【特集】日本を分断した天皇陛下の「お言葉」一年
新潮45 2017年8月号
(毎月18日発売)
発売日 | 2017/07/18 |
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JANコード | 4910049370872 |
定価 | 897円(税込) |
【特集】日本を分断した天皇陛下の「お言葉」一年
◆天皇のご意思は満たされたか/保阪正康
◆古代と現在をつなぐ「天皇親政」/村上政俊
◆すでに「象徴天皇制」は危機にある/八幡和郎
◆天皇の「祈り」とは何か/平川祐弘
御厨座長代理の悪意ある記事に応える
◆「天皇という立場」と「個人」/永栄潔
◆ネット民に愛される天皇/中川淳一郎
◆「ふるさと納税」が待機児童を増やす/上條昌史
◆中国が仕掛けるハニートラップ最新事情/河添恵子
◆いますぐ「ホワイトハッカー」活用策を/高野聖玄
◆「特許」から読み解く東芝・シャープの衰退/白坂一
◆偏見に満ちた週刊朝日の「産業遺産」記事を糾す/加藤康子
◆嘘だらけのフィリピン「仮想通貨」セミナー/水谷竹秀
◆町おこしで甲子園を目指す秩父の「小鹿野高校」/黒井克行
◆私の独学ことはじめ(前篇)/福田和也
悲劇の千両役者 市川海老蔵/矢野誠一
【新資料発掘】
御聖断だけでは戦争は終わらなかった/有馬哲夫
◆吃音と生きる7「小学校」という難所/近藤雄生
◆知られざる利尻島「トド猟」の終わりなき戦い/中山茂大
◆クマと直面する人間の覚悟/小田嶋隆
◆私を苛立たせる10の言葉/勢古浩爾
《好評連載》
◆100歳の肖像/歌代幸子
〈2〉プロゴルファー 内田棟
◆形影譚/河谷史夫
〈3〉小林秀雄と中原中也
◆明日も汽車の中で眠る/下川裕治
〈7〉バンクーバーからトロントへカナディアンロッキーを走る
◆トリロー 三木鶏郎と昭和「冗談」史/泉麻人
〈3〉ジンジン仁丹
◆一発屋芸人列伝/髭男爵 山田ルイ53世
〈6〉波田陽区
【歴史巨編!】
プリニウス 第41回/ヤマザキマリ とり・みき
【第5回】近未来の危機を描く迫真のシミュレーション小説
Δ(デルタ)/杉山隆男
◆めくるめくパワースポット/高橋秀実
〈8〉「引き寄せの法則」
◆ドキュメント|のらねこ風俗嬢/インベカヲリ★
〈8〉田んぼの中のデリヘル
◆昭和史の人間学/保阪正康
〈16〉無色界
◆だからあれほど言ったのに/適菜収
〈15〉拍手をもってオマヌケください
◆江藤淳は甦える/平山周吉
〈25〉一九六〇年の「転向」と、小林秀雄の素顔
◆日本のビョーキ/里見清一
〈52〉気が済むまでやればいい…のか?
◆水戸学の世界地図/片山杜秀
〈25〉天照大神と“超歴史主義”
◆反・幸福論/佐伯啓思
〈76〉死について
【達人対談】宇宙の始まりが素粒子から見えてくる
ニュートリノの達人 多田将 vs. ビートたけし
◆[表紙イラスト]マリリン・モンロー/信濃八太郎
◆[扉]表紙のひと マリリン・モンロー
◆TOKYO2017
千駄ヶ谷(写真 広瀬達郎)
◆時代の標本 松田コレクションの世界〈8〉
発見! 小津安二郎 戦地の置手紙
◆明日も汽車の中で眠る〈7〉
バンクーバーからトロントへカナディアンロッキーを走る
◆[巻頭随筆]風が時間を/徳岡孝夫
◆人間関係愚痴話/曽野綾子
◆謎解きナンバリング/佐藤健太郎
〈8〉揺らぐエースナンバー「18」
◆平成になじめない/島村洋子
〈8〉「石坂浩二」の五十年
◆プライベート・プレスの物語/山田真吾
〈8〉消息を絶った三人の出版人
■Review■
・BOOK
・CINEMA
・EXHIBITION
・TV Peeper|村上和彦
掌のうた
・短歌|選・解説 三枝昂之
・俳句|選・解説 小澤實
最新号PICK UP
【特集】日本を分断した天皇陛下の「お言葉」一年
生前退位の特例法が制定されるなか、日ごろ天皇陸下に尊崇の念を抱いている保守層の一部が「お言葉」に疑義を呈し、一方で天皇制に批判的だった革新勢力は深く共鳴した。打倒天皇制だった共産党も「お言葉」支持である。こうした状況を生んだ「お言葉」とはいったい何だったのか。ご心情を語り、肉体の不安を訴える、あまりに人間的な天皇陸下に国民はいかに向き合うベきなのか。6人の識者の論考をお届けする。
「ふるさと納税」が待機児童を増やす/上條昌史
A5ランクの黒毛和牛に活とらふぐのチリ鍋セット。豪華「返礼品」でブームに沸く「ふるさと納税」だが、そのせいで思わぬところに皺寄せがいくという。
悲劇の千両役者 市川海老蔵/矢野誠一
妻・麻央さんが乳がんで世を去っても、長男・勧玄くんとともに歌舞伎座の舞台に立つ。私生活が丸はだかになってしまう時代、歌舞伎役者本来の芸の魅力は伝承されるのか?
この号の誌面
編集長から
天皇の肉体
昭和天皇崩御の前、新聞テレビでは連日、吐血や下血がその量とともに報じられた。すでにこの時、天皇の肉体は国民の前に顕わになっていたわけだが、それでも病状の報告だったし、そのご様子が見えるわけでもなかったから、どこかリアリティを欠いていた気がする。
それに比べ昨年八月の今上陛下の「お言葉」は、お元気なご様子ながら、体力の不安やご公務続行に関する懸念を率直に語られたことで、その体とお気持ちが生々しく迫ってきた。だから多くの国民は「お言葉」を尊重したいと素朴に考えたのではないかと思う。
ただこの「お言葉」には、日ごろ天皇を尊崇する念の強い保守派の一部が疑義を呈し、一方で天皇制に批判的だった革新勢力は深く共鳴した。打倒天皇制だった共産党までもが支持する。主義主張からすれば逆転現象を起こしているかに見える。天皇の肉体や意思が前面に出てきた時、何が起きたのか。特集では天皇制をめぐるこの一年の動きを追った。
新潮45編集長 若杉良作(「波」2017年8月号より)
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
新潮45とは?

「新潮45」の創刊は1982(昭和57)年3月で、創刊当初は「新潮45+」(シンチョウヨンジュウゴプラス)という誌名でした。その名の示すとおり、もともとは45歳以上の中高年層を読者対象に想定した雑誌であり、新潮社にとっては初の総合雑誌への挑戦でもありました。
3年後の1985年より「+」が取れて、誌名は現在の「新潮45」に変わります。内容も「日記と伝記」を軸にした新たな教養雑誌へとリニューアル。以来、その時々の編集部の方針によってノンフィクションや事件への志向が強まったり、独自の言論に力点を置いたり、誌面は変わり続けてきました。
しかし、一つだけ変わらない「芯」のようなものがこの雑誌にはあります。
それは「人の生き死に」について考えるということです。
扱うテーマや素材は、政治経済から殺人事件、芸能スキャンダルやスポーツ・ドキュメントに至るまで多岐にわたります。叙述の仕方も、論考あり、エッセイあり、重厚なノンフィクションありとさまざまです。けれども雑誌の真ん中には、尽きることのない「人間への関心」がある。
これからも「新潮45」は変わり続けるでしょう。時代に向き合いながら、新しいテーマに挑み、表現の幅も広がっていく。しかし、その「芯」の部分は変わりません。ネットの時代になっても、いやネットの時代だからこそ、「新潮45」は「人間」を書き続けていきます。
ちょっと危険で、深くて、スリリング。
死角を突き、誰も言わないことを言い、人の生き死にを考える。
一度読むとクセになるような「毒にも薬にもなる雑誌」。
「新潮45」はそんな雑誌であり続けたいと思っています。