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【特集】この大いなる違和感

新潮45 2012年9月号

(毎月18日発売)

880円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2012/08/18

発売日 2012/08/18
JANコード 4910049370926
定価 880円(税込)

【特集】
この大いなる違和感

◆まったくかみ合わない原発の「国民的議論」/吉崎達彦

◆坂本龍一よ、アメリカでも「たかが電気」と言ってくれ/大江舜

◆今もなお「平時」の対応しかできない日本/菅野典雄

◆文楽の脚本を変えろ? 何言うてんねん、このスカタン/徳岡孝夫

◆誰か古舘伊知郎を黙らせてくれ/適菜収

◆あんな由紀夫にまた42億円のお小遣い/倉田真由美

◆それは「いじめ」ではなく「犯罪」である/森口朗

◆ぼくは腹の底から泣いた ネットの言葉について考えたこと/春名風花

◆デフレの果てに、税金と公共料金だけが上がっていく/岡田浩之

◆大学を蝕む創意なき拝金と模倣/遠藤秀紀

◆負けても泣くな高校球児/玉木正之

正義を偽装する真夏の「ミンイ」大合唱 反・幸福論〈21〉/佐伯啓思

◆震災から五百日、何も進まず「心的被曝」に喘ぐ福島の現実/玄侑宗久

◆電子メールはあと2年で終わる/小田嶋隆

◆就活カーストの呪縛/古市憲寿

【新連載】日本国の形式 一九七〇年の「万博狂」小学一年生/片山杜秀

【インタビュー】
もう国には任せられない/猪瀬直樹 [聞き手]山本皓一

終戦秘史発掘

◆いま明かされる「運命の一日」
 マッカーサー作戦参謀が見たミズーリ号調印式/譚ロ美(タン・ロミ)
◆日本軍「敗将」たちの終わらざる戦い/有馬哲夫
◆日本兵の遺骨がカネで買われている/笹幸恵


【座談会】
われら昭和十九年生まれ/川本三郎×椎名誠×出久根達郎 [司会]坪内祐三

◆日記に記された「日中国交回復」前夜 〈1〉内部報告「田中角栄」/編集部編

◆戦後史の風景〈5〉 田中角栄――新潟・柏崎刈羽/武田徹

◆修羅の母娘 山田五十鈴と嵯峨三智子/川村蘭太

◆司法はなぜ「結果責任」を問わないのか(下)/佐藤直樹
 ――刑法39条は削除すべきである


◆ビョーキなのは誰のせい/里見清一

◆弟宮[最終回] 兄宮と弟宮たちの終戦/竹田恒泰

◆女が女に出会うとき〈2〉 姉も私も喝采を求めていた/小島慶子

◆歌謡曲が聴こえる〈4〉 低音の魅力、フランク永井/片岡義男

◆田老物語 巨大防潮堤と「日本の近代」[最終回]/高山文彦

◆世界史を変えた化学物質〈4〉 国家の浮沈は爆薬とともに/佐藤健太郎

◆浮浪児1945――彼らはどこへ消えたか〈5〉 少女たちの行方/石井光太

◆立川談志は名月である〈5〉 夏の月/吉川潮

◆昭和の子供だ君たちも〈10〉/坪内祐三

◆日本八策〈7〉 さらば「鹿鳴館」のトラウマ/茂木健一郎

◆石の虚塔〈9〉 考古学界の異端児/上原善広

◆兵士は起つ 自衛隊史上最大の作戦〈12〉/杉山隆男

◆名門と国家[第二部]〈6〉 明治の会津人/徳川家広

◆人生の星の時間[最終回] 明治天皇/福田和也

【達人対談】
宇宙は「暗黒」で満ちている
宇宙理論の達人/村山斉vs.ビートたけし

◆[扉]蟷螂/高木亮
◆地球生き物語12 アフリカゾウ/福田幸広

◆〈巻頭随筆〉風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆閻魔堂の吹き流し/山本一力
◆右顧左眄/外山滋比古
◆だまし庵日記/野坂昭如

◆[記者匿名座談会]野田の都合と谷垣の都合で「近いうち解散」
◆おとこのるつぼ *品性ある行動/群ようこ
◆イマイマイズム見聞録 *自費出版説明会/今井舞

◆第十一回 新潮ドキュメント賞 *候補作品発表

◆[切り絵パロディ]新世界文学名作選〈11〉/高木亮

■Review■
・BOOK
・CINEMA・EXHIBITION
[読書日記]恩田陸
[インタビュー]秋尾沙戸子

編集長から

この大いなる違和感
 暑さのせいではないでしょうが、昨今おかしなことが多すぎます。例えば政府が進める原発の「国民的議論」。原発比率についてはまず0か1かが焦点なのに、なぜあの三択なのか。当面の応急対策と将来的な目標とそれに至る政策と、本来は時間軸を分けて議論すべきなのに、なぜ2030年なのか。一方で議論がきちんと行われないまま、いつのまにか「脱原発」は奇妙な“正しさ”をまとい始め、異論を挟めない空気を感じます。
 また、いじめに関する報道でも、そもそもなぜ暴力という明らかな犯罪行為を「いじめ」と呼ぶのか。その言葉が物事の本質を見えなくしているのです。
 何かが違う。そんな思いから、今月は「この大いなる違和感」という特集を組みました。佐伯啓思「正義を偽装する真夏の『ミンイ』大合唱」と併せてご一読下さい。このほか川本三郎・椎名誠・出久根達郎という意外な組み合わせによる座談会「われら昭和十九年生まれ」も読み応えあり。

新潮45編集長 三重博一

(「波」2012年9月号より)

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
 3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
 しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
 それは「人の生き死に」について考えるということです。
 扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。

 ちょっと危険で、深くて、スリリング。
 死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
 一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
 
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞