【特集】病の「人生学」
新潮45 2017年2月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2017/01/18 |
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JANコード | 4910049370278 |
定価 | 897円(税込) |
【特集】病の「人生学」
◆ガンとの闘いで僕が知った幸せ/つんく♂
食道発声でなんとか意思疎通が出来るようになってきた――
◆車椅子生活で覚醒する/中村うさぎ
◆治らないB型肝炎とうまく生きる/石川ひとみ
◆右目の失明は“ギフト”/中井祐樹
◆病は左からやってくる/萩原朔美
◆C型肝炎治療の苦しみと「成瀬映画」/高見浩
◆がんを再発させない私の食事法/中原英臣
◆36歳、ガンで引退して/時天空慶晃
【現地ルポ】
◆愛知県にある「偉人輩出」の町/山口義正
[映画『沈黙―サイレンス―』出演者対談]
◆スコセッシ監督の魔法/イッセー尾形×塚本晋也
◆安倍・トランプ会談を実現させた「カルト宗教人脈」/時任兼作
◆安倍首相に捧げる北方領土問題の正解/有馬哲夫
◆デフレ脱却失敗で宗旨替え
暗愚なる経済学者、浜田宏一の罪と罰/中野剛志
◆「横田夫妻」のいま 放置された拉致問題とその家族/さかもと未明
◆再び別人格が現れた
「声優のアイコ」事件法廷/インベ★カヲリ
◆想像力の塊 「栗本薫」伝/里中高志
◆「歴史」を意識しはじめた安倍首相/小田嶋隆
◆精神疾患、自殺、孤独死――
大震災、五年後の被災者たち/石井光太
【下請け業者激白】
◆「手抜き除染」全手口/上條昌史
◆中国亡命漫画家[特別篇]アリババ帝国の闇/辣椒
[単行本化記念対談]
◆私たちは中国共産党の嘘を暴きつづける/石平×辣椒
◆メッシはなぜ簡単そうにボールを扱えるのか!?/岩本輝雄
◆「東京五輪」種目になった空手界の主役たち/布施鋼治
〈快調! 新連載第二回〉
◆めくるめくパワースポット/高橋秀実
誰が「パワースポット」と言い始めたのか?
◆明日も汽車の中で眠る/下川裕治
インド大陸縦断
82時間30分完全乗車
◆食の賢人たち/野地秩嘉
農業を面白くする「和郷園」のビジネス
◆謎解きナンバリング/佐藤健太郎
最初の電話帳には誰がいる?
◆平成になじめない/島村洋子
女なんかに負けられない
◆プライベート・プレスの物語/山田真吾
伊達得夫と書肆ユリイカ
◆ドキュメント|のらねこ風俗嬢/インベ★カヲリ
2日連続ヤクザのお客様
《新春対談》
◆「橋下的なもの」から「日本」を守るために/適菜収×薬師院仁志
◆天皇とナショナリズム/篠田正浩×保阪正康
【巨弾連載小説!】
オペレーションZ 第29回/真山仁
◆うそつき 野坂昭如との日々泣き笑い/野坂暘子
〈12〉冬の音
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈10〉いやがらせ
◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈10〉だって、女の子なんだもん
◆女系図でたどる驚きの日本史/大塚ひかり
〈9〉女帝と易姓革命
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈19〉「悪役」評論家開業、大学院“追放”
◆日本のビョーキ/里見清一
〈46〉希望に溢れた「諦められない」世界
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈19〉日本三忠臣
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈71〉グローバリズムという怪物
【達人対談】生物の「死」には理由があった
死の遺伝子の達人/田沼靖一vs.ビートたけし
◆[表紙イラスト]マルコムX/信濃八太郎
◆[扉]表紙のひと マルコムX
◆TOKYO2017
神田警察通り(写真 広瀬達郎)
◆時代の標本 松田コレクションの世界〈2〉
幻の東京オリンピック
◆明日も汽車の中で眠る〈2〉
インド大陸縦断
82時間30分完全乗車
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆スポーツ指導者たちの「人を育てる」流儀/黒井克行
〈9〉仰木彬の「非情采配」
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
・TV Peeper|村上和彦
・INTERVIEW|中西敦士
掌のうた
・短歌|選・解説 三枝昂之
・俳句|選・解説 小澤實
最新号PICK UP
【特集】病の「人生学」
病気は天才である、といった人がいた。なるほど病気になれば、景色は美しく、人のよしみも身に染み、ふだん気がつかないことにも気がつく。そればかりか、それまでの暮らしをたしなめられたような気にもなって、大事と些事の見極めがつくようになる。病気は人を鍛え、人生を作り出す。病気礼賛の特集をお届けする。
【下請け業者激白】
「手抜き除染」全手口/上條昌史
「自分たちだけじゃない、手抜き除染はあちこちで横行していた」男はそう語ると、手の抜き方を具体的に説明しはじめたのだった。
【現地ルポ】
愛知県にある「偉人輩出」の町/山口義正
伊勢湾に面し、周囲を丘陵に囲まれた小さな集落。そこからは、戦後日本の経済を牽引した顔ぶれが驚くほど多く出ている。その地を歩いてみると……。
この号の誌面
編集長から
病気礼賛
人間の遺伝子の中には、細胞を死なせる「死の遺伝子」なるものが組み込まれていて、やはりというか、だいたい100歳が寿命なのだという。また細胞分裂を司る幹細胞自身も約60回ほどしか分裂しないので、これを使い切っても死が訪れる。ビートたけしさんの達人対談のゲスト、田沼靖一さんの話である。そう決まっていると知れば、ちょっと気が楽になってくるが、一方で、それだけの人生なら存分に生きなくてはとも思う。
今回の特集「病の『人生学』」にご登場いただいた方々はそのお手本であろう。昔、肺病文学というものがあったが、確かに病で人生を発見するということがある。がんで声を失ったつんく♂さん(何と食道発声で声が出るようになったという)、治らないB型肝炎とともに生きる石川ひとみさん、試合中の反則行為で失明した中井祐樹さんら8名は、病によって何かを発見し、新しい人生を手に入れた人たちである。ということで、「病気礼賛」の特集ができあがった。
新潮45編集長 若杉良作(「波」2017年2月号より)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。