル・アリエンスの飼い犬(前編)
――再び戦争の危機が迫る中、クラウゼヴィッツの頭に蘇る戦役は
◆西條奈加/氷目付 せき
――箱根関所の番士を命ぜられた武一。それを見張る横目付とは……
◆野中 柊/いくたびも 猫をおくる 最終話
――突然「猫寺」に飛び込んできた彼女は、真道の日々を変えたか
◆松尾 潔/みんなハッピー
――偶然見つけた母親の古い日記。興味半分で読み始めた佑衣だが
【連載第2回】
◆朝井まかて/輪舞曲 ロンド
――内藤の申し出に反発しつつ、夢声は在りし日の彼女に思いを馳せ
◆藤野恵美/サバイバーズ・ギルト
――父とは関わりたくない。だが、息子にとっては大事な祖父で――
【小説新潮作家名鑑】
◆越谷オサム
――執筆のため始めた稽古は9年目。あの作品はこうして生まれた!
【バラエティコラム】
〈もういちど会いたい〉大高郁子
〈いつか住みたい街〉MASAKI世界一周
〈マイルーティーン〉吉田悠軌
【連載コラム】
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
赤川次郎/いもうと
石田衣良/清く貧しく美しく
奥田英朗/霧の向こう
窪 美澄/トリニティ 最終回
熊谷達也/我は景祐
白石一文/ひとりでパンを買いに行く日々に
楡 周平/鉄の楽園
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
早見和真/ザ・ロイヤルファミリー
薬丸 岳/刑事弁護人
山本一力/船旗を替えよ!
山本文緒/自転しながら公転する
【連載エッセイ・マンガ】
Oka-Chang/へそのお
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
武田砂鉄/ポジティブ・ファシズム 最終回
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
ペリー荻野/テレビの荒野を歩いた人たち
増田俊也/続 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
道草晴子/下北日記
群 ようこ/じじばばのるつぼ
第37回「新田次郎文学賞」決定発表
第6回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2018」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
昔から小説新潮は「鉄分」が多かった
「小説新潮」と鉄道の縁は深い。鉄道紀行の代表作である内田百閒の「阿房列車」シリーズ、阿川弘之の「南蛮阿房列車」シリーズは、いずれも本誌に書き継がれたもの。鉄道ファンの崇敬を集める宮脇俊三もたびたび寄稿しており、近年では酒井順子氏の『女流阿房列車』もまた本誌掲載だ。折しも初夏の旅行シーズン、久々にやってみるかと企画したのが、今世紀初の「鉄道大特集」という次第。
ここ数年、地方私鉄を舞台に読者を再開拓し続ける西村京太郎氏の新連載「富山地方鉄道殺人事件」、東北新幹線の追憶を通して親子関係の機微に迫る越谷オサム氏の「やまびこ」という小説2作。加えて日本全9871駅完全乗降者、プロ「プラレーラー」へのインタビュー、そしてJR山手線「駅スタンプ」の謎を解き明かすレポートと盛りだくさん。さらに原武史氏の新企画「〈線〉の思考」は、近現代日本の水面下に沈んだ歴史を、鉄道を軸に再浮上させる意欲的紀行だ。
小説新潮編集長 江木裕計
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。