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【秋の時代小説特集】
梓澤 要/植松三十里/木下昌輝/近衛龍春/永井紗耶子/矢野 隆

小説新潮 2019年10月号

(毎月22日発売)

998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/09/21

発売日 2019/09/21
JANコード 4910047011098
定価 998円(税込)
■目次
【秋の時代小説特集】
〈小説〉
梓澤 要/華の譜 徳川和子と後水尾天皇 新連載
――幕府と朝廷の権力争いの果てに、夫婦になる運命は定まっていた――二人の波乱曲折の生涯を描いた鮮烈な歴史長編

植松三十里/雪山越え
――人質となっていた家康の弟、松平康俊は牢から逃げ出すが

◆木下昌輝/れんどう夢幻 性の章 前編
――茶人として栄華を極める千宗易の前に現れたのは、仇敵の子

近衛龍春/遠江の椿姫 女城主田鶴
――戦国の熾烈な勢力争いに放り込まれた女が守ったものとは

永井紗耶子/木戸芸者かく語る 木挽町のあだ討ち
――二年前の仇討ちの話を聞きたいと訪ねて来た武家に一八は

矢野 隆/耕書堂モンパルナス 其ノ漆 鉄蔵が失せる
――己の絵のためと、首を括った女の死の理由を追う鉄蔵だが

〈特別対談〉
宮城谷昌光×原田維夫/中国史を描き続けて
――資料のない中国を描く難しさ、醍醐味。一緒に回った城跡巡りや競馬の愉しみまで、話題の尽きない対談の行方は?

【「むかわ竜」新種認定記念対談】
小林快次×万城目学/万城目学、恐竜博士に会いに行く
――人生の目標は、恐竜の化石を見つけること――そんな主人公が活躍する新作を執筆中の小説家が、憧れの先生に積年の疑問をぶつける

【読み切り力作短編】
一條次郎/ヘルメット・オブ・アイアン
――杜子春のノウハウで平穏な生活を手に入れる――。借金取りに追われるおれはタクシーに乗りラクヨーを目指した

第六回「新潮ミステリー大賞」決定発表】
――ミステリーとしての要求の高さゆえ、誕生しなかった大賞。しかし、即戦力の有望作が世に送られることとなった――
〈優秀賞〉
◆村木美涼/箱とキツネと、パイナップル(抄)

〈選評〉伊坂幸太郎貴志祐介道尾秀介

【連載第二回】
西加奈子/夜が明ける
◆清水克行/アナーキー・イン・ジャパン

小説新潮作家名鑑
◆真藤順丈
――生まれ育った街で見せた、ボーダーレスな作家の素顔

【バラエティコラム】
〈わたしの愛用品〉 臼井 悠
〈いつか住みたい街〉 滝澤三郎
〈マイルーティーン〉 田中比呂之

【連載エッセイ・ノンフィクション】
阿刀田高/谷崎潤一郎を知っていますか
石井光太/いのちの家 「こどもホスピス」をめぐる物語
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
川上和人/オニソロジスト嘘つかない
酒井順子/処女の道程
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
椎名 誠/漂流者は何を食べたか
高野秀行/謎の未確認納豆を追え!
坪内祐三/玉電松原物語
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
中野 翠/コラムニストになりたかった

◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史

【好評連載小説】
安部龍太郎/迷宮の月 最終回
逢坂 剛/鏡影劇場
奥泉 光/死神の棋譜
織守きょうや/朝焼けにファンファーレ
梶よう子/東都の藍
黒川博行/熔果
桜木紫乃/緋の河 第二部
西村京太郎/西日本鉄道殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
◆薬丸 岳/刑事弁護人
山本一力/ひむろ飛脚
第十八回「小林秀雄賞新潮ドキュメント賞」決定発表
第七回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

「小説雑誌」の小説じゃない面白さ

 本号掲載の対談「万城目学、恐竜博士に会いに行く」が楽しい。北海道むかわ町で発掘された恐竜「むかわ竜」の化石が、九月初めに新種認定された。この研究に携わり、『恐竜まみれ―発掘現場は今日も命がけ―』(小社刊)の著書もある小林快次氏に、文壇随一(?)の恐竜愛好家である万城目学氏が挑んだこの企画。専門家もタジタジとなる万城目氏の偏愛ぶりが、微笑ましくもそら恐ろしい。
 全く趣が異なるが、もう一つの対談「中国史を描き続けて」もまた読み応えがある。「公孫龍」を連載中の宮城谷昌光氏と挿画担当の原田維夫氏が、長年のコンビの来し方を振り返る。小説と画業との興味深い関係性はもちろん、最も御利益の高い神仏の拝み方、競馬の奥深い面白さ等々、ベテランならではの豊富なエピソードが満載だ。
「小説雑誌」である本誌だが、こうした対談やエッセイ、ノンフィクションやインタビューなど、現実社会とリンクした新鮮な「非小説企画」にもご注目を。

小説新潮編集長 江木裕計

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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