【特集】亡国の教育改革
新潮45 2016年6月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2016/05/18 |
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JANコード | 4910049370667 |
定価 | 897円(税込) |
【特集】亡国の教育改革
◆「教育改革」はなぜいつも失敗するのか/竹内洋
◆「人物重視」は社会階層を固定化させる/芦田宏直
◆間違いだらけの英語教育論議/鳥飼玖美子
◆ハーバード方式か東大方式か/太田啓之
◆人文系学部の真の存在価値/先崎彰容
◆「学力」からますます遠ざかる大学入試/森口朗
◆このままでは地方の公立高校が消えてしまう/隈元新
◆文科省の「G」と「自慰」の世界/小田嶋隆
◆日本人のための「パナマ文書の愉しみ方」/青山繁晴
【緊急警告】
安倍政権が「移民政策」を密かに進めている/河合雅司
【熊本地震被災記】
それでも熊本城はそこに建っていた/梶尾真治
【瓦礫の中から】
石牟礼さん、渡辺さん、ご無事でしたか/高山文彦
[独占インタビュー]
ロッテ「クーデター」の真相/重光宏之
◆伊勢志摩サミット余話
厳戒態勢の「売春島」に行ってみた/水谷竹秀
《新連載》 ◆女系図でたどる驚きの日本史/大塚ひかり
〈1〉平家は滅亡していない ◆スポーツ指導者たちの「人を育てる」流儀/黒井克行
〈1〉慶大ラグビー部監督 上田昭夫の演出力
◆東京ディズニーリゾートを蝕む異変/小川孔輔
【歴史発掘ノンフィクション】
逝くことが倖せ
自ら刑死を望んだ「BC級戦犯」の記録/清永聡
【旭天鵬引退記念対談】
日本で相撲に出会えてよかった/白鵬×大島親方 [構成]武田葉月
◆囲碁界史上初の七冠独占
「天才児」井山裕太の軌跡/石井妙子
◆老人ファシズムが国を滅ぼす/神山仁吾
◆私が台湾に行けなかった理由/タン・ロミ
《新連載 第2回》 ◆昭和史の人間学/保阪正康
〈2〉お節介 ◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈2〉遊びは大人が教えてあげないと
◆うそつき 野坂昭如との日々泣き笑い/野坂暘子
〈4〉この季節、あなたは空を仰いでいた
【歴史巨編!】
プリニウス 第29回/ヤマザキマリ とり・みき
【巨弾連載小説!】
オペレーションZ 第21回/真山仁
【話題沸騰!】
中国亡命漫画家/辣椒
〈12〉春節聯歓晩会の政治学(後編)
◆兵士に聞け ふたたび/杉山隆男
〈9〉「状況」という言葉
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈11〉批評家誕生前夜の「自画像」
◆「男はつらいよ」を旅する/川本三郎
〈11〉寅が祈った五島列島
◆鳥類学者の優雅で過酷な日々/川上和人
〈18〉研究者に必要な三つの素養
◆日本のビョーキ/里見清一
〈38〉人の行動を決めるもの(10)「目標ロス」とその対策
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈11〉松陰と「持たざる国」
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈63〉深夜の悦楽「クラシック音楽」の幸せ
【達人対談】マラソンは究極のアナログ・スポーツ
マラソンの達人/瀬古利彦vs.ビートたけし
◆[扉]棕櫚/高木亮
◆居酒屋チエコ亭33 いちごのフレンチドレッシングサラダ/オガワチエコ ◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫 ◆人間関係愚痴話/曽野綾子 ◆[記者匿名座談会]野中広務を真似る菅の策謀 ◆月刊サクラセブンズ/生島淳
〈10〉FW桑井がラグビーを始めたワケ ◆国道者/佐藤健太郎
*熊本地震が直撃した国道 ◆イマイマイズム見聞録/今井舞
*ひきこもりフューチャーセッション「庵~IORI~」 ◆[切り絵パロディ]贋作名画大全32/高木亮 ■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
[TV Peeper]村上和彦
[読書日記]小川真司
[インタビュー]原田曜平
この号の誌面
編集長から
亡国の教育改革
教育改革の迷走は今に始まった話ではありませんが、それにしても最近の改悪ぶりはひどすぎる。2020年から「一点差で判定しない、人物を見る大学入試」になるそうですが、根本から間違っています。試験で測れる程度の「人物」は結局は家庭環境次第。都市部の裕福な子供がいっそう有利になり、社会階層が固定化するでしょう。
勉強しさえすれば道が開ける今の制度がどれだけフェアで、チャンスに満ちたものであることか。生まれや容姿と関係なく、頭脳と努力で一発逆転がきく。不合格でもペーパー試験ならあきらめがつきます。人物重視の名の下に、大学入試の段階から就活まがいのことやらせれば、むしろ負担が増し、窮屈になる一方。すでに高校入試も一部でそうした流れにあります。あまりに腹立たしいので、怒りの特集です(「亡国の教育改革」)。
このほか熊本地震で被災した作家・梶尾真治氏による手記、自ら刑死を望んだBC級戦犯の記録「逝くことが倖せ」も必読です。
新潮45編集長 三重博一(「波」2016年6月号より)
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。