今月号の表紙は、万城目学さん。
波 2017年7月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2017/06/27 |
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JANコード | 4910068230775 |
定価 | 102円(税込) |
平岩弓枝/なつかしい面影 第10回
[万城目学『パーマネント神喜劇』刊行記念対談]
万城目学×京極夏彦/消えゆくものから生まれた物語
滝口悠生『茄子の輝き』
堀江敏幸/紫の希望の灯
ベルンハルト・シュリンク、松永美穂/訳『階段を下りる女』(新潮クレスト・ブックス)
石井千湖/文字で描かれた一枚の絵に魅入られる
燃え殻『ボクたちはみんな大人になれなかった』
兵庫慎司/存在自体が新しい書き手による、新しい私小説
服部文祥『息子と狩猟に』
松永美穂/心に地殻変動が起きる小説
岩下悠子『水底は京の朝』
千街晶之/古都で演じられるミステリアスな仮面劇
[高田文夫『また出た 私だけが知っている金言・笑言・名言録(2)』刊行記念スペシャル・トーク
高田文夫×相沢 直/突っ込みとは、訂正力である!
[川良浩和『忘れられないひと、杉村春子』刊行記念対談]
川良浩和×大笹吉雄/女優・杉村春子について話そう
ラッキィ池田『「思わず見ちゃう」のつくりかた―心をつかむ17の「子ども力」―』
齋藤 孝/「大人を経た子ども」になること
中村紘子『ピアニストだって冒険する』
檀 ふみ/代わりはいない
椎名 誠『ノミのジャンプと銀河系』(新潮選書)
更科 功/頭の中でマンガに変身する科学書
特別企画 最相葉月/河合隼雄を読み直す
葉室 麟『古都再見』
澤田瞳子/永遠の青年の見た古都
上原善広『路地の子』
荻上チキ/多義的な読み方を可能にした著者のスタンス
樋口毅宏『おっぱいがほしい!―男の子育て日記―』
眞鍋かをり/イクメンとは次元がちがう
[又吉直樹『劇場』刊行記念対談]
又吉直樹×壇蜜/尽くす女、嫉妬する男
奥野長衛、佐藤 優『JAに何ができるのか』
池上 彰/日本の農業に可能性を見る
佐伯一麦『渡良瀬』(新潮文庫)
池上冬樹/巨大な一筆書き
[北方謙三『荒野に立てば―十字路が見える―』刊行記念対談]
北方謙三×原 武史/ハードボイルド映画 俺の五本、おまえの五本
【コラム】
矢内賢二『ちゃぶ台返しの歌舞伎入門』(新潮選書)
松田奈緒子/幕見席でのおしゃべりのように
とんぼの本編集室だより
ヘミングウェイ、高見 浩/訳『移動祝祭日』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町
烏賀陽弘道『フェイクニュースの見分け方』(新潮新書)
烏賀陽弘道/オピニオンよりもファクトを
【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第17回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第16回
野村 進/多幸感のくに 第8回
津村記久子/やりなおし世界文学 第38回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第4回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第88回
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第47回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第7回
佐藤賢一/遺訓 第19回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から
立ち読み
編集長から
今月号の表紙は、万城目学さん。
◇今月号の表紙は、万城目学さんを新潮社近くにある赤城神社で撮影しました(かつて水木しげるさんが「ゲゲゲの鬼太郎」ヒット祈願をしたという由緒とご利益のある聖地です)。全巻に響き渡る万城目節に乗せられて、くいくいページをめくりながら、「巻ヲ措ク能ハズって、これだなあ」とつい呟きたくなる最新作『パーマネント神喜劇』の主人公は何と神様。このユーモアと奇策の横溢する物語がどこからどういう発想で生まれたか、作者と京極夏彦さんとの充実の対談をまずお読み下さい。
◇『火花』に続く長篇第2作『劇場』が33万部のベストセラーになっている又吉直樹さんと壇蜜さんの対談には同席しました。二人の話があまりに豊かで、かつ多岐にわたったため、最初から決まっていた「週刊新潮」6月8日号の誌面だけでは足らず、急遽本誌にも掲載することになりました。どうしても週刊新潮掲載分と重なる部分があることをご海容頂ければ幸いです。
◇週刊新潮の対談を読んだ久米宏さんが自分のラジオ番組「ラジオなんですけど」でゲストに来た又吉さんに「ちょっと普通じゃない壇蜜さんと又吉さんの対談を読んで、結婚したらいいのにってすぐ思いました。お似合いじゃないかな」と言い、又吉さんは「壇蜜さんは独特な視点で喋ってくれるから、喋ってても面白かった」と応じました。お似合いぶり、本誌でもぜひご確認を。
◇高田文夫さんと相沢直さんの対談も爆笑もの。たけしさんのANNを熱にうかされるように聴いていた元・中学生としては、高田先生がお元気でホッとします。
◇実は雑誌で読む対談というのが個人的に好きで、「波」に一つも載っていないとさみしいくらいです。「純文学書下ろし特別作品」挟み込みの対談は必ず本誌に掲載されていましたし(『みいら採り猟奇譚』をめぐる河野多惠子さんと吉行淳之介さんのものなど刺激的)、私が大学生だったころ掲載された荒木経惟さんと篠山紀信さんのケンカ対談など忘れがたいし、近年では吉川潮さんがいろんな落語家を呼んで行った連続対談も愉しかったです。自分が編集していない時の「波」でも、あまり褒めちゃいけないですね。では、また次号で。
◇神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしています。詳細は98ページの広告、そしてHP、http://kagubookclub.com/を。
お知らせ
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。