【特集】いま宗教に「救い」はあるか
新潮45 2016年10月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2016/09/17 |
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JANコード | 4910049371060 |
定価 | 897円(税込) |
【特集】いま宗教に「救い」はあるか
◆「反安倍」となった日本会議の母体「生長の家」/藤倉善郎
現総裁は古参幹部、親兄弟を排除し、教団をエコ左翼宗教に変えた
◆慶大卒「日本人イスラーム預言者」を支える中田考/上條昌史
イスラムカルト誕生か? 25歳の教祖にも独占インタビュー
◆信者大激減時代の先にあるもの/島田裕巳
◆三分の一の「寺院消滅」で「葬式と墓」のこれから/鵜飼秀徳
◆「反安保」で公明党に反旗を翻す創価学会員たち/西所正道
◆全日本仏教会に圧勝した「アマゾンお坊さん便」/井上理津子
◆尖閣諸島侵犯 中国の「ターゲット」/山田吉彦
◆中国・三峡ダムが崩壊する日/タン・ロミ
◆なんと本人がニセモノにお墨付き
現代美術の巨匠「李禹煥」贋作事件/ベ・ヨンホン
◆「商売にならない」民進党/小田嶋隆
◆『シン・ゴジラ』と私達の危機/長山靖生
《天皇「生前退位」を考える》
◆新しい時代の「天皇親政」/村上政俊
◆天皇病むとき、国衰える/山折哲雄
◆53歳、難病で死を覚悟して
私はいつまで生きればいいのかな/衿野未矢
【サクラセブンズ、五輪初トライ、初勝利!】
つないで、つないで、ようやく獲った/竹内亜弥
◆我が子同然なら「老犬」にも介護ビジネス/山内宏泰
◆近代日本が踏み台にした「フルベッキ先生」正伝(後篇)/井上篤夫
[シリーズ 日本を修繕する〈4〉]
熊本地震復旧現場の「無人重機」/稲泉連
◆うそつき 野坂昭如との日々泣き笑い/野坂暘子
〈8〉ハッピー バースデー あなた
【歴史巨編!】
プリニウス 第32回/ヤマザキマリ とり・みき
【巨弾連載小説!】
オペレーションZ 第25回/真山仁
《第15回 新潮ドキュメント賞発表》
[受賞作]『原節子の真実』(新潮社)
*受賞記念エッセイ|石井妙子
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈6〉考える葦
◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈6〉始まる前からゲームオーバー
◆女系図でたどる驚きの日本史/大塚ひかり
〈5〉「高貴な処女」伊勢斎宮のスキャンダル
◆兵士に聞け ふたたび/杉山隆男
〈13〉御嶽噴火救助活動
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈15〉甦えった江頭淳夫、「江藤淳」への転生
◆「男はつらいよ」を旅する/川本三郎
〈15〉九州の温泉めぐり
◆鳥類学者の優雅で過酷な日々/川上和人
〈22〉イロトリドリノセカイ
◆日本のビョーキ/里見清一
〈42〉「待てない人達」リターンズ
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈15〉監国魯の運命と日本
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈67〉高度情報化社会のパラドックス
【達人対談】今の金メダリストにも全盛期ならば勝てる
柔道の達人/野村忠宏vs.ビートたけし
◆[扉]七郎鼠/高木亮
◆居酒屋チエコ亭37 揚げ出しかぼちゃ/オガワチエコ
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆[記者匿名座談会]小池百合子劇場は来年までもつ
◆スポーツ指導者たちの「人を育てる」流儀/黒井克行
〈5〉石山建一の眼力
◆国道者/佐藤健太郎
〈41〉レア標識 「自転車一方通行」のある道
◆イマイマイズム見聞録/今井舞
〈56〉軽井沢別荘地 両陛下が通る裏道
◆[切り絵パロディ]贋作名画大全36/高木亮
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
[TV Peeper]村上和彦
[読書日記]小川真司
[インタビュー]町田祐一
この号の誌面
編集長から
イスラームの神から
啓示を受けた日本人
長らく宗教の発生現場を見てみたいと思っていた。慶應の学生にイスラームの神から啓示があったと聞いた時は、よくあるネットの与太話で、多感な青年が精神に異常をきたしたくらいの認識だった。ところがその彼を全面的に支援しているのが、日本を代表するイスラーム学者・中田考氏という。そして二人は会社さえ設立していた。
この生まれたての教団の内実を取材した記事の他、今月号では「いま宗教に『救い』はあるか」と題し、曲がり角にある現代の宗教を特集した。
昨今話題の「日本会議」を生んだ「生長の家」の変貌ぶりもすごかった。右翼教団で鳴らしたかの団体は、いまやCO2排出ゼロを目指し、ソーラー発電事業にも参入する「左翼エコ教団」だ。また、安保法制をめぐる公明党と創価学会員の対立、地方寺院の消滅や新宗教の信者激減など、宗教界に問題は山積していた。もはや宗教には、「ご利益」も「救い」もないということなのか。
新潮45編集長 若杉良作(「波」2016年10月号より)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。