新鋭エンタメの2トップ、重版街道爆走中!
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カルト的人気を誇ったテレビ番組「放送禁止」をご存じでしょうか。これは、「ある事情で放送禁止となったVTRを再編集し放送する」という設定で始まるフェイクドキュメンタリーで、くりぃむしちゅーの有田哲平さんをはじめ、熱狂的なファンがいることで知られています。
この番組のクリエーターこそ、『出版禁止』の著者、長江俊和氏です。本書『出版禁止』もまた、「ある事情で出版禁止となったいわくつきの原稿」を、長江氏が手にするところから始まります。スキャンダルにまみれた某心中事件の真相を追うライター
じつは、これは単なる内容紹介ではありません。以上の記述の中にも、すでに仕掛けと謎解きの手がかりが隠されています。注意深い読者なら、お気づきでしょうか。それともやはり本書をお読みいただくほうがよいでしょうか。真相に辿りつけるかどうかは、あなた次第です。
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しかし、それは決して真実ではありませんでした。この作品は途中から信じ難い展開が待ち受け、およそこれまでのミステリー小説にはなかった衝撃に心が根底から揺さぶられます。
「"感動"や"失望"、"明るい"や"暗い"、"幸せ"や"不幸"といった言葉だけでは片づけられない、名付けられない感情や事柄を時に描くのが小説であり、物語であるとするなら、早見さんが描こうとしたものはおそらく、それらを超越した"何か"が起こる瞬間そのものなのだ」と、本書の解説に辻村深月さんは記しています。ぜひ、その瞬間を味わってみてください。この小説の真髄に触れている辻村さんの文章も、文庫解説史上に残ると言いたくなるほど感動的です。
2017年03月15日 今月の1冊