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楽しい会話のために大切なことは? 歴史的名著が初の文庫化!

 新年度がスタートしました。新入生、新社会人のみなさん、おめでとうございます。新しい学校や職場で、初対面の人たちと話をする機会が増える春。新しい友だちや仲間と、楽しくおしゃべりができたら、これほど気持ちのいいことはありません。
 今月の新刊『話術』で徳川夢声は、「他人以上、親友未満」の人との会話を楽しく成功させるための条件として、次の3つを挙げています。

徳川夢声話術

A・教養が深く見聞が広く、話題が豊富であること
B・共通の話題を選ぶこと
C・相手の話をよく聞くこと
 Aはちょっとハードルが高く感じますね。Bは自然と気をつけている人も多いのではないでしょうか。Cは今すぐにでも、意識して始められそうです。「話し上手は聞き上手」というくらいで、「相手の話をよく聞くこと」はとても大事なのです。
 だから『話術』では、さらにくわしく「聞き上手」になるためのコツを紹介しています。
 
(1)話の腰を折らないこと
(2)「マ」と気合を外さずに
(3)話し手の眼を見ること
(4)何かしながら聞かないこと

(2)はこれだけだと少し分かりづらいかもしれません。適度に相づちを打つという意味です。

 ところで著者の徳川夢声って誰? と思った人も多いのではないでしょうか。徳川家康の子孫ではありません。歴史学者、磯田道史さんの言葉を借りれば、「この国最高の話術の達人」。

 徳川夢声の人生と素顔は、巻末の解説で濱田研吾さんが書いています。サイレント映画を解説する活動弁士から俳優、漫談家として活躍。試験放送の頃からラジオに出演、そしてテレビのタレントへ。作家としてもたくさんの本を残し、大正から昭和にかけて、文化の最先端を担った元祖マルチ・タレントでした。
 夢声が『話術』を発表したのは、戦後間もない1947年。その20年後にアナウンサーとなった久米宏さんの解説も収録しています。

 新人時代の久米さんが、先輩から薦められた何冊かの本の中に『話術』がありました。先輩の意図は「楽しくおしゃべりしようぜ」ということではもちろんなく(それもあったかもしれませんが)、アナウンサーに必要な技術や心がまえが、この本には書かれているということだったのでしょう。
 ところが久米さんは、このときも、それからも、『話術』を手にすることがなかったそうです。今回、はじめて読んで、どんな感想をお持ちになったでしょうか。
 久米さんの解説は書評サイトHONZで読むことができます。
(50年の怠慢を経て名著を読む http://honz.jp/articles/-/44696

 久米さんが新人だった50年前、すでに名著とされていた『話術』。発売以来、単行本のロングセラーとしてずっと売れ続けている作品が、はじめて文庫になりました。
 

読めば生きる勇気沸く、超前向きな人生論。
 シャ乱Qのボーカリストとして一世を風靡し「モーニング娘。」を大ヒットさせたつんく♂さんは2015年夏、喉頭がんでその声帯を失いました。

 歌声を失う以上の恐怖はない、と語るつんく♂さんは、なぜ最後には、生きることを選んだのでしょう。その理由には著者ならではの、前向きな人生観が詰まっています。

つんく♂「だから、生きる。」

〈さあ、今日も楽しくいきますか!〉
 そう明るくはない未来や日々の疲れに押しつぶされそうになったら、本書に登場する言葉に触れてみてください。ほとんどの悩みは小さいものに、そして世界はより良いものに感じられます。

 解説では朝井リョウさんが「歌手・つんく♂の歌声は唯一無二」と絶賛。著者の天才的歌唱指導やその人柄に関するエピソードに、思わず笑みがこぼれます。

 現在つんく♂さんは、テレビ朝日「ラストアイドル」に出演中。本書を読んでさらに勇気づけられたい方はぜひ、ご覧ください。

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2018年04月13日   お知らせ / 今月の1冊
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