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松潤や椎名林檎も絶賛!? 講談師の素顔にしびれる一冊が待望の文庫化。


 TBSラジオ「問わず語りの松之丞」や、テレビ朝日系列「松之丞カレンの反省だ!」などメディアで最近よく見る神田松之丞さん。聞けば、嵐の松本潤さん、ジブリの鈴木敏夫プロデューサー、シンガーソングライターの椎名林檎さんなど、ファンを公言する著名人もたくさんいるそう。
 毒舌冴えわたるキャラクターもさることながら、一級品の話芸で快進撃を続け、未来の人間国宝との呼び声も高い講談師です。

「講談ってよくわからない」そんな方がほとんどだと思います。
 しかし「古典芸能ってつまらなさそう......」そんな人たちが松之丞さんをきっかけに、講談の沼にはまっています。

 かつて、落語を凌ぐほどの人気を誇った講談は、落語が架空のストーリーを語るエンタテイメント小説なら、実際に起きた事件などを題材に語るノンフィクションもの、といった説明をされることの多い話芸。
 一見地味にも見えるこの講談に今、異変が起きています。松之丞さんの出演される公演はチケットが軒並み即日完売。誇張なく、いま、最もチケットが取れない人なのです。

 前座→二ツ目→真打と昇進していくなか、二ツ目にしてここまで登りつめた彼の半生を自ら語り、杉江松恋さんがまとめたのが新潮文庫より発売中の『絶滅危惧職、講談師を生きる』です。
 ほかでは語られなかった生い立ちのこと、思春期のこと、古典芸能との出会い、そしてなぜ滅びかけの芸に惹かれ、神田松鯉への入門を決めたのか――。
 天才の光と闇が詰まった本書を読めば、新しいことを成し遂げる者の尋常ならざるたくらみと志にしびれます。
 来たる2020年2月11日に、真打へのスピード昇進、および「神田伯山」という大名跡を襲名することが決まった松之丞さん。長い講談の歴史のなかでこれがいかに重要な出来事なのか、長井好弘さんの寄稿も収録した文庫は、真打昇進への覚悟溢れる一冊です。

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2019年11月15日   今月の1冊
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