【特集】「出版文化」こそ国の根幹である
新潮45 2015年2月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2015/01/19 |
---|---|
JANコード | 4910049370254 |
定価 | 897円(税込) |
◆本はタダではありません!/林真理子
◆我々は「本が作った国」に生きている/磯田道史
◆日本の出版文化を守りたい――アマゾンと闘う理由/高井昌史
◆図書館の“錦の御旗”が出版社を潰す/石井昻
◆「本屋さんの街」があるのは日本だけ/アレックス・カー
◆ネットばかりだとバカになる/中川淳一郎
◆音楽業界の「昭和君」と「平成君」/片山杜秀
◆「フロー情報」の氾濫に抗して/竹内洋
メディアの命運 〈1〉わがデジタル化史30年/武田徹
モンスターマザー/福田ますみ
長野・丸子実業高校「いじめ自殺」でっちあげ事件[第2回]
オペレーションZ 第5回/真山仁
ヤルタ会議の闇/有馬哲夫
――北方領土はこうして失われた
◆《インタビュー*私の戦中戦後、私の原点》
もうすぐ詩を書き始めて七十年になる/谷川俊太郎
父母(ちちはは)の記 極私的「逝きし世の面影」/渡辺京二
初公開! 阪東妻三郎への田村高廣「親子鷹」日記
キング牧師の「不都合な真実」/井上篤夫
〈2〉ツバサヲクダサイ
プリニウス 第14回/ヤマザキマリ とり・みき
〈7〉道元、鎌倉幻視行
〈7〉上司との付き合い方 その5 筋悪案件への対処法(中)
古典文学で知る性愛あふれる日本人/大塚ひかり
〈6〉なぜ日本の僧侶には妻子がいるのか
〈10〉義兄弟と大家族
〈23〉コミュニケーション各論(6) ヤブヘビについて
〈7〉大学入試改革を評価する理由
〈29〉小津のローアングル
〈48〉新独立論の試み「かざりじゃないのよ、文明は」
分子人類学の達人/篠田謙一vs.ビートたけし
◆居酒屋チエコ亭17 塩もつ煮込み/オガワチエコ
◆〈巻頭随筆〉風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆だまし庵日記/野坂昭如
◆随筆〈聖路加ガーデン物語〉/牧野知弘
◆国道者 *日本最初の国道/佐藤健太郎
◆天国飯と地獄耳 *苺のフォンデュ、昼の顔/岡田育
◆イマイマイズム見聞録 *きみまろディナーショー/今井舞
◆[切り絵パロディ]贋作名画大全16/高木亮
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
[TV Peeper]村上和彦
[読書日記]小川真司
[インタビュー]太田肇
編集長から
国の根幹である
本や雑誌の売上が減少し、「出版界の危機」が言われて久しいですが、実際どのくらいの危機なのか。全体の売上高は1996年の2兆6564億円をピークに右肩下がりで、2013年にはほぼ1兆円減にまで落ち込んでいます。これと並行して街の書店もここ15年で8千店の減少(4割減)。まさしく壊滅的と言っていいと思います。
もちろんその原因は多岐にわたるのですが、本が生まれ、読み継がれていく「持続可能な生態系」が壊れつつあるのは間違いありません。このままでは、この多様性に満ちた日本の出版文化はいずれ消えてしまう。そうした危機感から「『出版文化』こそ国の根幹である」という特集を組みました。たかが業界話を大きく出たなと思われるかもしれませんが、藤原正彦氏の論考に必ずや膝を打っていただけるはず。今号校了後、歌会始の皇后陛下の御歌にも、我が意を得たりとの思いを強くしました。
武田徹氏による新連載「メディアの命運」も特集と併せてご一読を。
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。