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【特集】「茶の間の正義」を疑え

新潮45 2018年9月号

(毎月18日発売)

897円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/08/18

発売日 2018/08/18
JANコード 4910049370988
定価 897円(税込)

【特集】「茶の間の正義」を疑え
裏口入学、何が悪い/大江舜
◆「親なき子」を作り出す生命科学でいいか/山折哲雄
「宴会自粛」は最小限でかまわない/八幡和郎
◆「おかま」はよくて「男」はダメ
 お茶の水女子大の「差別」/樫原米紀
◆災害情報、気象警報
 テレビの「L字型画面」に腹を立てる/小田嶋隆
◆いいかげんにしろ、喫煙者いじめ/高橋政陽
「ワンオペ育児」で上等じゃん/角田朋子

〈大反響 第二弾〉
81年ぶりに発見! ドイツから里帰りした原節子の「振袖」と16歳の写真帖
旅する新人女優・原節子
【特集】「日本喰い」中国人
『静かなる侵略』の衝撃/山岡鉄秀
 中国の属国化が進むオーストラリア
医療費「横取り」を許すな/福田ますみ
◆「基地候補地」周辺が買収された宮古島の怪/平野秀樹
◆在日中国人「不動産投資」の手の内/田中奈美
 転売されそうな「夕張リゾート」
中国工作機関に侵蝕される防衛省/時任兼作
◆幻の映画産業買収計画/甘粕代三
一橋大院生 「同性愛自殺」裁判をどう見るか/星野豊
◆「遺骨」の行方/伊藤達也
 オウム死刑囚たちは「聖人化」されるか
わが役者人生の「支柱」/北大路欣也

〈特別企画〉まだ「敗戦国」ニッポン
9条改正で初めて占領は終わる/ケント・ギルバート
◆東京上空は半分、米軍のもの/守屋武昌
◆いまも生きている著作権の「敵国条項」/さかもと未明
◆[新「霞が関」考]
 官僚を堕落させたのは「古賀茂明」である/中野剛志
◆[最下層ルポ]福祉事務所の「妖怪ワーカー」たち/村野正好
◆歴史再考〈7〉投機狂時代の到来/中野順哉
◆日帰り弾丸出張が楽しくなる
 札幌・美味しい「ひとり飯」/加藤惠子
◆中国の手に落ちたデジタル覇権/田代秀敏
◆追悼・橋本忍 傑作『砂の器』と怪作『幻の湖』/西村雄一郎
【新連載】パンとサーカス/適菜収
〈1〉最後のサーカス「オリンピック」
【短期集中連載】
◆新資料発掘 原爆投下秘話
 英米で違った「投下シナリオ」/有馬哲夫
マトリ 伝説の「麻薬Gメン」が明かす薬物捜査のすべて/瀬戸晴海
〈3〉蔓延する「高濃度大麻」
【好評連載】
◆廃炉という仕事/稲泉連
〈6〉イチエフ点描 一日の始まり
ニッポン全史/古市憲寿
〈9〉「ファンタジー」による国作り
◆総理と女たち/福田和也
〈8〉犬養毅と居坐り「猛女」
◆トリロー 三木鶏郎と昭和「冗談」史/泉麻人
〈16〉ディズニーと浅沼稲次郎
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈29〉誰か私に代って私を審いてくれ
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈38〉大獄と暗殺
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈88〉隠遁について
【歴史巨編!】プリニウス 第52回/ヤマザキマリ+とり・みき
◆[表紙イラスト]信濃八太郎
◆[扉]今月の一枚
 豊洲市場
◆TOKYO2018
 青山(写真 広瀬達郎)
◆写真家は写真でかく語る/トモ・コスガ
〈9〉水谷吉法 都市の自然に魅せられて
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆謎解きナンバリング/佐藤健太郎
〈21〉伝説のカーナンバー27
第17回 新潮ドキュメント賞
◆候補作品発表
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
・TV Peeper|村上和彦
掌のうた
・短歌|選・解説 三枝昂之
・俳句|選・解説 小澤實

最新号PICK UP

【特集】「茶の間の正義」を疑え

「茶の間の正義」とは、山本夏彦翁の言葉である。テレビなどから垂れ流される、人におもねった胡散臭い正義を言う。世の識者は裏口入学にも災害時の宴席にも激してみせるが、あまりに底が浅くはないか。正義に酔い痴れて騒ぐだけで、背後に何があるか見ようともしない。そんな眉唾の正義に対してモノ申す。

【特集】「日本喰い」中国人

中国は国益のため、海外在住者を活用するという。土地買収に医療費の横取り、そして自衛隊員へのハニートラップ――制度の不備をついて、中国は日本の社会基盤を静かに侵蝕している。さまざまな工作活動が明らかになった豪州は、すでに大きな代償を払った。日本は早急に対策を講じなくてはならない。

〈特別企画〉まだ「敗戦国」ニッポン

終戦から73年、すでにほとんどの人が戦争を知らない。しかしながら、敗戦国の痕跡はいまも確かにある。まっとうな独立国になるためにこれから何をすべきか。3本の論考をお届けする。

わが役者人生の「支柱」
北大路欣也

「幸いなことに、僕には鼻っ柱を折ってくれる先輩方がいました」。13歳でデビュー、今年75歳となった名優が振り返る、人との出会い、作品との邂逅。

この号の誌面

編集長から

茶の間の正義

 あれは記者なのか、レポーターなのか、テレビの中では、我こそは国民の代表とばかり「正義」を振りかざし、様々な悪い奴らを糾弾する場面が絶え間なく流れている。そんな簡単に善悪を分けられはしないだろうに、彼らはどちらかに決めつけないと気が済まない。勧善懲悪はドラマなら面白いですむが、現実に当てはめるなら、どこかに欺瞞が隠れているだろう。
 山本夏彦翁は半世紀も前に「茶の間の正義」と書いた。人に阿った胡散臭い正義のことである。裏口入学でも、災害時の宴会自粛でも、あるいは禁煙運動でも、いまなお茶の間の正義は健在である。だがそれらはあまりにも浅薄だ。その背後にあるものをもうちょっと考えてみる気にはならないのだろうか。今号はそんな正義にモノ申す七本をまとめて「『茶の間の正義』を疑え」という特集を組んだ。
 もうひとつ、「『日本喰い』中国人」という特集もある。日本社会の基礎の部分を静かに侵蝕する中国の動きを追った。

新潮45編集長 若杉良作(「波」2018年9月号より)

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
 3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
 しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
 それは「人の生き死に」について考えるということです。
 扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。

 ちょっと危険で、深くて、スリリング。
 死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
 一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
 
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞