俺が死んだらもう俺を語れる奴はいない 梅宮辰夫
新潮45 2017年6月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2017/05/18 |
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JANコード | 4910049370674 |
定価 | 897円(税込) |
【特集】私の寿命と人生
◆俺が死んだら
もう俺を語れる奴はいない/梅宮辰夫
◆ガン手術8回の死生観/黒沢年雄
◆ボクが尊厳死協会に入ったわけ/蛭子能収
◆14歳、死は常にそこにある/別府倫太郎
◆実際の長生きは苦しい/久坂部羊
◆末期ガンの夫を「家で看取る」/三砂ちづる
◆人間は「使い捨てカメラ」である/大江舜
◆なぜ「死」があるのか 科学者による寿命論/田沼靖一
◆日本上陸「デスカフェ」って何?/福田ますみ
【新連載】
100歳の肖像 フォトジャーナリスト|笹本恒子/歌代幸子
◆「つなぎ融資の女王」山辺節子
カネと男と詐欺の履歴書/上條昌史
◆懲役10年「声優のアイコ」事件
犯人にされた主人格「神いっき」からの手紙/インベカヲリ★
【CIA文書公開で判明!】
「慰安所」はナチの収容所と同一視されていた/有馬哲夫
◆米国から戻ってきた「吉田松陰の短刀」/楫取能彦
◆もうひとりのファーストレディ
イヴァンカ・トランプ大解剖/山口真由
◆TVドラマ「やすらぎの郷」の猛毒/林操
◆「小池劇場」はポピュリズムの悪魔結合である/小田嶋隆
[緊急対談]
小池百合子、偽りの「都民ファースト」
/前鳥取県知事 片山善博×弁護士 郷原信郎
◆アジア派遣「お笑い芸人」残酷物語/水谷竹秀
◆いまなお進化する日本文化「漫喫」/中山茂大
【追悼・黒澤浩樹】
最強空手家はいかに逝ったか/小島一志
◆世界を呑み込む「超一極集中」社会/小林由美
◆アカデミー賞「発表ミス」とハリウッド人種問題/三谷匠衡
[映画『美しい星』公開]
◆三島由紀夫と宇宙友好協会/原田実
◆三島さんが生きていたら相談したかった/吉田大八
《新連載》
◆トリロー 三木鶏郎と昭和「冗談」史/泉麻人
〈1〉ビルの街にガオー
◆形影譚/河谷史夫
〈1〉川上澄生と棟方志功
《好評連載》
◆一発屋芸人列伝/髭男爵 山田ルイ53世
〈4〉ジョイマン
【新連載第三回】近未来の危機を描く迫真のシミュレーション小説
Δ(デルタ)/杉山隆男
【歴史巨編!】
プリニウス 第39回/ヤマザキマリ とり・みき
◆めくるめくパワースポット/高橋秀実
〈6〉縁結びの神意
◆明日も汽車の中で眠る/下川裕治
〈6〉シベリア鉄道9000キロ 6泊7日の旅が終わるとき
◆ドキュメント|のらねこ風俗嬢
〈6〉長野は一週間で5人のリピーター/インベカヲリ★
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈14〉善の善なる者
◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈14〉いまのニッポン、大河ドラマなら45話あたり
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈23〉新“指導教授”大岡昇平と「愛娘」ダーキイ
◆日本のビョーキ/里見清一
〈50〉大切なものは、(簡単には)測れない
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈23〉岡倉天心と北畠親房
【達人対談】効率ばかり優先する生物は滅びる
進化生物学の達人/長谷川英祐vs.ビートたけし
◆[表紙イラスト]アラン・ドロン/信濃八太郎
◆[扉]表紙のひと アラン・ドロン
◆TOKYO2017
神宮球場(写真 広瀬達郎)
◆時代の標本 松田コレクションの世界〈6〉
宝塚歌劇 華麗なるレビュー
◆明日も汽車の中で眠る〈6〉
シベリア鉄道9000キロ 6泊7日の旅が終わるとき
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆謎解きナンバリング/佐藤健太郎
〈6〉ナンバープレートをめぐる闘い
◆平成になじめない/島村洋子
〈6〉「日本文学全集」も家にあったけれども
◆プライベート・プレスの物語/山田真吾
〈6〉梶山季之と月刊「噂」
◆スポーツ指導者たちの「人を育てる」流儀/黒井克行
〈13〉佐々木則夫の「気づかせ」力
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
・TV Peeper|村上和彦
掌のうた
・短歌|選・解説 三枝昂之
・俳句|選・解説 小澤實
最新号PICK UP
【特集】私の寿命と人生
長寿を寿く時代は終わり、いまはみなが寿命を持て余している。死ぬのが難しい世の中なのだ。人間は死によって完成する。しからばどううまく死ぬか。死を考えながら生きる人たちの卓見をお届けする。
「つなぎ融資の女王」山辺節子
カネと男と詐欺の履歴書/上條昌史
7億円を巻き上げた聖子ちゃんカットの「62歳」詐欺女はいかにして生まれたか。
[緊急対談]
小池百合子、偽りの「都民ファースト」/前鳥取県知事 片山善博×弁護士 郷原信郎
都政の改革者か、はたまた破壊者か――。地方自治に精通した前鳥取県知事と、コンプライアンス問題に詳しい元検事が、小池都政の「偽り」を喝破する。
この号の誌面
編集長から
メメント・モリ
例えば俳優の梅宮辰夫さんは「同時代を生きて、僕について語る人はもういないんですよ」「僕だけが長生きし過ぎているんじゃないかと思うことさえある」と語る。あるいは日本尊厳死協会に入った漫画家の蛭子能収さんは「もし病気で寝たきりの状態になるようなことがあったら延命治療は要りません。早く死なせてください」と話す。
高齢化社会というのは、そう簡単には死ねない社会ということである。それで生じた余生にはさまざまな椿事が起きて、増え続ける高齢者の医療費や交通事故は社会問題にもなっている。多くの人が寿命を持て余し、そして社会も対応に窮している。もはや長寿を寿ぐ時代は終わったのだと考えるほかない。
特集「私の寿命と人生」は、こうした世の中でいかによく死ぬかを考えるよすがとして、冒頭のふたりをはじめ、普段から死を身近に感じている人たちの死生観を集めた。これらを読むと、アンチエイジングなんてたわ言でしかないと思い知らされる。
新潮45編集長 若杉良作(「波」2017年6月号より)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。