《薬害でっちあげ》
あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動
新潮45 2016年12月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2016/11/18 |
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JANコード | 4910049371268 |
定価 | 897円(税込) |
◆薬害でっちあげ/村中璃子
あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動
少女たちの健康被害は、本当に子宮頸がんワクチンによるものなのか。実はそれを薬害とする科学的根拠はなく、疫学調査も因果関係を否定する
◆人権派弁護士に物申す
女性を解放したのがAVである/村西とおる
【電通自殺】
◆死を招くニッポンの「働き方」/池田信夫
◆大の親日家だったワイダ監督を悼む/河添恵子
◆20代の若者の口から出た「土人」という死語/小田嶋隆
◆「第二の玉音放送」の年
「中年御三家」が世を去った/坪内祐三
【対談】
◆今なぜ「棋士・村山聖」なのか/羽生善治×松山ケンイチ
【特集】10年後の「日本沈没」
◆「マイルド堅気」はいつ革命勢力になるのか?/竹内洋
◆「Google翻訳」が標準語になる日/武田徹
◆ネットはやっぱりウザいまま/中川淳一郎
◆東京は「撤退戦」で生き残れ/山本一郎
◆デジタル社会の「人類補完計画」/鈴木智之
◆土木の現場は無人化する/稲泉連
◆「2025年問題」を解決できるのは「団塊の世代」/宮下友海
◆「魔法使い」に日本は狭すぎる/落合陽一
◆嗚呼、新聞歌壇の人生/浅羽通明
【対談】
◆現代美術と「背広」/会田誠×椹木野衣
◆東京美術散歩 現代の若冲、いるかな?/山内宏泰
◆幻の標識を探して/佐藤健太郎
◆従伯父がいた「ナウル」慰霊訪島記/笹幸恵
◆歴史再考/中野順哉
〈4〉世界中に広がった「海の民」の交易
◆天皇と京阪電車
『昭和天皇御召列車全記録』余話/田中比呂之
◆吃音と生きる/近藤雄生
〈6〉極私的吃音消失体験
◆うそつき 野坂昭如との日々泣き笑い/野坂暘子
〈10〉六本木のクリスマス・ツリー
【歴史巨編!】
プリニウス 第34回/ヤマザキマリ とり・みき
【巨弾連載小説!】
オペレーションZ 第27回/真山仁
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈8〉臆病者
◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈8〉東京の「橋下化」が止まらない
◆女系図でたどる驚きの日本史/大塚ひかり
〈7〉「後家の力」から読み解く源義経
◆兵士に聞け ふたたび/杉山隆男
[最終回]神は細部に宿り給う
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈17〉小林秀雄と正宗白鳥の影響
◆鳥類学者の優雅で過酷な日々/川上和人
[最終回]西之島調査船より
◆日本のビョーキ/里見清一
〈44〉紋切型の功罪
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈17〉『太平記』と徳川家康
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈69〉経済成長と「人間の条件」
【達人対談】あっと驚く「共産県」構想
共産党の達人/小池晃vs.ビートたけし
◆[扉]落日/高木亮
◆居酒屋チエコ亭[最終回]ごぼうとベーコンの味噌炒め/オガワチエコ
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆[記者匿名座談会]今年のゲス男トップテン
◆スポーツ指導者たちの「人を育てる」流儀/黒井克行
〈7〉大西鐡之祐の魔術
◆イマイマイズム見聞録/今井舞
[最終回]総括 大人の社会科見学
◆[切り絵パロディ]贋作名画大全[最終回]/高木亮
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
[TV Peeper]村上和彦
[読書日記]渡部潤一
[インタビュー]上野友行
最新号PICK UP
薬害でっちあげ/村中璃子
あまりに非科学的な子宮頸がんワクチン阻止運動
少女たちの健康被害は、本当に子宮頸がんワクチンによるものなのか。実はそれを薬害とする科学的根拠はなく、疫学調査も因果関係を否定する。
【特集】10年後の「日本沈没」
2020年の東京オリンピック開催に向けて、今年の合言葉は「4年後」。しかし、わが国の難問はお祭りが終わった後、待ったなしで訪れる。ポピュリズム、AIの大進歩、グローバリズム、少子高齢化……。「予定された未来」に直面して現れるのはディストピアかユートピアか?
人権派弁護士に物申す
女性を解放したのがAVである/村西とおる
AVが女性の人権侵害に当たるとして国連に提訴する動きがある。見当違いも甚だしい。むしろAVによって多くの女性が性の自由を獲得したのだ。
嗚呼、新聞歌壇の人生/浅羽通明
投稿者しか読まない、と言うなかれ。エロもあれば萌えもある。投稿短歌欄には次々人気歌人が誕生し、恋を詠う、生活を詠う。
この号の誌面
編集長から
「被害者意識」考
被害者の声を聞くことは難しい。その人は理不尽な体験を強いられ、肉体的にも精神的にも疲労困憊している。そこに小さな嘘があっても、誇張があっても、発言は努めて尊重せねばならない。長らく事件取材をやってきて、これは追及すべきかどうか迷うことが多々あった。
いま社会に被害者は多く、また国や社会に対して「被害者意識」を持つ人たちもたくさんいる。確かに沖縄や韓国といった被害者の地域があり、彼らが国に回復を求めるのは当然だろう。だがその被害者が煽られ、支援者たちと度を越した活動や要求をすることもよく目にすることだ。これからの行政は様々な局面で「被害者意識」との対峙が課題となると思う。今月号の「薬害でっちあげ」も同様だ。多様な症状を呈する少女たちを科学的根拠もないまま子宮頸がんワクチン接種の被害者とし、彼女たちを盾に国や製薬会社と闘う人たちがいる。そのやり口がどのようなものか、ここに詳しく書かれている。
新潮45編集長 若杉良作(「波」2016年12月号より)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮45とは?
「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。